「大変です! 中国で『山梨勝沼』という地名が勝手に商標出願されているらしいですよ」

 今年8月、山梨県庁の職員たちは慌てふためいた。

 ここ数年、日本の地名が中国で商標登録されているというニュースを受けて、県でも独自に調査してみたところ、山梨県の地名である「山梨勝沼」が、中国で勝手に出願されていることが判明したのだ。商標出願の主はある中国企業、出願の分類はアルコール分類だったという。

「(これはどう見ても)勝沼ワインを念頭に置いた冒認申請(他人が使用している名称などを第3者が出願してしまう)であると思う」

 このような事態を受けて、山梨県の横内正明知事は、11月の定例記者会見で危機感を露にした。横内知事は、中国で「山梨勝沼」が公告され次第すぐに異議申し立てができるように、県ワイン酒造組合と連携して準備を進めることを明らかにした。

 また、現在中国への輸出を検討している商品のうち、主にワインと果物の2つを、商工労働部と農政部の職員がインターネットで重点的にチェックしていることもつけ加えた。

 しかし、中国では年間約70万件以上もの商標が申請されており、膨大な数の出願を県職員がすべて把握してチェックするのはほぼ不可能。そのため、関連費用を新たに来年度予算に盛り込み、中国商標事情にくわしい国際特許事務所などへの調査委託も検討するなど、「中国と台湾における出願状況の監視体制を強化していく」(横内知事)という。

 実は、このようなケースは山梨県ばかりではない。中国での相次ぐ商標先取り事件に危機感を抱き、ここに来て中国における出願監視体制の強化に乗り出す地方自治体が増加しているのだ。

 模倣品などを含む「海賊版の天国」と言われる中国は、これまでも知的財産権への“無頓着ぶり”でよく知られて来た。遊園地の“偽ミッキーマウス”が日本のテレビで報道されたり、日本企業の社名や企業ブランドに似せた名称が国内で横行するなど、例を挙げればキリがないほどだ。

 それに加えて、数年前から「青森」「博多」「加賀」「宇治」「近江」といった、日本の地名としか思えないような名称が中国で実際に申請(一部はすでに登録)されていることが、次々に発覚している。そのため、該当する地方自治体や地名を冠した商品ブランドを持つ事業者は、まさに“困惑しきり”という状況なのである。

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