三菱重工において売上・収益ともに、原動機、航空・宇宙に次ぐ部門に成長した「汎用機・特車事業本部」。世界中で働く建設機械用などのエンジンを設計するのが相模原本部工場だ。急拡大する需要を受けて、エンジニアの中途採用ニーズが高まっている。

【Part1】世界中の発電機や建機を動かせ!三菱重工相模原。技術者が引き継ぐエンジンへの愛着
 三菱重工を支える屋台骨の一角、汎用機・特車事業本部(略称:汎特)。小型から中大型のエンジンをはじめ、ターボチャージャー(過給器)、フォークリフトなどの物流機器、そして防衛省向けに供給する特殊車両(戦車など)の4つが主な事業領域だ。

 2003年度の事業規模は3000億円強(連結)だったのが、2007年度は4744億円まで増大。2010年度には5200億円の売上をめざす。その成長要因となっているのが、ターボチャージャー、ディーゼルエンジンなど汎用機製品への国際的需要の高まりだ。

 欧米先進国では、排ガス、CO2規制強化にともなって、搭載用エンジンや乗用車用ターボチャージャーの需要が活発であり、また、BRICsなど新興国でも、電力事情が逼迫しているなかで、発電機の需要が拡大している。もともと、汎特では、製品の輸出割合が6割、海外売上高も2000億円に達するなど世界の市場を相手にした事業が展開されてきた。神奈川県相模原市の本工場をマザーファクトリー、デザインセンターと位置づけ、世界18拠点に生産・販売・サービス拠点を配置した、文字通りグローバル経営が進んでいるのだ。

 今回注目するのは、汎特の事業の中で約3割の売上を占めるエンジン部門だ。
 三菱重工は国内有数のエンジンメーカーであり、そのラインナップは数馬力のポータブルエンジンから、パワフルな船舶用エンジンまで、幅広いラインナップをもつ。燃料もディーゼル、ガス、ガソリンに対応し、さらにコージェネレーションシステムなどの発電セットも手がける。

 この中で、相模原にある本工場が主に担当するのが、5〜4000馬力のディーゼルエンジン。フォークリフトのような物流機器、建設機械、発電機、灌漑用ポンプ、農機具などの動力源となるものである。
「エンジンは、ピストン、クランクシャフト、燃料噴射装置、ターボチャージャーなどの構成部品からなる。これらを自前で設計・生産できるのが強み。なかでも、燃焼効率の改善やエンジンの環境規制対応等に大きく貢献するのがターボチャージャーで、これを自社生産できる利点は大きい」 というのは、エンジン技術部の高井淳課長だ。

 高井氏が統括する小型エンジン設計課はここ数年、かつてない多忙に見舞われている。というのも、中国やロシアなどの新興諸国向け需要が急拡大しているからだ。
「これらBRICs諸国では、全般的に発電の需要が伸びている。また、インフラ整備のための建築ラッシュが続いており、建設機械需要も旺盛だ。これらの設備・機械を動かすエンジンは欠かせないものになっている。最近の国際金融不安の影響がたとえあったにしても、その成長力は簡単には止まらない」(高井氏)

 また、2012年に開始される国際的な排ガス規制強化も、エンジンのリプレース需要を生み出している。たとえば汎特では、2007年、130kW未満の小型4サイクル水冷ディーゼルエンジン全機種を米国環境保護庁(EPA)の排ガス規制に適合する環境対応型にモデルチェンジした。米国市場を中心に年間20万台を販売する計画だ。

 こうした需要急拡大を受け、同社では汎特の設備強化を進めている。小型ディーゼルエンジンの生産能力を現状の14万5000台から大幅に増強。その一方で、排ガス4次規制を睨み、そのためのパイロット設備も導入する方針だ。汎特の内製化技術の強化をはかっていく一方で、国内外のサプライヤーとの協業拡大、アフターサービスの拡充などの取組みを推し進める。