今回の【ドラマの女王】は金曜ドラマ『流星の絆』。『容疑者Xの献身』他で人気の作家 東野圭吾原作、ドラマヒットメーカー宮藤官九郎の脚本。この二人へのオファーが通ったところで八割がた仕事が終わっているようなこのドラマ。話題性が視聴率を引っ張っているように見えるのだが。

二宮和也演じる長男・功一が主役のわりには影の薄くキャラクターが不明。二宮もどう演じていいのかわかっていないようだ。娘ざかりの戸田恵梨香はかわいいとして、もう一人の兄役の錦戸亮も演技に精彩が無い。童顔のせいか三人ともチマチマっとして、兄弟というより同級生みたいに見える。肝心の“絆”らしさがどこにも見当たらない。

ドラマ放送前、CMでさかんに流されたデビッド・ボウイの『Space Oddity』を聞いて、映画『ベルベット・ゴールドマイン』のような哲学的で“ホモ的”なストーリーを期待した人も、映画『ピンポン』や『池袋ウエストゲートパーク』のようなハジけた“クドカン節”を期待した人達も中途半端な『流星の絆』に満足できたであろうか。このドラマ、サスペンスとしても、恋愛モノとしてもコメディーとしてもまともに成立していない。宮藤官九郎が脚本を手がける作品には“アタリとハズレ”があるとよく言われるが、それは単に視聴率を差すのではなく、ドラマの面白さについてのアタリハズレで、今回は間違いなく“ハズレ”だ。

でもなぜ視聴率がいいのか。この手のドラマを「面白い」と感じ、毎週律儀に見ている人もそれはいるだろう。が、ただ単に「話題に乗り遅れたくないから」という理由でチャンネルをひねる一定の世代が多数存在する事や、ジャニーズ事務所を中心としたキャストを組んだ理由が大きいのではないか。若者達は、メールやゲーム、あるいは勉強、PCをたたきながらもテレビをつけっぱなしにする。オムライスの味に秘められた両親殺害の謎のうんぬんかんぬんなる安っぽく退屈な筋立ては「〜ながら見」でも十分理解できる。ヘビーな内容を直視しないでいい気安さもある。クドカンは深刻な犯罪被害者事情でさえもお笑いに変える。

陳腐な詐欺コネタや、テンポの悪い復しゅう劇の中に大事なナゾが隠れていようが気にならないし、期待もしない。それらが東野圭吾の原作小説を先に読んだ人に、「うんちく」を気持ちよく語らせる為のサービスかもしれない。

三浦友和、尾美としのり、要潤などの脇役陣が、フジの「ルーム・オブ・キング」の足元にもおよばないキャラクターの貧弱さ。みんなキャリアのわりには“味の無い”演技をしている。ただ挿入曲を歌う中島美嘉が、功一を慕うけなげなホステスとして登場。なぜかいつも1000円を受け取りドボン!とゴムボートに乗り込む姿がかわいい。間抜けなホスト役の杉浦太陽と、この二人が時々出てきては場をさらう。

だらだら見続けて、気が付けば物語がとうとうクライマックスに。
妹が愛してしまった男の父親が、本当に両親を殺した犯人なのか。もうそんな事はどうでもいい気もするが、毎回オチがよく解らないクドカン流のバタバタした展開でラストまで引っ張られて「流れ星のようなスピードで事件解決!」そんな展開にだけはしないでほしい。

(編集部:クリスタルたまき)
「 【ドラマの女王】 『うそうそ』 に見る、古谷親子の絆。」
「【ドラマの女王】 速水もこみち、やはり演技力が成長していた!! 火曜ドラマ 『オー!マイ・ガール!!』」
「ボロボロ KAT–TUN 。消去法で残るメンバーは?」
「【ドラマの女王】 『ブラッディ・マンデイ』 ストーリーなんてどうでもいいの。」

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