大手スーパーの西友は、「KY」をキャッチコピーにしたユニークな値下げキャンペーンを実施中だ。対象商品は食品、日用品を中心に1700品目で、かつてない規模となっている。ダイエーは4000品目を10〜40%引きにした。イオンも2000品目を10〜30%値下げ。消費が伸びる年末に向けて客を取り込もうと、スーパー大手で「値下げ合戦」が激しさを増している。

西友のキャッチコピーは、「KYでいこう!」

   日本チェーンストア協会が2008年11月25日に発表した10月の全国のスーパーの売上高は、前年同月比5.2%減の1兆747億円だった。既存店ベースでは1.6%減と3カ月連続でマイナスを記録した。世界規模での景気後退や株安の影響から消費マインドが冷え込み、高額品や嗜好品が売れなくなっているが、ここにきて、食料品や日用雑貨といった生活必需品までもが落ち込みを見せている。そんな中、スーパー大手は消費が伸びる年末に向けて、値下げ合戦を繰り広げている。

   大手スーパーの西友は、08年11月10日から値下げキャンペーンをスタートした。キャッチコピーは、「KY(カカクヤス)でいこう!」。空気が読めないことを示す略語「KY」をもじった。「KY」と、でかでかと書かれた車内広告を、西友の店舗が多い路線に集中投下した。広報担当者は「こんなに大規模な車内広告は、未だかつてない」と言い、キャンペーンにかける意気込みの高さをうかがわせた。

   値下げするのは、食品、日用品を中心に1700品目。例えば、飲料「爽健美茶」・「アクエリアス」(各2リットル)は店頭価格178円から168円に、米国産牛肉(肩ロースステーキ100g)は237円から187円に、オーストラリア産牛肉(ロースステーキ用100g)は398円から297円にそれぞれ値下げ。季節商品も対象で、クリスマスシーズンに向けて玩具は5〜20%引きに、正月用食材も下げる。同社の親会社である米ウォルマート・ストアーズ・インクの世界的商品調達網を活用し、今後も対象商品を広げる方針だ。

   広報担当者は、こう語る。

「毎年、年末にかけてスーパー各社は盛んに値下げしますが、今年はとりわけ(値下げ競争が)激化していると思います。弊社でもこれだけ広範囲にわたる値下げは、過去に例がありません」

他社が値下げすれば、うちも下げないとお客が来ない

   ダイエーはこれまでにも食料品、衣料品、生活用品を1000品目値下げしていたが、10月に1000品目、11月19日から2000品目を追加した。合計4000品目をダイエー直営店とグルメシティの339店で、10〜40%引きで販売する。09年2月28日まで。

   内訳は食品が2000品目、衣料品が400品目、生活用品が1600品目だ。対象商品は生活必需品や季節商品が中心で、毎月変わる。正月に向けて需要が増える「切り餅」(1kg)は通常価格898円を748円に、IH対応のフライパン(28cm)は2480円を1980円に値下げする。

   広報担当者は、

「お客様がいつ来ても、『あれも、これも安い』と喜んでいただけると思います。10月以降に値下げした商品は、売上げが3割伸びました」
と話し、早くも効果が現れていることを強調する。

   イオンも10月18日から食料品や衣料品を1000品目値下げしていたが、11月1日から1000品目を追加し、合計2000品目を10〜30%値下げしている。追加したのは、主にワイン、マグロなどの水産品、畜産品だ。

   日本チェーンストア協会の広報担当者は、「値下げ合戦」と化した現状をこうみている。

「可分所得が伸び悩み、1円でも安く買いたいというのが、今の消費者の本音です。売れなければ困りますから、店側は消費者ニーズに合わせていくしかありません。値下げ合戦はどこまで持ちこたえられるかの『体力勝負』で、中小のスーパーには厳しいかもしれません」

   実際に都内、中規模のスーパーの社員から、

「他社が値下げしている中で、うちも下げないとお客が来ない」

という嘆きも上がっている。

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