【福永泰のスロー解析】“野人”岡野雅行の“クロス”
「浦和レッズマガジン2月号(2月12日発売)より」
カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?
岡野のダッシュで駒場が盛り上がった
――レッズのすべてを知る男、岡野雅行選手が浦和を去ることになりました。精神的支柱として重要な役割を担ってきた岡野選手の離脱は、レッズにどのような影響を与えると思われますか?
「彼は10年以上も浦和でプレーしてきましたし、レッズが経験した激動の多くを知り尽くしています。その中で、レッズを支えているすべての人たちの代表としてピッチに立つことがどんな意味を持つのか、そのことを最もよく理解している選手だと思います。チームに残る選手たちは、そういったレッズの遺伝子をしっかりと受け継いでほしいですね」
――最終節横浜FM戦後は岡野選手と内舘選手を送り出すため、異例とも言えるセレモニーが行われました。
「正直、『うらやましいな』と感じましたね(笑)。彼らは引退を発表したわけではないけど、『おれも浦和で現役の最後を迎えたかったな』と思いました。それから、あのセレモニーを見て、『やっぱりここは特別なクラブなんだ』と再確認しました。ああいった光景を目の当たりにして、若い選手たちがどう感じるのか……。すごく気になりますね。やっぱり、浦和のサポーターは普通じゃない。彼らは、自分たちができることを常に探しているし、いつだって全力でサポートしてくれているんです」
――二人のあいさつを聞いて、みんな涙ぐんでいました。
「あの二人には、サポーターにも特別な思い入れがあるんだと思います。ゴール裏に背番号が浮かび上がったときは、本当に感動しましたね」
――さて、今回は岡野選手のドリブルからのクロスについて解説していただきたいと思います。ところで、福永さんにとって、印象に残っている岡野選手のプレーはありますか?
「2000年のJ2最終節ですね。延長戦から岡野が出たんですが、出場する直前に駒場のメインスタンド側のタッチラインから反対側のタッチラインまで、全力ダッシュでウオーミングアップをしていた姿がすごく印象に残っています。僕は後半開始直後から出場していたので、岡野のダッシュでスタジアムが一気に盛り上がるのを見ていました。あの試合、僕らは一人少ない状況で、非常に苦しかったんです。でも、あの光景を見て、『いける!』って確信しました。彼はチームに勇気を与えてくれる存在でしたね」
――岡野選手の最大の特長は?
「プレーではなく、何より自然体な人間性を挙げたいですね。とにかく、自分の意志を貫いて全力で挑む。打算的な考えがないから、チームをとても良い方向に導いてくれるんです。時には自分の悩みを素直に打ち明けたり、相談に乗ったり……。選手である前に、あらゆる面でストレートな男だと思います。だから周囲が共感できるし、見ている人にもそういった人間性が伝わっているんだと思います。僕は同学年なんですが、岡野から学ぶべきことがたくさんありました」
――岡野選手と言えば、やはり誰もがスピードを思い浮かべますよね。
「あいつはただ足が速いだけじゃない(笑)。みんなに好かれるキャラクターで、空気を読んでばかになれる男です。ああいう偉大な選手が抜けるわけですから、チームにとっては大きな転機になると思いますね。みんながリーダーとして自覚を持たなければいけないと思います」
――写真のプレーは、サイドからクロスを挙げた場面です。ここ数年はサイドアタッカーとしてプレーする機会が増えていました。
「サイドを突破してクロスというイメージが強いですね。あいつはどちらかというと、ゴール前の状況を確認してピンポイントのクロスを狙うというタイプではありません。つまり、感性で勝負するタイプなんです(笑)。だから、『あそこに蹴ればビッグチャンスになる』とか『あのスペースに味方が飛び込んでくれるはず』というイメージでしょうか。経験と直感から相手が嫌がるコース、味方が入りやすいコースを狙っていると思います。しかも、ベテランになるにつれて、精度はどんどん上がっていますし。あれだけのスピードを維持しながらクロスを上げるわけですから、並大抵の選手にできる芸当じゃないと思いますよ。このプレーは、成長した『野人』の姿そのものだと思います」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、バルドラール浦安のスポーツディレクター、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)
カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?
