これで日本は蘇る! 胎動する新事業とテクノロジー
2009年が明けた日本に景気回復の兆しはまだ見えない。ただ、今年や来年の話ではなく5年先に花が咲き始める産業、それを支える技術も見当たらないだろうか。「それは違う」と今回取材した2人の識者は語る。言い古された言葉だが日本は技術立国だ。今、ひそかに胎動している新しい萌芽を見つけた。

■ハード系 三菱総合研究所 日本の得意技術でビジネスが立ち上がる
 最初に紹介するのは製造業や重工業を中心としたモノづくり系の事業や技術。5年後、あるいはもう少し先の日本で伸びそうな産業や事業、それらを支える技術やエンジニアについて尋ねた。答えていただいたのは昨年10月まで産業戦略全般を担当していたコンサルタント、三菱総合研究所の上岡広治氏だ。

 今の日本には4つの大きな流れがあります。少子高齢化、資源制約、環境問題、格差社会です。これらによって生じる世の中に合ったビジネスが、新しい産業や事業として成長するのだと思います。特に少子高齢化は日本が最も早く進むともいわれており、見方を変えれば世界市場にいち早く参入できることになります。
 石油ショックが日本の省エネ技術を開花させました。少子高齢化に限らず、危機が来ることでそれを逆手に取ったビジネスや技術の種が生まれてくるものです。今後の日本にかなりのアドバンテージがあることは、これから紹介するいずれの事業でも、日本の技術が強みを発揮していることからわかります。

■最も有力な事業は太陽光や二次電池などの環境エネルギー
 日本がトップクラスの技術力をもっている環境エネルギー事業。これから数年かけて伸びるのが太陽光発電とリチウムイオンなどの二次電池でしょう。太陽光なら大量発電はもちろん住宅パネルなどのユース、用途の拡大が予想される二次電池では、特に電気自動車用バッテリーでのニーズが大きいと思います。
 電気自動車は各社で開発中ですし、実用化も近い。家庭で充電できるプラグインなら普及に拍車がかかりますし、石油に頼らない資源制約、CO2排出への環境問題対策にも有効です。こうした環境エネルギー事業では素材、化学、電気などの技術職が必要とされますが、キーとなるのは電気系の制御技術だと思います。

 現在では環境問題にも有力な原子力発電のプラント開発が拡大しています。ただ、5年以上先となるとどうでしょうか。造船のように新興国が技術をキャッチアップしていくことが予想されますので、少々不明確です。燃料電池も同様で、特に燃料電池車となると補助金が出てもかなり高額ですので一般家庭で購入するのは難しい。また、水素ステーションなど全国のインフラ整備には技術を超えて行政や社会的な協力が欠かせませんから、実用化への道のりはもう少し先だと思います。
 環境エネルギーは国も後押ししていますし市場規模も大きく、いちばん有力な分野ではないでしょうか。

■日本のお家芸である精密機器とロボットの事業が発展
 マシンが人をサポートする技術、特に精密機械を使ったロボット事業も成長すると思います。ひとつはパワーアシスト系で、高齢者の介護やモノづくりの現場で働く人を補助するための装置です。後者の例では建設現場があります。今後は労働力不足もあって女性や高齢者の進出が予想されるので、力の弱い彼らの手足に装着して不足するパワーを補うわけです。
 後継者不足や経営難が問題の農業で、農作業のアシストにも利用されると思います。一定の方向に並んだ稲と違って、品種の多い野菜はそれぞれに収穫の方法が異なりますから、こちらが中心になるかもしれません。パワーアシスト系ではモーターやアクチュエーター関連の、メカトロニクスやエレクトロニクスの技術者が必要になるでしょう。