三菱重工業の挑戦!発電プラントを創る技術者の闘い

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世界中で急増する原子力発電所需要を受けて、三菱重工業が攻勢に転じている。その中核事業所である神戸造船所では、工場設備投資の拡大に加え、年間数十人規模でプラント技術者の中途採用を進めている。同社の開発戦略と人材採用の狙いを取材した。

■20年間で100基建設。追い風に乗る原子力発電プラント
 神戸港に面したドッグでは、全長300mを超える新型コンテナ船がその巨体をあらわにしていた。巨大なクレーンが船体を取り囲み、これから組み立ての最終工程に入るところだ。 三菱重工業神戸造船所。略称「神船」は、100年以上の歴史を誇る国内有数の造船所。コンテナ船、自動車運搬船、クルーズ客船など拡大する商船需要に応えてきた。海上自衛隊の潜水艦や海洋研究開発機構の大深度潜水調査船「しんかい6500」もここで造られた。ただ、神船の生産高に占める割合でいうと、船舶・海洋機器は2割程度にすぎず、むしろ事業の主力は約7割を占める原子力・原動機関連だ。

 三菱重工業は、加圧水型(PWR)原子力発電プラントの国内唯一の総合メーカー。神戸港に面した神船本工場と、明石市にある神船二見工場、さらに高砂市の高砂製作所の兵庫県内3拠点で、プラントの開発・設計、製作、検査、据え付けから運転支援、アフターサービスまでを分担する。なかでも本工場は、原子炉容器、加圧器、蒸気発生器、それらを収める格納容器など、原子力エネルギーを生み出す一次系を受け持つ最重要拠点だ。

 今、海外から原子力プラントの引き合いが殺到し、神船の設計・製造の現場は大忙しだ。発電時のCO2排出量ゼロという特長から地球温暖化対策の切り札として原子力発電が見直され、今後20年間に世界中で建設予定の原子力プラントは100基超ともいわれる。欧米の大型炉、東欧・東南アジアなど新興国でのニーズが見込まれる中型炉、そのいずれでも同社の技術力が大いに期待されているのだ。

■国内23基の実績が、世界中から注目を集めている
 最近の原発需要は、2005年、ブッシュ米大統領の包括エネルギー法案署名が転換点となり原発建設再開に向けて舵を切る。しかし、30年間原発新設を凍結してきた米国では、多くのメーカーが原子力事業から撤退し、プラント新設技術はやせ細っていた。こうした“原発冬の時代”にも、日本では安定した原発建設実績があり、たしかな技術を継承してきた。

 各国のエネルギー政策の転換は、原子力メーカーの世界的再編につながっていく。米国の名門ウェスチングハウスは東芝に買収され、GE(ゼネラル・エレクトリック)は日立製作所と新会社を設立した。そして、世界の主流を占めるPWR陣営では三菱重工業と仏アレバ社が2006年に中型原子力プラント開発で事業提携を発表することで、世界の原子力メーカーは、日本企業を軸にした3大グループに集約されることになった。

 今や日本企業の力を借りなければ、原子力プラントの新設は不可能とさえ言われる。中でも、三菱重工業には1970年の関西電力美浜発電所1号機を皮切りに、関西、九州、四国、北海道の国内電力事業者にPWRプラントを23基納めた実績(もちろんトップシェア)がある。新設並びに既設原発のアフターメンテナンスを通して培った、たしかな技術がある。

 当初、国内原子力プラントの寿命は「30年」と言われたが、今は「60年」。大型主要機器のリニューアルによって稼働期間を安定的に延ばす長寿命化対策も、「世界初」の実績を多数有する重要な技術であり、今も多くのプラントで工事が進められている。さらに、70〜80年代に建設された初期の原子力プラントは、あと20年もすればリプレイス需要が見込まれており、原子力プラント技術者を必要とする理由の一つになっている。

■巨大プラントを正確にコントロールする電気制御技術
 原子力プラントは、各種主要機器や配管など各構成機器の開発・設計・製造から運転制御、土木・建設技術までを含む、数多くの要素技術の総合体だ。神船のエンジニアたちの学生時代の専攻分野を見ても、核物理など原子力が専門の人は2割程度で、ほとんどが化学、機械、電気、建築、土木などを専攻した人たちだ。

 これまでは新卒をじっくり育てるのが基本だったが、国内既存プラントの設備更新、海外での新規建設という両面での需要の高まりを受け、神船では昨年度から数十人規模の本格的な技術者中途採用を始めた。
「ほとんどが、それまで自分は原子力とは無縁と思っていた人たち。しかし、プラント建設にあたっては、その人たちの力が重要になる」というのは、原子力プラント設計部の安井譲次長だ。……≫続きはこちら

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