独創的発想で活躍している若手エンジニアを探し出して紹介するこのシリーズ!今回登場するのは、会員数 約4,400万人を抱える楽天で、2005年12月に発足した楽天技術研究所の代表を務める人物だ。

・楽天株式会社 楽天技術研究所 研究所代表 森正弥さん
1975年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、アクセンチュア入社。製造業・官公庁を中心にIT戦略策定、基幹システム構築、Webシステム構築、IT 標準策定、先端技術研究所展開プロジェクトに従事。2006年9月、楽天に入社。Ruby on Rallsを楽天の開発に導入するプロジェクトのほか、未来を見据えた幅広い活動を展開している。

■理系と文系、両方の大学に受かって文系を選んだ
 子どもの頃は金融の仕事をやってみたかったんです。小学生くらいからシステマチックなものへの興味がすごくあって。金融の仕事は、そういう印象があった。実はPC8801を買ってもらってゲームにハマったりもしていたんですが、コンピュータに興味を持ったのも、システマチックなものへの興味の一環でした。そして中学、高校と進むと、今度は経済のシステムやお金のメカニズム、経営・組織の仕組み、みたいなものに興味を持つようになるんです。

 通った高校、というか、たまたま僕の学年で実験的なことが行われたんですが、文系と理系が分けられなかったんですね。日本史から物理まで全部やる。だから、文系も理系も両方、受験することができた。結果的に理工学部と経済学部の両方に合格しました。興味があるのは経済や金融。迷ったものの、“迷ったときは王道を行け”という思いで決断しました。このとき、いろんな人に相談したんですが、年齢の近い人たちはみんな“理系に行け”と言い、数十歳も離れた年配の人は、みんな“文系に進め”と言ったのは興味深かったですね。

 それで経済学部に入るわけですが、1994年はちょうどインターネットが授業でも扱われるようになった頃。経済学では数学も使いますし、理系的な要素をなくすことなく学生生活を送ることができました。でも、やっぱり僕の中では、文系も理系も両方がまたがっていたんです。面白いんですが、高校の同級生たちもそうで、彼らがついた職業は“業界”“仕事”とスパッと割り切れないようなものが多い。またがる傾向のある人が、輩出されていったんです。

 大学では国際金融を専攻しました。そのまま金融機関に進む道もあったわけですが、それを変えたのはやはりインターネットとの出合いでした。僕は小学生の頃から小説を書いていて、大学時代に書いた小説をホームページに載せてみたんです。すると、いきなり知らない人からメールが送られてきて。それも、外資系の金融機関に勤める方から、「僕の小説を読んで救われた気持ちになった」と。これまでには、まずなかったような世の中の人とつながる実体験で、今後はすごいことになると思いました。それで、まずはテクノロジーをやるべきだ、と思ったんです。

 そんなとき、たまたまアクセンチュアに勤務する先輩の話を聞く機会があって。世界中に展開して、世界にまたがる。いろんなビジネスに携わって、いろんなビジネスにまたがる。もともと、またがるのは、自分の習性(笑)。これは面白い、と思ったんです。

■聞いたことのない罵声を浴びせられる運用現場で学んだこと

 入社して最初に携わったのは、ある大手メーカーの大規模経理システムのプロジェクトでした。印象は鮮烈でしたね。150人を超えるプロジェクトのメンバーが、膨大な量の開発をタイムテーブルに基づいて着々と作っていく。まるで工場のように。自分の実力をはるかに超える仕事を任されたりもして厳しかったですが、プロジェクト運営をいろんな角度から見ていました。