ゲーム好きのエンジニアは多いと思いますが、小野和俊さんほど熱中している人を私は知りません。大学時代は「QuakeII」の国内大会で4位に輝き、この2年ほどは「World of Warcraft」に夢中とのこと。趣味を尋ねたら、やっぱり答えは「ゲームとプログラミング」。

■国内大会で4位に輝くも、マウスさばきの限界から引退
―  ゲームがとってもお好きなようですね。

お  プログラミングを始めたのもゲームを作りたいと思ったからです。ただ、自分でRPGなどを作るのはさすがに難しくて、ゲームセンターの「スペースハリアー」に小遣いのほとんどをつぎ込んでいましたね。それから「ドラクエ」や、FM-TOWNSで「ウィザードリィ」や「マイト・アンド・マジック」なんかをしていました。
 大学に入ってからは、マシン相手ではなく人が相手のオンラインゲームに移っていきました。最もハマっていたゲームのひとつが、「QuakeII」というファースト・パーソン・シューター(FPS)ゲームです。国内大会で4位になったこともあるんです。

―  それはすごい。どうしたらそんなに上手になるんですか?

お  マウスの素振りをしたり、大学を休んで友人と合宿したりですね。当時はネットの通信料が高かったのですが、23時から翌8時は「テレホーダイ」で定額料金でした。ですから、23時にチームで集まって翌8時まで特訓や試合をして、昼ごろまで反省会をして、寝て、また23時に集まるのを繰り返していました。
「集まる」といってもネットの中ですけど。

―  ん? マウスの素振りとは何ですか?

お  どれだけ早くマウスを動かして正確な位置に止められるかを、向上させるための素振りです。私は4位入賞の後で引退したのですが、その理由は、新しく参戦してきた若手ゲーマーのマウスさばきに勝てないと悟ったからです。
 大学時代に熱中したもうひとつが「Ultima Online」というオンラインゲームです。ネットゲームのはしりのころで、当時はある意味で無法地帯だったんですね。このゲームでは家や財産をもてるのですが、一方では、ほかのプレーヤーを殺したり、その財産を盗んだりするPK(Player Killer)と呼ばれるプレーヤーもいました。
 あるとき、家に帰って扉を開けた瞬間に、陰に隠れていたPKが私を殺し、何カ月もかけて集めたアイテムをすべて奪っていったのです。しかも、わざわざ「エヘヘヘ」というメッセージを残してです。どれだけ憤慨したことか……。彼らはキャンパーとも呼ばれ、見ず知らずのプレーヤーに嫌がらせをするためだけに、半日同じ場所で待っていることもあるのです。

■「ずっとこのままでいい」と思えるゲームの魅力
―  ひどいヤツらですね! しかも執念深い。

お  ですから、こうした被害にあった人たちが自警団を結成するんです。最初はPKを見張る程度ですが、徐々にPKの家財を盗んだり、PKを殺したりして、PKK(Player Killer Killer)と呼ばれるプレーヤーになっていくんです。
 その一方では、自警団の中で権力抗争が始まります。「組織の運営が大変だからいいアイテムはよこせ」などと言うプレーヤーが出てきたりして、組織が腐敗していくわけです。人間社会の縮図が垣間見られる、ソーシャルな刺激がオンラインゲームにはありますね。

―  そして今、熱中しているのが「World of Warcraft」(WoW)なんですね。

お  完成度が高く、プレーヤー同士で互いに成長できるためでしょうか、2年ほど続けていても全く飽きません。週末になると1日15時間やっていますよ。もちろん累計時間ですけど。ひとつのダンジョン(ゲームの舞台)をクリアするのに5人程度のメンバーが必要で、3時間くらい掛かるときもありますから、そのぐらいはたってしまうんです。