【動画】11月20日のマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(4)
2008年11月22日03時25分 / 提供:PJ
(3)からのつづき。「マスコミ」という言葉はいろいろな意味を持つ。本来はマスコミュニケーション、つまり、新聞・雑誌・ラジオ・テレビジョン・映画などの媒体を通じて行われる大衆への大量的な情報伝達を指す。転じて、それがマスメディアの意にも用いられ、いまでは報道被害などをもたらす人々といった否定的な意味を持つようにまでになってしまった。
また、マスコミにもいろいろな種類がある。新聞社、出版・雑誌社、ラジオ局、テレビ局、ネットメディアなどに分けられる。それぞれによって、行動様式が異なる。例えば、新聞社・通信社・出版社の場合、記者が一人で歩きながら、時にハイヤーを駆使しながら、取材する場合がほとんどだ。
逆にテレビ局の場合、カメラマンのほか、サウンド(音声)マン、ライト(照明)マン、ディレクター、そして記者と大所帯で行動することが多い。荷物が多いため、使うクルマはバンが多い。昨今、テレビ局の収益率が下がり、現場での人員削減が進んでこうした大所帯クルーで行動することが少なくなってきているとはいえ、よく見かける光景だ。この連載の動画バージョンでもその様子をうかがい知ることができる。
今回はマスコミの外見的な姿から描き出されるマスコミへの不信感・嫌悪感といったことを観察してみたい。その模様は動画PJ PodTVで。
メディア・スクラム、報道被害は主にテレビ局が作り出すのか
集団的過熱報道、いわゆる「メディア・スクラム」の原因として、活字媒体のマスメディアから、このテレビ局クルーの行動様式が指摘される場合が多い。前出の大手報道機関社会部デスクは「一つのテレビ局がワイドショーを含め5クルー、総勢25人以上スタッフを出す場合がある。NHKと在京民放5局がそれぞれ同じ取材体制であれば優に100人以上の報道陣が事件現場に詰めかけることになる。ホントにあんな大勢のスタッフが必要なのか。ぞろぞろ大勢で取材に来たら普通の人は嫌がる。これがメディア・スクラムの最大の原因だ」と断言する。
日本のテレビ局の取材方法は世界的に見ると特異なようだ。PJは米国で約4年間、現場取材をしてきたが、アメリカのテレビ局のクルーは多くて3人、通常は1人か2人だ。カメラマンが照明も担当し、記者が音声を担当する場合が多い。さらに米国では1990年以降、ビデオ・ジャーナリズムの台頭で、記者一人で映像取材までもすべてこなす取材方法が出現し、それが広まってきた。
PJの先輩フリージャーナリストは「大勢でぞろぞろと取材相手を追い回すキンギョのふんみたいな取材は日本人と韓国人特有なもの。みていてみっともない。欧米メディアの友人からは『あれはジャーナリストでなく、ツアーリスト(旅行者)なのか』とからかわれたよ」と話す。彼は大手報道機関の特派員経験を生かし、世界中を飛び回りながらスポーツ関連の取材を続けている。
活字メディア側はメディア・スクラムや報道被害について、テレビ局が原因だとする声が多い。ただ、このような事件現場にはテレビ局クルーに加えて新聞社、通信社、雑誌社、ラジオ局、そしてネットの記者やカメラマンら大勢のマスコミが現場に殺到する。一つの現場を大勢のマスコミがよってたかって取材するのだから、メディア・スクラムによる報道被害という結果は容易に想像できる。
黒塗りハイヤーで取材、外見から生じるマスコミへの嫌悪感
さて東京・中野の、いわゆる「年金テロ」事件現場はどうなのだろうか。20日午前8時、現場を訪れた。19日は被害者宅の西側、中継車やハイヤーが列をなしていた道路はがらんとしていた。中継車はNHKの1台だけ、ハイヤーも2-3台しかいなかった。路上で取材する記者の姿もほとんど無かった。まさに潮が引いたようにマスコミの姿が消えた。
