ITエンジニアが憧れるコンサルタント。彼らは優秀であればあるほど、「個人指名」で仕事を依頼されるケースが多くなる。こうした「売れるコンサルタント」になるにはどうしたらよいのか。現役コンサルタント、コンサルティングファーム経営トップ、転職エージェントの3つの視点から探っていく。

■Part1 トップコンサルタントが語る「売れるコンサルになる方法」
 外資系大手コンサルティングファームで約50人からなるテクノロジーソリューション部隊を率いる中村潤氏。取材の冒頭で「この記事を読む中心的な読者像」を尋ねるなど、その豊富な経験に裏打ちされた心配りはまさに「売れるコンサルタント」。しかし、話の中身はとても人間くさいものだった。

・現在のプロジェクトに関連した顧客の課題にも常に注意を払う
 要件定義などから形のある「モノ」をつくるのではなく、コンサルタントの仕事は顧客の「あるべき姿」を考え、ミッションを明白にし、定義された目的の達成のためにプロジェクトを推進する。特に中村氏が率いるテクノロジーソリューションチームはCRM、SCM、ERPなどの部署との協働によるシステム間連携や、各業務のITとのつなぎ役にもなるという部署。システム化も視野に入れた業務プロセスのモデル化、サーチエンジンなどの導入によるパフォーマンス改善、システムの構成管理、将来的なIT投資計画支援など担当範囲は実に幅広い。
 そんな同氏が常々心掛けているのは、顧客の現状だけでなく先々の課題も探すことだ。

「お客様とのプロジェクト単位のお付き合いは数カ月から長くて1〜2年に及びますが、お客様の業務はその先もずっと続きます。担当プロジェクトに関して何かの悩みごとをおもちのことが多いので、問題点を整理して可視化し、複数の解決策を提案するようにしています。プロジェクト現場で信頼関係を築いていくと、現行メンバーでいつごろにこんなことをやってくれないか、と新たな課題に対して支援をお願いされることもあるわけです」

・「Javaが得意」といったスキルの縛りをもたない
 中村氏の実例を紹介すれば、製造業の企業で文具や備品など間接材の購買システム導入のプロジェクトを担当していたとき。親しくなった顧客のリーダーが何げなく「直接材のシステム更改も取り組み始めたのだが」「関連会社との共同販売も考えている」などと漏らしたところ、中村氏は即座に社内外から必要な情報を集め、資料を読み込み、問題点を整理した1〜2枚のドキュメントを提出したという。この対応が新規案件の受注につながっていくのだが、言葉にするほど簡単なことではない。

「お会いするのは経営層、組織長、プロジェクト管理者、開発スタッフなどさまざまな立場の方ですので、課題はそれぞれに異なります。こうした方々に『相談してもいいかな』と思っていただくには、現場で信頼を築くしかありませんが、それには専門領域に関連した分野を広げる努力が必要になります。例えば、情報系に強い人が会計系に疎い場合もありますが、『情報化計画を立案しているが、ROIの指標はどう考えているの?』と聞かれたとき、普段から関連知識の蓄積努力をしているかいないかで随分と信頼感は変わってくるでしょう」
 中村氏は「Javaに強い」「セキュリティ分野が得意」などのように「何ができる」ということも大事ではあるが、それ以上にそこから飛び出すべく知見を広める努力を怠らない人が、優秀なコンサルタントになるという。

・社外だけでなく社内でなすべきことも考える
 また、「社内で売れる」コンサルタントになることも、顧客との信頼関係に負けず劣らず大切だと言う。周囲から信用されれば自分を認めてくれる人が増え、何かのときに自分を指名してくれる。そのためには、きちんとした成果の報告や適切なトラブル対応といった「社会人の基礎」が、まさに仕事の基礎となるという。