文書、表計算、プレゼンテーションといった主にビジネスで使うオフィス系ソフトが今、大きな変革期にある。インストール型のパッケージソフトではなく、無料で活用できるWebアプリケーションが次々と発表され、ユーザー数を激増させているのだ。エンジニアの転職事情と併せて動向を紹介する。

■オフィス系Webアプリケーションとは?
 マイクロソフトの「Office」に代表されるインストール型ソフトウェアではなく、オンラインで使うSaaS型のビジネスアプリを指す。文書、表計算、プレゼンテーションなどが中心で、アカウントの登録により無料で利用できること、Officeのファイル形式と互換性をもつこと、ファイルの共有や共同編集ができることなどが特徴。
 代表的なサービスは、Google Document(Google○)、Zoho(AdventNet○)、ThinkFree(ThinkFree○)、Lotus Symphony(IBM○)、OnSheet(Team and Concepts○)、Buzzword(Adobe)など。カッコ内は開発企業でそのすべてが外資系企業。○印は日本語版あり(2月14日現在、少なくとも一部)を意味し、日本での窓口は開発企業の日本法人と提携先の日本企業とに大別される。

■Googleドキュメント 目指すのは競争ではなくユーザーとのブリッジ
 オフィス系Webアプリのサービスは数年前から始まっていたが、一般ユーザーに広く認知させたのがGoogleドキュメントだ。アプリには主要な3つがあり、知名度もユーザー数もトップクラス。昨年までGoogleドキュメントのアソシエイト プロダクト マネージャーを担当していたブラッド・エリス氏に、出張中の米国オフィスからの取材をお願いした。

●米ミシガンで実践した母親から高評価が伝わる
GoogleドキュメントだけでなくGmailやGoogleカレンダーなどを含めた、ホスティング型アプリケーションサービスである「Google Apps」。その担当者として、日本人コンシューマの意見を開発チームに伝えたり、日本でのプロモーション活動を行うなどを担当していたブラッド・エリス氏。氏はGoogleドキュメントの使い勝手のよさをこう説明する。

「私の母がミシガンの大学で事務の仕事をしていて、数人のチームで表計算のシートを管理していました。担当者がファイルをメンバーにメールして、各担当者はそれぞれの個所をアップデートして送り返し、担当者がコピー&ペーストを繰り返すという手法です。その母にGoogleドキュメントを紹介したところ、面倒くさいことがなくなって仕事が効率化したと喜んでいました。誰とでも共同編集ができ、どこからでもアクセスできるからなんですね。私もこの2つが Googleドキュメントの最大のメリットだと思っています」

●機能は限定してユーザーニーズの高い改善を目指す
 エリス氏は、個人の作業で完結するならデスクトップ型(パッケージソフト)が楽で早いかもしれないが、グループ作業や広く内容を公開する場合には、 Googleドキュメントは強いアドバンテージをもつという。そして、数あるオフィス系Webアプリと比べた特徴を尋ねると、「機能で競争はしたくない」と語った。
「デスクトップ型のすべての機能をWeb上で再現しようとも、デスクトップのユーザーを獲得しようとも思っていません。目指すのは機能を厳選した使いやすい製品であり、改善はより本質的な部分で行いたいと思っています」
 例えば、作成したデータは現在ではWebサーバに保存されるが、それをダウンロードしてオフラインでもアクセスできるようにする。モバイル端末との連携を高めて、端末でもファイルを検索できるようにする。Webアプリの宿命としてブラウザの設定で印刷されるが、それを表示されたフォーマットどおりに印刷できるようにする。こうしたユーザーの要求に対して、現在も開発作業が行われているという。