メール社会だからこそ、3分間スピーチで会話力を磨こう(下)
2008年11月21日06時43分 / 提供:PJ
(中)からのつづき。新話会が主催する「3分間スピーチ」の参加者たちは、壇上に立つと丁寧なお辞儀をする。テーマを述べてから、話に入る。
この点について、長嶋秀治副会長は、「08年度の課題には3点あります」と話す。お辞儀を正しく、主題をはっきりと、話を具体的に、という3つ。参加者たちが月4回から5回のスピーチで、一年間を通して意識しておこなえば、ごく自然に身につくようだ。
壇上でテーマを述べた後、話を展開していく。多くの素材は日常生活から拾われている。話す内容は事前に吟味してから、壇上に臨んでいるようだ。
岡田博さんは「猫と会話がしたい」というテーマ。飼い猫の2匹はともに芸ができる。15歳の猫は自ら窓を開ける。一週間前のこと、鍵をかけ忘れた窓が猫によって深夜に開けられてしまった。風が吹き込み、風邪をひいた。
もう一匹は8歳のシャム猫。妻が教えた芸、「お手」「お代わり」ができる。家人が帰宅してくると、気配から玄関に迎えに来る。うっかり玄関扉を大きく開けてしまうと、シャム猫は戸外に飛びだすから用心。
猫の芸をさらに進化させて、「窓を開けたら必ず閉めるんだよ。風邪をひくからね」という会話が猫とできるようにしたい、とユーモアで結ぶ。
高橋竹士さんのテーマは『一言、言いやすい人』で、ゴルフ場の体験を語る。友人で上手な一人がゴルフ大会にノミネートされた。3人の仲間が応援に駆けつけた。自分はルールどおり片隅で見、応援していた。他の2人は大会マナーを知らず、プレーヤーに近づき親しげに話しかけた。
同グループのプレーヤーが激怒した。心が乱れて敗退したことから、支配人に苦情を申し立てた。「高橋さん、きょうのマナーはなんですか」と支配人に怒られた。自分はかかわっていないのに怒られた。仲間2人のことでもあり、謝っておいた。帰宅後、娘にそれを話すと、「怒られやすいのよ。だから、サラリーマンにむいていないのよ」と一言いわれた。
栗田幸子さんは、『大人の言葉を使おう』というテーマ。素材は朝日新聞の田辺聖子さんのエッセイ。文化勲章を受章された田辺さんは、38歳で医師と結婚。(夫は再婚)。80歳になられた現在も、田辺さんは夫婦の会話を楽しむ。それも、ちょっと気取った言葉で。世間の多くの人は結婚40年もたつと夫婦が背を向け合う。
田辺夫婦の場合は、男と女の立場で、大人の言葉で、互いに愛を語り合う。興味は尽きない。田辺聖子エッセイから学ぶ点は多いと結んだ。
岡村昇さんは、『忘れぽくなった、最近』がテーマで、時代物の語り口調だ。殿の使者が口上を忘れた。その使者は幼少のころ粗忽(そこつ)で、忘れる都度、父親から指で尻をつよくひねられていた。すると思い出す。
殿の言葉を思い出そうと焦るほど、思い出せない。『尻をつねってくださらぬか』と言い、尻を突き出す。それで口上を思い出したというストーリー。岡村さんは、最近の自分は忘れぽくなった、といっても尻をひねってくださいと言えないし、とユーモアで結んだ。
太田晶久さんは『友だちになるには、4つの段階がある』というテーマ。第1段階は親近感で、何回も会うことで親しくなる。第2段階は安心感。人間は防衛本能がある。潜在する危ぐを取り除く時期がやってくる。第3段階は信頼感。この人は信頼できる、という状況に達する。
「第4段階はなんだと思いますか?」と会場に質問を向けた。答えは尊敬の念。人よりも秀でている、あやかりたいと思う。それが向上心の刺激になる。この4つの段階を見据えると、自分よりもちょっとレベルの高い人とつきあうのがコツだと、結論を導いた。
一人ひとりに親身な講評をする頼陽子さん(元日本話し方センター講師)は、30年間にわたって「3分間スピーチ」を見てきた。現代のメール時代と話し言葉との違いについて聞いてみた。「コミュニケーションの原点は、人と人が向かい合って話すことです。あいての顔の表情、声の調子から、気持ちをくみ取り、話を推し進めます」と話す。
「メールは便利ですが、『相手の目をみて話す』ことはまったくありません。書き言葉ですから、相手を攻撃しやすく、時には言葉の暴力を生み出します。言葉はもろ刃の剣。相手を褒めたり、殺したりもします。面とむかった言葉は相手を傷つけないようにと、思いやる力がはたらきます」と、対話がいかに大切かと語った。
メール文化の世の中だけに、「3分間スピーチ」などを利用し、直接対話のコミュニケーション力を磨く必要がありそうだ。【了】
■関連情報
新話会
記者HP:穂高健一ワールド
