2008年の経済環境は世界的に非常に厳しい1年だった。しかし、そうした環境下においてもエンタテインメント業界では好調に推移した産業や企業が存在した。今回はその背景について考えてみたい。また、2009年の注目点も述べたい。【バックナンバーはこちら】

■世界のゲーム市場は過去最高を更新したと推測

 2008年の世界のゲーム市場は過去最高だった2007年の水準を上回り、さらに過去最高を更新したと推測される。日本においては、ハードの普及が一段落し、DS向けソフトの反動減から前年水準を下回った。しかし、欧米市場では過去最高を更新し、それがけん引役となり世界的にも過去最高を更新したとみられる。

 マクロ経済環境との相関性に関しては以前にも述べた通りではあるが、今一度、「低価格」という側面について考えてみたい。ゲームソフトの場合は、絶対的な水準が旅行や遊園地などの他のレジャーと比較して低価格といえる。さらに、そこに「時間当たりの価格」を考慮すれば、さらに低価格になるだろう。

■ゲームソフトは、1人当たり、時間当たりの価格が格段に安い

 たとえば、RPGをクリアするのに必要な時間が50時間や100時間であれば、1時間当たりの単価はそれだけ低下することになる。他のレジャーの場合、通常は時間が増加すれば、普通は絶対的な料金が上昇するのとは正反対といえよう。そのうえ、1つのソフトを複数人で遊ぶことができれば、その人数分だけ「1人当たり単価」が低下する。他のレジャーの場合、人数が増加すればその分絶対的料金は増加するとみられる。

 日本のゲームソフトでも市場全体は減少したが、こうしたタイトルの販売は好調だったとみられる。たとえば、「カラオケ JOY SOUND Wii」は上記の条件に合致するといえよう。パッケージの価格はマイク1本付きで6,090円(税込)だが、1日券(24時間)は300Wiiポイント(300円)となっている。代替サービスとしてのカラオケBOXは、人数が増加し、時間が増加すれば、絶対的な料金は上昇するが、「カラオケ JOY SOUND Wii」では逆に1人当たり、時間当たり料金は低下することになる。

 もちろん、ゲームそのものの魅力の方が、こうした価格面での優位性よりも販売本数を決定しているといえるが、こうした1人当たり、時間当たり価格が、世界的な経済環境が低迷する中でもゲームソフトの販売が好調であった1つの要因と考えられよう。


岡三証券シニアアナリスト 森田 正司[著]

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