なぜだろうか。一つは近辺住民取材は19日一日でやり尽くしたことが挙げられる。また、被害者は在宅していないものその原因。もっとも重要な取材対象が現場にいないのだ。ただ、警察による捜査はまだ続けられているので、報道陣がまだ残っているのだろう。コスト効率的というべきか、野次馬的というべきかは分からないが、きのうときょうの取材熱意の落差には驚かされた。
被害者宅の東側に回ると、道路に中継車と高級ハイヤーがずらりと並んでいた。中には国産最高級車の日産プレジデントのハイヤーも止まっていた。大企業トップや大臣が乗るクルマだとPJは思っている。どのような「ジャーナリスト」がこの黒塗り高級車に乗るのだろうか。
傷害現場にだらしない格好でたむろすマスコミ
また、普段着で街角に立ち談笑するマスコミの姿も目についた。ここは傷害事件現場である。少なくとも真剣な表情で現場に立つのがマナーというものだろう。印刷媒体の記者の場合は、ネクタイを締めスーツ姿で取材することがほとんどだ。一方、テレビ局の取材クルーの場合、記者を除いてディレクターやスタッフは普段着の場合が多い。中には繁華街から飛び出してきたようなニイチャンのような格好をしているスタッフもいる。
PJの友人宅が被害者宅のすぐ近くにある。夫婦とも昔からの友人だ。現場の帰りに立ち寄ってみた。玄関を開けるなり「なんなのよ、あのマスコミの連中。変な格好して道ばたをうろうろしていて、ぎゃーぎゃー騒いで。それで給料もらっているんでしょ。たちの悪い野次馬よね。なんとか言ってきてよ」と憤まんやるかたないといった表情で奥さんが話し出した。
PJの父親も初めてこの光景を目の当たりにして「いやーびっくりした。ああいう高級車に乗る記者からは、庶民感覚から生まれる記事など書けないと思う。それとなんだ、あのだらしのない格好は。人が刺された、殺された場所で取材する格好じゃない。へらへらしていてまるで緊張感が無い」とあきれていた。
一晩中エンジンつけっぱなしの中継車が騒音被害の元凶か
小学生のこどもを持つ友人は、前の晩は夜遅くまでヘリが飛び、中継車が一晩中エンジンを付けっぱなしにしていたことも、マスコミへの嫌悪感につながったという。「中継車って、なんであんなにうるさいの?」と尋ねてたので「クルマのエンジンのほかに、発電機を回しているのでうるさいんだよ。それが近所に何台も止まっていたんでしょ」と答えた。確かに、中継車の発電機による騒音はひどい。夜中ならなおさらだ。「うるさいって、あんたがちゃんと言ってきてよ、それがあんたの仕事よ!」となぜか怒鳴られてしまった。
そこで20日夜、現場付近に中継車を駐車していたNHKのスタッフに聞いてみた。「中継車の音が近所迷惑だと住民から苦情が出ている。一晩中、クルマのエンジンと発電機を回しておく必要があるのか」「緊急の映像がいるかも知れないのでいつでもスタンバイしておく必要がある」「エンジンと発電機を始動してスタンバイするのにどのくらいの時間がかかるのか。すぐに始動できれば付けっぱなしの必要はないではないか」「・・・」「30分、1時間かかるのか」「いや、それほどかからない」。こんな問答が続いた。報道することに精一杯で、近所迷惑だというのには気付かなかった、という表情だった。
すると、テレビ朝日のスタッフが近づいてきて、怪訝そうな顔つきで遠巻きにこの会話を聞いていた。「お宅もこの近くに中継車をエンジンかけっぱなしで止めているの。住民から苦情が来ているよ」と言うと、「いえ、うちは野方署に止めてあるので、ここにはありません」といって、そさくさと立ち去ってしまった。
「キンギョのふんのようなテレビ局クルー」「黒塗り高級ハイヤー」「だらしのない格好」「騒音まき散らす中継車」。こうした外形的なありさまがマスコミへの不信感・嫌悪感につながっているのだろう。【了】
■関連情報
19日午前1時のマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(1)
