職種別 採用天気予報 [09年1〜3月期]
近年例を見ないほどの不況が日本を脅かしている。2009年のエンジニア転職市場はどうなるのか。これまでの市場動向を基に、技術系職種を大きく8つに分け、1月から3カ月間の短期予想を載せた。取材先は各分野のベテラン転職アドバイザーたち。それぞれの分野での求人動向は、今年を占ううえでも注目される。

■全体動向 急速に冷え込む中途採用市場。情報アンテナの精度が問われている
「景気悪化の影響を受けないのは、もはや地球外の場所しかない」と誰かが言ったそうだ。リーマン・ショックに象徴される米国金融危機は、製造業など産業界全体に及び、株式と消費マーケットを揺るがし、自動車3大メーカーの極端な業績不振にまでつながった。さらに「被害」は、あっという間に欧州、日本、そしてBRICsにも波及している。そのスピードは異様なまでに速く、影響の深刻度もまさに未曾有だ。

 日本を代表する世界企業のトヨタやパナソニックまでが大幅な業績下方修正を発表すると、そのショックは中途技術者の採用市場をも一気に冷え込ませた。一部の職種では、採用減速の傾向は2007年下期からあったが、それでもまだ2008年上期までは本連載のほとんどの職種には、「晴れ間」が見えていた。ところが、10月以降の急激な景気悪化で一気に暗雲が立ちこめ、2009年1〜3月期の今回の予想では一斉に「くもり」マークが点灯している。
 大手製造業での人員リストラも2008年内は派遣・期間工が中心だったが、景気がさらに不安定さを増せば、国内正社員の雇用調整へとつながる恐れも考えられる。雇用崩壊が先か、資本注入など各国の景気対策が先か、まさに一刻を争う事態になっている。

 今回の景気減速の影響は中途採用の抑制に直結しているが、たとえ景気が回復したとしても、すぐに採用は回復しないというのが通例。景気回復の時期を明確に予想できる人はいないし、ましてや中途採用市場の冷え込みがいつまで続くのかは、誰も明言できない状況だ。
 とはいえ、すべての企業の採用が完全にストップしたわけではない。いまだ堅調な業種もあるし、ニッチ分野で強みを発揮する企業や中小・中堅企業では、この時期をチャンスととらえて採用意欲を強める企業もある。転職希望者にとっては、不況を勝ち抜くだけの体力のある企業を見つけ出すための、情報力が問われる時代になってきた。情報媒体や人材紹介会社など多面的な情報の収集と活用が、ますます重要になっている。

■制御系SE
 2008年秋から冬にかけて、エンジニアの中途採用をやめた企業、全くやめないまでも採用基準を高めた企業が増えました。
 業界別でいうと、これまで制御系求人を引っ張ってきた自動車が軒並み減速。完成車メーカー、サプライヤーなどの求人も中途採用を止める企業が多くなっています。
 家電業界では、例えば昨今の企業再編をみると、吸収する側には採用予定があるものの数は減っており、吸収される側は当然求人ストップという状況。携帯電話や装置関連メーカーなどでは、いずれも制御系求人はダウン基調です。この動きは少なくとも2009年いっぱいは続くのではないかと見ています。

 その中でも建設機械や重工系はまだ求人を継続。半導体製造装置の市況は悪化しているとはいうものの、採用が全滅というわけではなく、例えば製造プロセスの後工程製品を開発する企業の中には、今の時期を中途採用のチャンスととらえている企業もあります。世界シェアが高く、経営余力があり、製品が競合とぶつからない企業は、むしろ春に向けて中途採用で攻勢に転じるかもしれません。
 また、技術規格の変化が起こりつつあり、産業のインフラに近いところの業界──例えば通信基地局などにかかわる業種は、装置メーカーや受託ソフト会社などから求人が出ています。また、防衛産業も好不況にあまり左右されないので、狙いどころとしては面白いかもしれません。