働きがいのある会社とはどんな会社か。Great Place to Workという団体では毎年、働きがいのある会社のランキングを発表している。そこで上位に位置づけられた会社で働くエンジニアは、どんなところに働きがいを感じているのか。エンジニアが考える働きがいのある会社の定義を探ってみる。

■Part1 エンジニアにとって「働きがい」とは?
 今、多くの企業が組織の活性化を図るために注力しているのが、従業員満足度の向上である。従業員の満足度を高める(または不満を解消する)ために、例えば福利厚生の充実を図ったり、オフィス環境をよくしたりなど、いろいろな取り組みを行っている。実はこのような施策は、米国の臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグによると衛生要因的な改善策とみなされ、仕事への動機づけに直接は影響がないとされている。給与を上げること、昇進の機会を与えることなどもしかり。もちろん、給与が多くなったり、昇進したりするとうれしいかもしれないが、それよりもむしろ、公正な評価をされたほうがやりがいになるのではないだろうか。つまり、衛生要因的な施策では、働きがいにつながらないということだ。では、どんな環境なら働きがいが得られるのだろうか。
 そこで働きがいのある職場づくりの研究およびコンサルティングを手掛けているグローバルな研究機関であるGreat Place to Work Institute(GPTW)ジャパンの斎藤智文氏に、働きがいのある会社の定義を聞いた。
「働きがいのある会社とは、経営層を信頼でき、仕事に誇りがもて、かつ仲間との連帯感がもてる会社です。そしてそれらをさらに細かく見ると、5つのディメンションに分かれます」
 GPTWが提唱する5つのディメンションとは「信用」「尊敬」「公正」「誇り」「連帯感」で、「これらの要素が高い企業が、働きがいのある企業です」と斎藤氏はいうのである。 2008年2月にGPTWが発表した「働きがいのある会社2008」の会社で上位にランキングされた会社は、実際にこれら5つのディメンションをどう満たしているのか、見ていこう。

■Part2 エンジニアが求める「働きがい」とは
・Case1.マイクロソフト 社員を尊重する姿勢が浸透。働きがいのある企業No.1の源
 人事本部採用グループ マネージャの高杉満紀子氏は、マイクロソフトが働きがいのある企業NO.1に選ばれた理由を次のように考える。
「まずは自分たちの携わっている製品が、誰もが一度は手に触れたことのある、影響力のある製品であること。次に当社の『ITを使って世の中に役に立ちたい』という経営のミッションが、自分たちの仕事の方向性とマッチしていること。第三に上下の関係なく、社員を尊重して仕事をしていこうという姿勢があること。これらが評価されたのだと思います」
 特に3つめに挙げた社員を尊重するための方策のひとつが、10年以上前から年1回グローバルで行っているのが、社員意識調査である。
「会社の方向性や自身の仕事内容、上司、ワーク・ライフ・バランスなど、さまざまなテーマでアンケートを実施。その結果を見て、マネジャーは組織改善に取り組むのです」(高杉氏)
 その組織改善の方法も決してトップダウンでは行わないという。「押し付けにならないよう、みんなでディスカッションして、決めます」と高杉氏。また社員の声を直に聞くため、日本法人ではネット上に意見箱も設置している。これも社員を尊重するための施策のひとつだ。

 社員意識調査に加え、さらによい職場にするために2006年から展開しているのが、「myMicrosoft」という施策である。「パフォーマンスマネジメント」「報酬ポートフォリオ」「キャリア開発」「リーダー育成」「職場環境の向上」という5分野に積極的投資をするというもの。例えば「キャリア開発」では、各仕事に求められるスキルをオンラインで公開することも行っている。「これにより現在の自分の立ち位置もわかるし、目指すキャリアに必要なスキルもわかります。ですから自身のキャリアも体系的に考えることができるのです」(高杉氏)