日本では財政制度等審議委員会が撤回し、二兆円の使途を見直しを要求されるほど、経済対策には期待されていない定額給付金。台湾では定額給付金に似た経済対策を19日実施した。
ドイツでもこのような対策をとるか検討していると言う。総額としては150億ユーロ(約一兆八千億)。実施する理由は日本と同じように個人消費を活性化させ、景気を良くしたいというもの。一人500ユーロが配布される予定だ。ドイツ国内では一定期間にわたる自動車税免除などを含む景気対策では不十分だと言う一部の声があったため。ドイツは2009年度の実質国内総生産成長率が戦後最悪となる、マイナス2.25%の見通しを発表した。
イタリアでも年金生活者らを対象にこのような対策をとる考えを示ている。

自民、民主が党大会を開いた19日、台湾では日本の定額給付金に似た景気対策が実施された。
これは約2300万人の全国民に3600台湾元(約一万円)相当の、商品券が配布されると言うものだ。その名も「消費券」。1999年に配られた、地域振興券のような感じだが、使い方にはかなり幅があり、消費券は地域振興券と異なりつり銭も出る上に、配布対象者も全国民である。しかし、消費券の販売、現金、商品券、電子マネーの交換、投資や公共料金の支払いは禁止されている。

この対策も日本と同じように、減税から消費券という形になった。
元々与党は地方公共事業で景気を刺激することを提案したが、どこの国でも与党がやることに野党は反対するもので、それでは急激な上に多額の公共事業への資金投入は、インフレや品質の悪化につながると主張した。野党はこの与党の対策に対抗するため、減税によって、景気刺激案を提案し、その提案に対抗する形で、与党はこの「消費券」案を実施。

日本の定額給付金と異なる点は、現金をばら撒くのではなく、消費を出来るように工夫してあるところだ。消費券にしてしまえば、印刷などの手間もかかるが、現金では貯蓄にまわされる恐れがある。そして、この消費券には期限があり、今年の9月末しか使えない。日本では嫌われている給付金型景気対策だが、台湾では旧正月と言うこともあり、歓迎されている。台湾の馬英九総統は20日に消費券効果が出始めているとの見方をしめし、経済相は「効果が出ていると判断できれば、追加発行も検討」する考えを明らかにした。

もちろんこの対策に否定的な考えを持つ人もいる。当たり前だが野党は反対している。日本と同じように政府の財源を悪化させる恐れや消費券が偽造される可能性もあるからだ。そして、野党と似た対策を打ち出したことも気に食わないようだ。また、日本の地域振興券を例に出して、消費券の効果は一時的なものだと主張する経済学者もいる。

ドイツでは減税案がすでに実施されているようだが、その上に支給案も検討している。減税では内需を刺激するには効果がないこと示唆しているように思える。減税プラス支給で本当に経済効果が出るのだろうか?今後の世界の景気対策に注目していきたい。
(編集部:吉岡 輪)

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【参照】
台湾、「消費券」を全住民に配布