【斉藤宏則コラム】秋春制は可能なのか? 北海道の本音
2008年12月16日16時44分 / 提供:FOOTBALL WEEKLY
飛行機が津軽海峡を越えて北海道上空に近づく頃、機内にアナウンスが流れる。
「到着地、新千歳空港の天候は雪。気温はマイナス2度です」
直後、観光客と思われる一団からは「おぉー」という歓声にも近い声が上がり、そして筆者のように旅を終えて北海道に帰る者は、若干の憂鬱さを感じる。
これが、12月から2月頃までの、雪の少ない地域から北海道へ向かう飛行機内の大体の姿だと思っている。
首都圏などからの観光客にとってはある種、別世界への旅の味わいとして、雪や寒さもまた趣があるのだろう。だが、現地に住む人間のひとりとしてそのときの機内での気持ちを表すならば、「またあの日常が待っているのか……」である。
北海道の主要都市である札幌市は、「住んでみたい都市」というアンケートで毎年のように上位にランクインすると聞く。だが、「住んでみたい」と思うのと、実際に「住む」のとは違う。ひと冬を過ごすことの大変さを知れば、ランキングにも変動が生まれるだろう。北海道の冬の寒さ、いや、厳密に言えば降雪とともに過ごす生活は、それくらいハードなのだ。
■デメリットを超えるメリットがあるのか
「Jリーグの秋春制移行」。いまやサッカーファンには説明の必要がないほど浸透しつつあるこのフレーズ。大まかに言うと、2010年のW杯南アフリカ大会(6月11日〜7月11日)が終了したタイミングから、Jリーグを秋開幕、翌年春閉幕の、欧州と同じスケジュールにしようという、日本サッカー協会の犬飼基昭会長が今年7月の現職就任直後に打ち出したプランのことである。
客観的な立場から考えれば、世界サッカーの中枢を担う欧州とスケジュールを合わせることは、確かにメリットがあると思う。スケジュールが合致していることで、メンバーやコンディションの良いチームと代表戦を行なえる機会が増える。
さらに、たとえば来年2月11日にはW杯アジア地区最終予選のオーストラリア戦が組まれているが、この時期は現在のスケジュールだとJリーグのオフ期間にあたるため、代表選手たちはシーズン開幕に向けるのとは別に、この試合のためのコンディション作りをしなければならない。だが、「秋春制」に照らし合わせるとシーズンの中頃であるため、コンディション作りの問題はない。ある程度のオフも確保される。
また、Jリーグから欧州リーグへの移籍も現状よりはスムーズになる。
ただし、メリットというのはそれによって派生するデメリットを凌駕してこそ、初めてメリットとしての意味をなすのではないだろうか。
デメリットについては、4月から新年度が始まる日本社会のカレンダーとのズレや、JFLや各地域リーグなどとの調整が必要であるなど、細部まで見れば枚挙にいとまはない。中でも現時点で秋春制移行の是非について最大のテーマとなっているのは、「札幌など降雪地での冬場の試合等々をどうするのか」という部分だ。
犬飼会長はサッカーがウインタースポーツであるとした上で、現状のJリーグのスケジュールでは気温の高い夏場にも試合が行われることに触れ、「夏場は暑さで運動量が落ちる試合が多く、試合のクオリティが下がる」という観点からも秋春制への意向を推奨する。
確かに、気温の高い環境下ならば試合のクオリティを高く維持するのは難しいだろう。だが、気温が低ければそれが難しくなくなると言い切ることもできない。気温が低くなりすぎると、ボールの反発係数に変化が生まれ、ボールが通常とは違った軌道を描く場合も少なくない。運動量は維持できるかもしれないが、試合のクオリティについてはまだ不明瞭というべきだろう。
これをクリアにするには、札幌ドームのような屋根つきスタジアムを降雪地域に増やす必要がある。同時に、降雪地帯をホームタウンとするクラブは、冬期間は主にアウェイゲームばかりにするというアイデアもあるようだ。
だが、札幌市内にもう雪の姿が見え始めていた11月末のJ1第32節、東京V対札幌戦(味の素)時、アウェイゲームに帯同した札幌の矢萩竹美社長は、「確かに冬場でも雪のない地域なら今日のように試合は問題なくできるが、札幌市内は雪が降っていたので試合に向けての練習が満足にできなかった」と漏らしていた。