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この点について、長嶋秀治副会長は、「08年度の課題には3点あります」と話す。お辞儀を正しく、主題をはっきりと、話を具体的に、という3つ。参加者たちが月4回から5回のスピーチで、一年間を通して意識しておこなえば、ごく自然に身につくようだ。
壇上でテーマを述べた後、話を展開していく。多くの素材は日常生活から拾われている。話す内容は事前に吟味してから、壇上に臨んでいるようだ。
岡田博さんは「猫と会話がしたい」というテーマ。飼い猫の2匹はともに芸ができる。15歳の猫は自ら窓を開ける。一週間前のこと、鍵をかけ忘れた窓が猫によって深夜に開けられてしまった。風が吹き込み、風邪をひいた。
もう一匹は8歳のシャム猫。妻が教えた芸、「お手」「お代わり」ができる。家人が帰宅してくると、気配から玄関に迎えに来る。うっかり玄関扉を大きく開けてしまうと、シャム猫は戸外に飛びだすから用心。
猫の芸をさらに進化させて、「窓を開けたら必ず閉めるんだよ。風邪をひくからね」という会話が猫とできるようにしたい、とユーモアで結ぶ。
高橋竹士さんのテーマは『一言、言いやすい人』で、ゴルフ場の体験を語る。友人で上手な一人がゴルフ大会にノミネートされた。3人の仲間が応援に駆けつけた。自分はルールどおり片隅で見、応援していた。他の2人は大会マナーを知らず、プレーヤーに近づき親しげに話しかけた。
同グループのプレーヤーが激怒した。心が乱れて敗退したことから、支配人に苦情を申し立てた。「高橋さん、きょうのマナーはなんですか」と支配人に怒られた。自分はかかわっていないのに怒られた。仲間2人のことでもあり、謝っておいた。帰宅後、娘にそれを話すと、「怒られやすいのよ。だから、サラリーマンにむいていないのよ」と一言いわれた。
栗田幸子さんは、『大人の言葉を使おう』というテーマ。素材は朝日新聞の田辺聖子さんのエッセイ。文化勲章を受章された田辺さんは、38歳で医師と結婚。(夫は再婚)。80歳になられた現在も、田辺さんは夫婦の会話を楽しむ。それも、ちょっと気取った言葉で。世間の多くの人は結婚40年もたつと夫婦が背を向け合う。
田辺夫婦の場合は、男と女の立場で、大人の言葉で、互いに愛を語り合う。興味は尽きない。田辺聖子エッセイから学ぶ点は多いと結んだ。
岡村昇さんは、『忘れぽくなった、最近』がテーマで、時代物の語り口調だ。殿の使者が口上を忘れた。その使者は幼少のころ粗忽(そこつ)で、忘れる都度、父親から指で尻をつよくひねられていた。すると思い出す。
殿の言葉を思い出そうと焦るほど、思い出せない。『尻をつねってくださらぬか』と言い、尻を突き出す。それで口上を思い出したというストーリー。岡村さんは、最近の自分は忘れぽくなった、といっても尻をひねってくださいと言えないし、とユーモアで結んだ。
太田晶久さんは『友だちになるには、4つの段階がある』というテーマ。第1段階は親近感で、何回も会うことで親しくなる。第2段階は安心感。人間は防衛本能がある。潜在する危ぐを取り除く時期がやってくる。第3段階は信頼感。この人は信頼できる、という状況に達する。
「第4段階はなんだと思いますか?」と会場に質問を向けた。答えは尊敬の念。人よりも秀でている、あやかりたいと思う。それが向上心の刺激になる。この4つの段階を見据えると、自分よりもちょっとレベルの高い人とつきあうのがコツだと、結論を導いた。
一人ひとりに親身な講評をする頼陽子さん(元日本話し方センター講師)は、30年間にわたって「3分間スピーチ」を見てきた。現代のメール時代と話し言葉との違いについて聞いてみた。「コミュニケーションの原点は、人と人が向かい合って話すことです。あいての顔の表情、声の調子から、気持ちをくみ取り、話を推し進めます」と話す。
「メールは便利ですが、『相手の目をみて話す』ことはまったくありません。書き言葉ですから、相手を攻撃しやすく、時には言葉の暴力を生み出します。言葉はもろ刃の剣。相手を褒めたり、殺したりもします。面とむかった言葉は相手を傷つけないようにと、思いやる力がはたらきます」と、対話がいかに大切かと語った。
メール文化の世の中だけに、「3分間スピーチ」などを利用し、直接対話のコミュニケーション力を磨く必要がありそうだ。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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