「誰もがかかる可能性がある」といわれるうつ病。患者数は年々増え続けており、以前より病に対する認知・理解度も向上し、企業側もメンタルヘルスに関して積極的に取り組んでいる。うつ病は早期発見と休養、そして適切な治療を行うことで治すことができる病気だが、実際に休養が必要になった場合、仕事にはどうやって復帰するのだろうか。

■忍び寄るストレス…こまめにセルフチェックを行おう
 労働時間が長く、まじめできちょうめんなタイプが多いとされるエンジニア。「開発が佳境に入り抜けられない」「人手が足りず代わりの人間がいない」など、ストレスを抱えながらもなかなか休めないうちに、うつ病が深刻になる場合も多いという。
 これまでTech総研では、エンジニアのメンタルヘルス対策として、専門家による心の病のタイプ別診断や、ストレスによる症状を診断するチェックツールなど、さまざまな角度で自己認識ができるレポートを公開してきた。ストレスをためているコップが満杯になり、体の症状としてあふれ出てきてしまう前に、自分の心と体の状態をチェックしてみてほしい。軽度のストレスなら、適度な発散を行うことで解消できる。また、もしうつ病にかかってしまったとしても、早期発見できれば、2〜3カ月で軽快する可能性が高いのだ。

・危険度大! 2週間続く落ち込みはうつ病の兆し
エンジニアに忍び寄る心の病を察知せよ

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身体のシグナルを聞け!ストレス症状「チェック15」

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火事場系エンジニアの武勇伝に点滅する危険な赤信号

■早期発見、早期治療が最善策……でも、その後は?
 一般的に理解されてきたとはいえ、うつ病の場合、「もし、すぐに治らなかったら?」「休養後はすぐに復帰できるのか?」……などなど、やはりどこかに不安が残る。早期発見ということは、まだ病状が深刻化する前であるから、どうしても病気が自身に及ぼす影響よりも、仕事や家庭など環境面への不安が先立ってしまい、「もうちょっと様子を見てから医者に行こう」と我慢してしまいがちだ。
 しかし、漠然とした不安から早期治療が遅れては元も子もない。次の項では、実際にうつ病と診断され、長期休養を経て元の職場に復帰したエンジニア2人と、休養中に退職し、転職で復帰したエンジニア1人にインタビューを行い、実体験を語ってもらった。うつ病の向き合い方や復帰までのプロセスについてご紹介していこう。

■うつ病から仕事に復帰したエンジニア3人の告白
 今回登場するのは、ストレスからくる体の変調を我慢し、仕事を続けてしまったためにうつ病が悪化してしまった3人のエンジニア。長い休養を経て仕事に復帰したとき、以前と比較して心境に変化はあったのか。また、心に負担をかけない仕事の付き合い方とは。

■激務とパワハラがうつ病の原因に…9カ月の休職後に職場復帰
「体がおかしい」と思い始めたのは、もう2年半前。疲れやすくなったり、めまいがしたり。自分でもストレス性を疑うんですが、やっぱり認めたくなくて、眼科や内科に行っては「問題ありません」と言われて帰る状態が続きました。
 そのころの自分は、体力以上のオーバーワークと、密室での上司のパワーハラスメントで、心身ともにボロボロでした。徹夜も多いのに密室で四六時中見張られて、情報を遮断し外部と接触させないようにするんです。気に入らない部下は仕事を干してみたり。「自分のやりたい仕事はここでしかできない」と思い我慢していたけど、いよいよ耐えかねて同僚と一緒に別の開発部署に駆け込みました。
 ようやくパワハラ環境から脱出できたのはいいんですが、もう積もり積もった疲労はどうしようもなくて、ある日めまいで倒れて専門医のところに行ったところ、「心療内科に行ったほうがいい」と言われ、原因がはっきりしたんです。でも体は限界で、めまいで起きられなくてじっとしていたら悪化して動けなくなり、ついに救急車で運ばれました。