19日午前1時のマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(2)
11月19日朝から晩までのマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(3)
PJニュース.net
また、マスコミにもいろいろな種類がある。新聞社、出版・雑誌社、ラジオ局、テレビ局、ネットメディアなどに分けられる。それぞれによって、行動様式が異なる。例えば、新聞社・通信社・出版社の場合、記者が一人で歩きながら、時にハイヤーを駆使しながら、取材する場合がほとんどだ。
逆にテレビ局の場合、カメラマンのほか、サウンド(音声)マン、ライト(照明)マン、ディレクター、そして記者と大所帯で行動することが多い。荷物が多いため、使うクルマはバンが多い。昨今、テレビ局の収益率が下がり、現場での人員削減が進んでこうした大所帯クルーで行動することが少なくなってきているとはいえ、よく見かける光景だ。この連載の動画バージョンでもその様子をうかがい知ることができる。
今回はマスコミの外見的な姿から描き出されるマスコミへの不信感・嫌悪感といったことを観察してみたい。その模様は動画PJ PodTVで。
メディア・スクラム、報道被害は主にテレビ局が作り出すのか
集団的過熱報道、いわゆる「メディア・スクラム」の原因として、活字媒体のマスメディアから、このテレビ局クルーの行動様式が指摘される場合が多い。前出の大手報道機関社会部デスクは「一つのテレビ局がワイドショーを含め5クルー、総勢25人以上スタッフを出す場合がある。NHKと在京民放5局がそれぞれ同じ取材体制であれば優に100人以上の報道陣が事件現場に詰めかけることになる。ホントにあんな大勢のスタッフが必要なのか。ぞろぞろ大勢で取材に来たら普通の人は嫌がる。これがメディア・スクラムの最大の原因だ」と断言する。
日本のテレビ局の取材方法は世界的に見ると特異なようだ。PJは米国で約4年間、現場取材をしてきたが、アメリカのテレビ局のクルーは多くて3人、通常は1人か2人だ。カメラマンが照明も担当し、記者が音声を担当する場合が多い。さらに米国では1990年以降、ビデオ・ジャーナリズムの台頭で、記者一人で映像取材までもすべてこなす取材方法が出現し、それが広まってきた。
PJの先輩フリージャーナリストは「大勢でぞろぞろと取材相手を追い回すキンギョのふんみたいな取材は日本人と韓国人特有なもの。みていてみっともない。欧米メディアの友人からは『あれはジャーナリストでなく、ツアーリスト(旅行者)なのか』とからかわれたよ」と話す。彼は大手報道機関の特派員経験を生かし、世界中を飛び回りながらスポーツ関連の取材を続けている。
活字メディア側はメディア・スクラムや報道被害について、テレビ局が原因だとする声が多い。ただ、このような事件現場にはテレビ局クルーに加えて新聞社、通信社、雑誌社、ラジオ局、そしてネットの記者やカメラマンら大勢のマスコミが現場に殺到する。一つの現場を大勢のマスコミがよってたかって取材するのだから、メディア・スクラムによる報道被害という結果は容易に想像できる。
黒塗りハイヤーで取材、外見から生じるマスコミへの嫌悪感
さて東京・中野の、いわゆる「年金テロ」事件現場はどうなのだろうか。20日午前8時、現場を訪れた。19日は被害者宅の西側、中継車やハイヤーが列をなしていた道路はがらんとしていた。中継車はNHKの1台だけ、ハイヤーも2-3台しかいなかった。路上で取材する記者の姿もほとんど無かった。まさに潮が引いたようにマスコミの姿が消えた。
なぜだろうか。一つは近辺住民取材は19日一日でやり尽くしたことが挙げられる。また、被害者は在宅していないものその原因。もっとも重要な取材対象が現場にいないのだ。ただ、警察による捜査はまだ続けられているので、報道陣がまだ残っているのだろう。コスト効率的というべきか、野次馬的というべきかは分からないが、きのうときょうの取材熱意の落差には驚かされた。
