金融業界全体に影響を与えるPMを目指し安定した銀行直系SIerを飛び出したH.Aさん

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現在31歳にして大手SIerでPMを務めるH.Aさん。大手金融機関に向け、新しいサービスの実現に向けた業務設計の段階からかかわっている。多くの若手SEが目指すキャリアに、彼はどのようにしてたどり着いたのか見ていこう。

大規模システム構築プロジェクトを率いる、プロジェクトマネジャー(PM)。その中でも、大手クライアントが新たなビジネス創出に挑む際に頼るのは、一握りの有名SIerのPMであることがほとんどだ。ある意味、情報システム産業におけるキャリアの頂点であり、高収入も見込める。このポジションに到達するためには、どのようなルートがあるのだろう。やはり有名大学を出て、新卒で業界トップクラスの企業に入社するしかないのか。決してそうとは限らないことを、ここに紹介するH.Aさんは証明している。彼は文系の大学を卒業し、新卒入社したのは銀行のシステム子会社だ。そこから転職という手段で、国内でも有数の実績を誇るSIerに移り、現在は3000人月規模のプロジェクトを率いているのである。

■転職前編 結果の見えた未来はつまらない。
新卒で入社した企業は信託銀行のシステム子会社のA社。一般的にはユーザー系と称され、親会社のシステム開発需要を満たすことが存在理由であることから、受託案件の獲得競争に参加する必要がない。また、社員エンジニアは常に元請けの立場でプロジェクトに参加できるとされる。それゆえ転職市場では人気が高いそうだ。何より過密なプロジェクト進行で忙殺されることが少ないのが転職希望者に支持される理由らしい。確かにA社に7年ほど在籍し、そうした見方が間違いではないことを体感した。だが、当初からそれは魅力には映らなかった。何といっても、常に親会社から完成度の高い仕様が下りてくるのが嫌だった。親会社で新しいシステムを構想するという動きがあっても、仕様が決まるまでかかわれない。これでは元請けの体裁を取りながらも、下請け体質そのものである。

それでも入社当初から全力で勉強していた。同期の仲間たちは安定を求めてユーザー系SIerを選択したと思われ、覇気が感じられなかった。だからなのか、大学卒業時にシステム開発のスキルはゼロだったが、理系出身の同期にもスキルで追いつくのにそれほど時間はかからなかった。2年目には、通常で3年かかるプログラマからSEへのステップアップを果たした。

親会社から仕事に厳しい上司が出向してきたときも、プラスにとらえることができた。その上司は、平気で部下を罵倒するような激しい面をもっていたが、仕事はかなりできる人物だったからである。それまでぬるま湯のような風土だっただけに、多くの部員は彼の厳しさに耐えかねて距離を置いたが、罵倒されることを恐れずにあえて懐に飛び込んだ。その結果、多くのことを吸収できたし、3年目にサブリーダーとして活躍するチャンスが与えられた。

4年目、5年目と、その上司に必死で食らいついていったこともあり、どんどん仕事が任された。同時に、プロジェクトマネジメントに関する書籍を読みあさり、セミナーにも積極的に参加するなど、より上流の工程ではどのようなスキルが必要かを研究し、その習得に努めた。評価もうなぎ上り。年収は700万円に至った。

ところが6年目の年に、例の上司が本社に戻ることになった。目標となる上司を失うと同時に、もうA社から吸収できることはないことを悟った。このまま居続ければ、これまでの実績から見て部長はもちろん役員になることも夢ではないだろう。でも、そんな未来に何の魅力も感じない。むしろ決まり切った未来に閉塞感を感じる。親会社だけではなく、金融業界全体にインパクトを与えるようなプロジェクトで活躍したいという目標が固まってきた。そんな機会などA社にはあり得ない。転職を選択せざるを得ないと思った。

■転職活動編 妥協をせずに機が熟すのを待つことを選択。
早速、人材紹介会社に登録した。そして、すぐに数社の面接を受けた。中には最終面接までスムーズにいった企業もあった。でも、最後の最後で条件が折り合わなかった。どの企業も、提示された年俸が、現在の収入以上を保証してくれるどころか、100万円ほど下回ったのである。別に収入アップを期待したわけではない。でも、いくら仕事内容が最優先だったとしても、収入が下がるのは納得いかない。結婚を控えていたということも大きかった。この最初の転職アプローチの結果、28歳のPLクラスのエンジニアに、700万円オーバーの待遇を用意できる企業がほとんどないということを知った。

そこでキャリア戦略を見直すことにした。A社でPMとしてのキャリアを積み重ね、マネジメントスキルを磨いて、再アプローチを図ることにしたのである。……≫続きはこちら



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