つまり、降雪地帯のクラブについては、試合会場だけでなく練習場にも屋根の設置が必要となるのだ。
「到着地、新千歳空港の天候は雪。気温はマイナス2度です」
直後、観光客と思われる一団からは「おぉー」という歓声にも近い声が上がり、そして筆者のように旅を終えて北海道に帰る者は、若干の憂鬱さを感じる。
これが、12月から2月頃までの、雪の少ない地域から北海道へ向かう飛行機内の大体の姿だと思っている。
首都圏などからの観光客にとってはある種、別世界への旅の味わいとして、雪や寒さもまた趣があるのだろう。だが、現地に住む人間のひとりとしてそのときの機内での気持ちを表すならば、「またあの日常が待っているのか……」である。
北海道の主要都市である札幌市は、「住んでみたい都市」というアンケートで毎年のように上位にランクインすると聞く。だが、「住んでみたい」と思うのと、実際に「住む」のとは違う。ひと冬を過ごすことの大変さを知れば、ランキングにも変動が生まれるだろう。北海道の冬の寒さ、いや、厳密に言えば降雪とともに過ごす生活は、それくらいハードなのだ。
■デメリットを超えるメリットがあるのか
「Jリーグの秋春制移行」。いまやサッカーファンには説明の必要がないほど浸透しつつあるこのフレーズ。大まかに言うと、2010年のW杯南アフリカ大会(6月11日〜7月11日)が終了したタイミングから、Jリーグを秋開幕、翌年春閉幕の、欧州と同じスケジュールにしようという、日本サッカー協会の犬飼基昭会長が今年7月の現職就任直後に打ち出したプランのことである。
客観的な立場から考えれば、世界サッカーの中枢を担う欧州とスケジュールを合わせることは、確かにメリットがあると思う。スケジュールが合致していることで、メンバーやコンディションの良いチームと代表戦を行なえる機会が増える。
さらに、たとえば来年2月11日にはW杯アジア地区最終予選のオーストラリア戦が組まれているが、この時期は現在のスケジュールだとJリーグのオフ期間にあたるため、代表選手たちはシーズン開幕に向けるのとは別に、この試合のためのコンディション作りをしなければならない。だが、「秋春制」に照らし合わせるとシーズンの中頃であるため、コンディション作りの問題はない。ある程度のオフも確保される。
また、Jリーグから欧州リーグへの移籍も現状よりはスムーズになる。
ただし、メリットというのはそれによって派生するデメリットを凌駕してこそ、初めてメリットとしての意味をなすのではないだろうか。
デメリットについては、4月から新年度が始まる日本社会のカレンダーとのズレや、JFLや各地域リーグなどとの調整が必要であるなど、細部まで見れば枚挙にいとまはない。中でも現時点で秋春制移行の是非について最大のテーマとなっているのは、「札幌など降雪地での冬場の試合等々をどうするのか」という部分だ。
犬飼会長はサッカーがウインタースポーツであるとした上で、現状のJリーグのスケジュールでは気温の高い夏場にも試合が行われることに触れ、「夏場は暑さで運動量が落ちる試合が多く、試合のクオリティが下がる」という観点からも秋春制への意向を推奨する。
確かに、気温の高い環境下ならば試合のクオリティを高く維持するのは難しいだろう。だが、気温が低ければそれが難しくなくなると言い切ることもできない。気温が低くなりすぎると、ボールの反発係数に変化が生まれ、ボールが通常とは違った軌道を描く場合も少なくない。運動量は維持できるかもしれないが、試合のクオリティについてはまだ不明瞭というべきだろう。
これをクリアにするには、札幌ドームのような屋根つきスタジアムを降雪地域に増やす必要がある。同時に、降雪地帯をホームタウンとするクラブは、冬期間は主にアウェイゲームばかりにするというアイデアもあるようだ。
だが、札幌市内にもう雪の姿が見え始めていた11月末のJ1第32節、東京V対札幌戦(味の素)時、アウェイゲームに帯同した札幌の矢萩竹美社長は、「確かに冬場でも雪のない地域なら今日のように試合は問題なくできるが、札幌市内は雪が降っていたので試合に向けての練習が満足にできなかった」と漏らしていた。
つまり、降雪地帯のクラブについては、試合会場だけでなく練習場にも屋根の設置が必要となるのだ。
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