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「甘苦上海」に独女の心意気を見た!【独女通信】

2009年01月10日14時01分 / 提供:独女通信

独女通信
「甘苦上海」に独女の心意気を見た!【独女通信】
コンという名の猫も重要なキャスト
何もかもを手に入れた51歳の日本人女性企業家早見紅子は、中国・上海でも挑戦として事業を展開し、その才覚を発揮している。欲望が肯定され、勝敗が目に見える街上海で、39歳の元新聞記者石井京が、書誌学の本を購入するための12万元を紅子に無心してくる。紅子は今まで勝ち取ってきた成果のように、京を手に入れようとするが、次第に「自分の欲するもの」が何かわからなくなってくる・・・。

これは日本経済新聞朝刊文化面にこの秋から連載されている小説「甘苦上海(がんくうしゃんはい)」のあらすじ。50代だけど美貌を誇る企業家に、いきなりバカ高い本をおねだりしにくる「いい男」っていうシチュエーションは「あり得ない」とは思いつつ、この「早見紅子」の心の内に共感する独女は多い。

自分の限界も、男の身勝手さも、世の中の欲望の流れも、何もかもわかっているのに、翻弄されてしまう紅子の「愚かさ」や「かわいらしさ」、そして迷い嘆きながらも、凛とした姿勢をくずさない潔さに、世の独女は惚れ惚れせずにはいられない。

しかし、日本経済新聞朝刊文化面と言えば、この秋まで連載されていた「望郷の道」のような"男の中の男"の立身出世物語だったり、「愛の流刑地」のような"男の身勝手"を甘く煮詰めたような恋愛小説が定番だった。どちらかというと「男目線小説」欄というイメージだ。それに比べこの「甘苦上海」はどこまでも女目線。「肉体でも、ステイタスでもない、何かを求める女心」が細やかに表現されていて、「この気持ちは男にはわかるまい」と思う部分も多い。「中年」で「企業家」で「年下の男に惚れる」女の「ツンデレ」な態度は、世の男性方の反発を買うだけで、共感を得る気はしない。これでは日経の読者層には受け入れられないのではないかと感じるのだが、そうでもないらしい。

というのも日経新聞自体「男性の読み物」という枠から脱しようとしているようなのだ。本紙面もそうなのだが、週に1回一緒に投函される「日経インテレッセ」や「日経プラス1」などを読んでも、女性読者を意識していることが感じられる。文化面編集部に話を聞くと、「甘苦上海」の著者である高樹のぶ子氏に、「こんな小説を書いてくれ」という注文はいっさいしなかったらしいが、高樹氏が「日経の空気の流れ」を読んでくれたのではないかとのことだ。

高樹氏はNIKKEI NETで「それまで生きてきた全能力を賭けて挑む紅子の強欲な勇気を、応援して頂きたい」と話している。この「強欲な勇気」こそ、独女が秘かに憧れるキーワードではないだろうか。様々なことを理解するたびに己の中に芽生える「諦め」に、純粋に立ち向かう紅子の姿に、独女の心意気を見てしまう。世の中の冷ややかな視線を受け流し、肩で風を切って前に進んで欲しいと願ってしまう。それはこの小説の中に「社会における"独女たち"の立ち位置」が映し出されるような気がしてしまうからだろう。(オフィスエムツー/真鍋しまこ)

■関連リンク
「甘苦上海」公式サイト
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