被害者宅の東側に回ると、道路に中継車と高級ハイヤーがずらりと並んでいた。中には国産最高級車の日産プレジデントのハイヤーも止まっていた。大企業トップや大臣が乗るクルマだとPJは思っている。どのような「ジャーナリスト」がこの黒塗り高級車に乗るのだろうか。
傷害現場にだらしない格好でたむろすマスコミ
また、普段着で街角に立ち談笑するマスコミの姿も目についた。ここは傷害事件現場である。少なくとも真剣な表情で現場に立つのがマナーというものだろう。印刷媒体の記者の場合は、ネクタイを締めスーツ姿で取材することがほとんどだ。一方、テレビ局の取材クルーの場合、記者を除いてディレクターやスタッフは普段着の場合が多い。中には繁華街から飛び出してきたようなニイチャンのような格好をしているスタッフもいる。
PJの友人宅が被害者宅のすぐ近くにある。夫婦とも昔からの友人だ。現場の帰りに立ち寄ってみた。玄関を開けるなり「なんなのよ、あのマスコミの連中。変な格好して道ばたをうろうろしていて、ぎゃーぎゃー騒いで。それで給料もらっているんでしょ。たちの悪い野次馬よね。なんとか言ってきてよ」と憤まんやるかたないといった表情で奥さんが話し出した。
PJの父親も初めてこの光景を目の当たりにして「いやーびっくりした。ああいう高級車に乗る記者からは、庶民感覚から生まれる記事など書けないと思う。それとなんだ、あのだらしのない格好は。人が刺された、殺された場所で取材する格好じゃない。へらへらしていてまるで緊張感が無い」とあきれていた。
一晩中エンジンつけっぱなしの中継車が騒音被害の元凶か
小学生のこどもを持つ友人は、前の晩は夜遅くまでヘリが飛び、中継車が一晩中エンジンを付けっぱなしにしていたことも、マスコミへの嫌悪感につながったという。「中継車って、なんであんなにうるさいの?」と尋ねてたので「クルマのエンジンのほかに、発電機を回しているのでうるさいんだよ。それが近所に何台も止まっていたんでしょ」と答えた。確かに、中継車の発電機による騒音はひどい。夜中ならなおさらだ。「うるさいって、あんたがちゃんと言ってきてよ、それがあんたの仕事よ!」となぜか怒鳴られてしまった。
そこで20日夜、現場付近に中継車を駐車していたNHKのスタッフに聞いてみた。「中継車の音が近所迷惑だと住民から苦情が出ている。一晩中、クルマのエンジンと発電機を回しておく必要があるのか」「緊急の映像がいるかも知れないのでいつでもスタンバイしておく必要がある」「エンジンと発電機を始動してスタンバイするのにどのくらいの時間がかかるのか。すぐに始動できれば付けっぱなしの必要はないではないか」「・・・」「30分、1時間かかるのか」「いや、それほどかからない」。こんな問答が続いた。報道することに精一杯で、近所迷惑だというのには気付かなかった、という表情だった。
すると、テレビ朝日のスタッフが近づいてきて、怪訝そうな顔つきで遠巻きにこの会話を聞いていた。「お宅もこの近くに中継車をエンジンかけっぱなしで止めているの。住民から苦情が来ているよ」と言うと、「いえ、うちは野方署に止めてあるので、ここにはありません」といって、そさくさと立ち去ってしまった。
「キンギョのふんのようなテレビ局クルー」「黒塗り高級ハイヤー」「だらしのない格好」「騒音まき散らす中継車」。こうした外形的なありさまがマスコミへの不信感・嫌悪感につながっているのだろう。【了】
■関連情報
19日午前1時のマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(1)
19日午前1時のマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(2)
11月19日朝から晩までのマスコミ=年金テロ現場で、その行動様式を観察する(3)
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