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チベット報道、日本の新聞報道はいまいち?(下)

2008年11月22日03時27分 / 提供:PJ

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チベット報道、日本の新聞報道はいまいち?(下)
昼休み中の会議参加者にインタビューするインドのテレビ局。日本メディアによるこうした光景は見かけない(撮影:藤倉善郎、11月18日)
(上)からのつづき。インドのダラムサラで「第1回チベット人特別総会」が続いている。会期中に亡命議会議長や首席大臣などが記者会見を開き、チベット民衆の間に独立を望む声が強いことや、今回の会議の結論次第では中道路線からの転換もありうるといったコメントを発している。この会議に関する日本メディアの報道では、「強硬路線浮上」(17日、共同通信)「強硬派が発言力を増すことが予想される」(18日、読売新聞)といった表現も見られる。前回の記事で触れたように、朝日新聞を中心として独立支持派を「急進派」と表現するメディアも多い。しかし現地で取材している限り、独立を求める主張が急進的な「強硬路線」であるようには見えない。

 前回の記事で紹介した人物とは別のダラムサラ在住チベット人に、「今回の会議は、強硬路線への転換になりうるのか?」と尋ねてみた。

 「それはない。仮に『独立を主張する』という結論になったとしても、それは変化の始まりにすぎない。いきなりすべてが大転換するわけではないし、独立の主張も平和的手段で進めていくことになるだろう。チベット人はみな戦争を望んでいるわけではない。中道路線は、中国との話し合いのために選んだ道だったが、中国との交渉がうまくいかない。どのみち対話ができないなら独立を主張したい、ということ」。

 ダラムサラ在住の日本人のB氏は、「独立派は、急進的と言えば急進的かもしれない。しかしこれまで平和的手段で物事を進めてきたチベット社会が言う『独立』は、決して過激な意見ではない」という。

 「チベット人たちの間でも平和的手段による独立を求めるというのが大前提だから、独立路線になると何かやることが変わるのかと言うと、そうでもない。仮に『高度な自治』から独立路線に変わったとしても、それは単に看板が変わるだけのこと。状況を変えるために何をしたらいいか、さらなる課題が残る」(B氏)

 チベット社会では独立を望む声は強いが、中国との交渉の行き詰まりから決定的な打開策を誰も見いだせずにいる。今回の会議も独立論の高まりも、こうした苦しみの中での出来事だろう。共同通信は18日の記事で、「このままではいけないが、どうしたらよいのかわからない」と語る男性の言葉をチベット人の「本音」として紹介した。こうしたチベット社会の苦悩に言及した大手の活字メディアはほかに見当たらない。

 日本メディアは、「急進」「強硬」などと煽(あお)りたてるばかりではなく、大国に侵略され先が見えない苦境に立たされた民族の実情をもっと忠実に伝えるべきではないだろうか。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 藤倉 善郎

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