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小西康陽が語る「ベンチャーズとYMOと日本人」

2008年11月27日19時00分 / 提供:ナタリー

ナタリー
小西康陽が語る「ベンチャーズとYMOと日本人」
シンプルなコードで構成された「慎吾ママのおはロック」を自身の作品の中でもベストのひとつに挙げている小西康陽。香取のアッパーな魅力を最大限に引き出した、破壊力のあるナンバーに期待したい。

「『テクノ歌謡』ディスクガイド」の内容を紹介する短期集中連載。2回目となる今回は、小西康陽インタビューの一部をお届けする。
テクノ歌謡第1次ブームの時には、リスナーとして興味を持っていなかったと語る小西。「僕はアンチ・テクノ的な人間」と口にしながら、楽器への興味から打ち込みサウンドに親しみ始めた経緯を披露している。

60年代の音楽への強いこだわりを一貫して持ち続けながらも、細野晴臣のテクノレーベルからバンドとしてデビューし、作詞・作曲ともにこなす職業作家としてのテクノ歌謡的な仕事も数多い小西康陽。そのテクノ観や制作の裏側に迫るべくインタビューを行った。(インタビュー・文/坂本寛)

アンチ・テクノ的な人間なんです(笑)

――作家デビューのころの話ですが、ノンスタンダードからピチカート・ファイヴでデビューした後に、薬師丸ひろ子さんの「紅い花、青い花」と「透明なチューリップ」、水谷麻里さんの「パステルの雨」で編曲をなさってますね。

小西:しばらく細野さんの事務所に預かってもらっていて、お手伝いすることになって。「パステルの雨」って、実は高橋美枝さんの未発表曲だったんですけど、ビクターの川原伸司さんがピチカートを面白いと思ってくださったみたいで。元のヴァージョンは、いまだに聴いたことがないんですよ。

――デビューのちょっと前に、いわゆるテクノ歌謡のブームがあったと思うんですが、リスナーとしての興味は?

小西:当時プラスチックスとかSPYとか、テクノポップのバンドは聴いていたけど、テクノ歌謡はあまり熱心には聴いてなかったですね。高浪敬太郎くんが小泉今日子さんの「まっ赤な女の子」を持ってきてB面の「午後のヒルサイドテラス」を聴いたときにはこういうのもよいなと思ったんですけど。今はコンピレーションとか出てますよね。ちゃんと聴きます(笑)。

――トット・テイラーやトニー・マンスフィールドがプロデュースしたもの、テレックスのリオとか、クレプスキュールのミカドみたいな、海外のテクノ歌謡的なものは?

小西:聴いてましたね。でも結局、60年代的な部分が好きだったんですよ。当時の新しいテクニックで60年代をやるってことだったんで。使っているシンセとかには全然興味なくて。わりと一貫して楽器には興味がないんです。特に当時はコードとかハーモニーとかメロディーに興味があって。リズムアレンジには興味あったんですけど、音色とかはそんなに。そういう意味では、僕はアンチ・テクノ的な人間なんです(笑)。やっぱり生楽器がいちばんよいという人間なんで。ただ、打ち込みのビートが出てきたときにはノリがガンッと変わったから、そこは面白いなと思いましたね。

――ノンスタンダードのころにテクノの手法を選んだというのは、なかなか生楽器は使えないから代わりにシンセを使うという感じだったんでしょうか?

小西:ある日、鴨宮諒くんがDX-7を持ってきて。さわって音を聴かせてもらったら、ティンパニーとかヴァイオリンのピチカートとか、オーケストラの楽器の音が入っていて。これならバート・バカラックみたいな、自分のイメージしていた音楽をシミュレートできると思ったんです。そういう意味で、僕にとってすごく魅力的に映りましたね。

膨大なサイドワーク、貴重な裏話の数々

――小泉今日子さんの名盤、『KOIZUMI IN THE HOUSE』に2曲提供されています。

小西 いや、でもこれは近田さんの曲のほうが圧倒的に素晴らしいですよ。実は「男の子はみんな」って、早見優さんに書いてボツった曲で。ただ「キッスは殺しのサイン」も作詞は僕で、よい曲だと思っていたんで、ピチカートで演奏したこともあるんですけどね。キョンキョンのレコーディングでリベンジしたんだけど、そんなによい音源じゃなかったかなと。

――細川ふみえさんの「スキスキスー」は?

小西 いろんなところで言っちゃってるんですけど、この福富幸宏くんのアレンジはまったく気に入ってなくて。ピチカートが忙しくてアレンジできないんで頼んだんですけど。アルバムの『SUKI SUKIスキャット』に入ってるリミックスのほうがイメージに近かった。その後も、福富くんとはたくさん仕事してますけどね。

――深田恭子さんの「キミノヒトミニコイシテル」は?

小西 あれをテクノ歌謡と言われるのはすごく嬉しいですね。97年ごろ、仕事でやたらドイツに行ったんですけど、ホテルに着いてテレビをつけると本当にダメな感じの歌番組をやってて、出てくるアイドルが全部テクノなんですよ。真ん中にキーボードがあって前で女の子が歌っていて、両側にポンポンを持ったチアリーダーみたいな人がいてハッピーハードコアみたいな音楽でみんな踊ってる。「現代のアイドルってこれだ!」と思って、その記憶を頼りに。スタジオに行く前に今日は頑張んなきゃと気合いを入れたら「マ〜メミムメモ〜♪」って出て「あー、これでOKだ」と思ったりして(笑)。(書籍に続く)

※関連記事:[集中連載] あの3人が語る「テクノ歌謡と私」
鈴木慶一が語る「テクノ歌謡は僕らの砂場だった」

本書で紹介している主な小西康陽作品

・水谷麻里「パステルの雨」(1986年8月21日リリース、アルバム「なかよし」収録)
・小泉今日子「KOIZUMI IN THE HOUSE」(1989年5月21日リリース)
・細川ふみえ「スキスキスー」(1992年9月26日リリース)
・深田恭子「キミノヒトミニコイシテル」(2001年10月3日リリース)
・岩本千春「かがみ/キス」(1990年2月10日リリース)

関連ワード:
早見優  小西康陽  YMO  ベンチャー  アイドル  
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