岡野のダッシュで駒場が盛り上がった
――レッズのすべてを知る男、岡野雅行選手が浦和を去ることになりました。精神的支柱として重要な役割を担ってきた岡野選手の離脱は、レッズにどのような影響を与えると思われますか?
「彼は10年以上も浦和でプレーしてきましたし、レッズが経験した激動の多くを知り尽くしています。その中で、レッズを支えているすべての人たちの代表としてピッチに立つことがどんな意味を持つのか、そのことを最もよく理解している選手だと思います。チームに残る選手たちは、そういったレッズの遺伝子をしっかりと受け継いでほしいですね」
――最終節横浜FM戦後は岡野選手と内舘選手を送り出すため、異例とも言えるセレモニーが行われました。
「正直、『うらやましいな』と感じましたね(笑)。彼らは引退を発表したわけではないけど、『おれも浦和で現役の最後を迎えたかったな』と思いました。それから、あのセレモニーを見て、『やっぱりここは特別なクラブなんだ』と再確認しました。ああいった光景を目の当たりにして、若い選手たちがどう感じるのか……。すごく気になりますね。やっぱり、浦和のサポーターは普通じゃない。彼らは、自分たちができることを常に探しているし、いつだって全力でサポートしてくれているんです」
――二人のあいさつを聞いて、みんな涙ぐんでいました。
「あの二人には、サポーターにも特別な思い入れがあるんだと思います。ゴール裏に背番号が浮かび上がったときは、本当に感動しましたね」
――さて、今回は岡野選手のドリブルからのクロスについて解説していただきたいと思います。ところで、福永さんにとって、印象に残っている岡野選手のプレーはありますか?
「2000年のJ2最終節ですね。延長戦から岡野が出たんですが、出場する直前に駒場のメインスタンド側のタッチラインから反対側のタッチラインまで、全力ダッシュでウオーミングアップをしていた姿がすごく印象に残っています。僕は後半開始直後から出場していたので、岡野のダッシュでスタジアムが一気に盛り上がるのを見ていました。あの試合、僕らは一人少ない状況で、非常に苦しかったんです。でも、あの光景を見て、『いける!』って確信しました。彼はチームに勇気を与えてくれる存在でしたね」
――岡野選手の最大の特長は?
「プレーではなく、何より自然体な人間性を挙げたいですね。とにかく、自分の意志を貫いて全力で挑む。打算的な考えがないから、チームをとても良い方向に導いてくれるんです。時には自分の悩みを素直に打ち明けたり、相談に乗ったり……。選手である前に、あらゆる面でストレートな男だと思います。だから周囲が共感できるし、見ている人にもそういった人間性が伝わっているんだと思います。僕は同学年なんですが、岡野から学ぶべきことがたくさんありました」
――岡野選手と言えば、やはり誰もがスピードを思い浮かべますよね。
「あいつはただ足が速いだけじゃない(笑)。みんなに好かれるキャラクターで、空気を読んでばかになれる男です。ああいう偉大な選手が抜けるわけですから、チームにとっては大きな転機になると思いますね。みんながリーダーとして自覚を持たなければいけないと思います」
――写真のプレーは、サイドからクロスを挙げた場面です。ここ数年はサイドアタッカーとしてプレーする機会が増えていました。
「サイドを突破してクロスというイメージが強いですね。あいつはどちらかというと、ゴール前の状況を確認してピンポイントのクロスを狙うというタイプではありません。つまり、感性で勝負するタイプなんです(笑)。だから、『あそこに蹴ればビッグチャンスになる』とか『あのスペースに味方が飛び込んでくれるはず』というイメージでしょうか。経験と直感から相手が嫌がるコース、味方が入りやすいコースを狙っていると思います。しかも、ベテランになるにつれて、精度はどんどん上がっていますし。あれだけのスピードを維持しながらクロスを上げるわけですから、並大抵の選手にできる芸当じゃないと思いますよ。このプレーは、成長した『野人』の姿そのものだと思います」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、バルドラール浦安のスポーツディレクター、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)