 事情を伝えた上司に産業医の先生を紹介してもらったところ、休職を勧められたので、そのまま休むことにしました。先生から最初に言われたのは、「そこまで体力も気力もないのであれば、寝てるだけ。何もせずボーっとしてなさい」と。実際そうでした。緊張状態が解かれて気が抜けちゃうからか、何もする気が起きない。何も考えられない。そうやって気持ちを落ち着かせていきました。
 当時、自分でも休職はかなり不本意で、すぐに治ると思っていました。先生に相談し、休職して3カ月後に、開発や実験ではなくデスクワークで、リハビリ出社を試みました。でも会社に行って席に座り、簡単な作業をしていたら、途中で悪化しダメになってしまった。産業医の先生から「今度はもう長期休養を覚悟しなさい」と言われ、ショックでしたが再度休職に入りました。
 ゆっくり休んでいたら、前回の復帰がいかに無理をしていたかがわかってきた。健康な状態なら少々無理できたことも、リミットが下がっているから無理が利かない。なのに自分はもう治っていて、健康だと思い込んでいたんですね。

 休職中は生活のリズム表をつけ先生と相談し、6カ月くらいして二度目のリハビリ出社となりました。まだデスクワークのみの仕事です。いまも引き続き病院には通っていますが、こうして復帰できたのは、先生に話を聞いてもらっていたからだと思います。実は最初に受診したメンタルクリニックの先生はあまり合わず、途中で病院を変えたんですね。どちらの先生も投薬自体は変わってないので、前の先生も診療技術としては間違ってなかったんだと思いますが、やはり人なので、相性の問題もあるような気がします。
 倒れる前は純粋に忙しかったので、家庭を顧みることができませんでしたが、幸か不幸か1年近く休養を取ったことで、家庭のこともわかりました。デスクワークよりも研究開発や実験の仕事が好きですし、会社での立場や出世をあきらめるわけではないんですが、固執するのはやめよう、家庭にも目を向けようと考えるようになりました。会社でも言われてますけど、ワークライフバランスが大切だと、本当にそう思います。

■ある朝、突然家から出られなくなり、11カ月休職
 新卒で入社して半年たったある朝、突然、家から出られなくなりました。1カ月前くらいから、吐き気や頭痛がありましたが、いきなり動けなくなってしまったので、私自身、驚きました。会社が提携しているカウンセリング機関に電話し説明したところ、すぐ休職扱いに。上司にも「長期になりそうです」と伝えました。もともと学生時代からため込んでしまう性格だったので、入社して感じていたストレスも「働き始めたばかりだから」と勝手に納得していました。
 あとから考えると、インフラ運用という仕事に対する、「絶対にシステムを止めてはいけない」という命題が自分のなかにあり、それをやりがいと感じられるときと、失敗できないプレッシャーと感じられるときとで整理がつかなくなり、さらに周囲に相談もうまくできず、どんどん自分のなかでたまっていき、いつの間にか限界点を突破していたんだと思います。

 会社の寮に住んでいたので、休職していることがとにかく後ろめたくて、休職直後は会社の人に会わないように、ほとんど外出せずに過ごしていました。休んでいるだけじゃダメだと思いつつ、もう何をしていいのかもわかりませんでした。
 それから3カ月たってカウンセリングに行き、まずは「朝起きて夜寝る」「食事は3食」など規則正しい生活を心がけるようにしました。少しずつ生活を変えていくきっかけを得るうちに、気持ちにも変化が表れてきました。これまでできなかったことができるようになると、些細なことでも自信になるんです。ようやく、外を歩けるようになりました。さらに3カ月たったあたりで、薬の量の多さに疑問をもつようになり、思い切って先生に相談したら「減らそうと思う時点である程度治っていると思う」と言われ、目の前がパーッと晴れてきました。とても遠くて現実感のなかった復職が、このころからようやく実感できるようになり、その後1日のスケジュールを出社と同じリズムにして、復職の準備を始めることになりました。
 先が見えてきたので上司に連絡をしたら、「戻ってくるのを待ってる」と言ってもらえました。本当にうれしくて、心から頑張ろうと思えたんです。

 休職から約11カ月。いきなり5日間は厳しいので、金曜から復帰しました。休職しているうちに会社の事情も変わり、個人が業務を抱えることがないように設計されていたり、何かがあったときにリカバーできる環境づくりを積極的に行っており、「システムが止まったらどうしよう」に悩むのではなく、「どうしたらいまより良くなるのか」を考えられるようになりました。また、長く休んでいるうちに人の入れ替わりもあり、気負わずに職場復帰ができました。……≫続きはこちら

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