東京都世田谷区にある仏教系の大学で「日東駒専」と呼ばれる中堅私大グループの1つとして知られる駒澤大学が金融危機を受けて資産運用に失敗した結果、154億円に上る損失が発生したことが明らかになりました。そして損失の穴埋めとして、キャンパスが担保になってしまったとのこと。

また、同様の資産運用を行っていたのは駒澤大学だけでないようです。

※16:10に他大学の事例を追記しました

詳細は以下の通り。
asahi.com(朝日新聞社):駒大、資産運用損失154億円 キャンパス担保で穴埋め - 教育

朝日新聞社の報道によると、駒澤大学が少子化で学費収入などが減ることを見込んで「実のある資産運用をするべきだ」として行った資産運用により、154億円の損失が発生したそうです。

この損失は昨年度に駒澤大学が外資系金融機関2社と100億円で契約した「金利スワップ」と「通貨スワップ」という2種類のデリバティブ取引によって発生したもので、昨年後半以来の金融危機などで時価が一気に値下がりしたため、今年3月末の決算時点で評価損が53億円を超えており、その後も含み損が増え続け、取引を解約した時点での損失額が154億円に上ったとのこと。

なお、損失の穴埋めのために駒澤大学はみずほ銀行から110億円の融資を受けることを決定しており、その担保として深沢キャンパスや野球部のグラウンドなどに対して根抵当権が設定されたそうです。

ちなみに大学の資産運用は各大学の独自の判断で行われていますが、文部科学省はこの件に対して「運用はリスクを十分検討したうえで、安定性を重視すべきだ」と話していますが、2005年度の日本私立学校振興・共済事業団の集計では、全国約650の大学および短期大学のうち、少なくとも75大学がデリバティブ取引を行っていたとしています。つまり10分の1以上の大学がデリバティブ取引を行っているということですか…。

9月にリーマン・ブラザーズとAIGが破綻したことで、世界同時株安や加速度的な円高ドル安が発生したことは記憶に新しいですが、駒澤大学以外に多額の損失を発生させた大学はあるのでしょうか。気になるところです。

・12:33追記
駒澤大学広報課に今回の資産運用で発生した損失によって学生に影響があるのかどうかについて電話で確認したところ、「(影響は)特にないと聞いております」という回答でした。また、そのほかについても主立った影響は無いとのこと。

・16:10追記
駒澤大学に続いて慶應大学の資産運用について明らかになりました。以下の記事によると、慶應大学の運用資産は1000億円を超えており、現時点での評価損は約225億円で、2008年3月末決算から変わっていないとのこと。なお、損切りは行っていないそうです。

日本の教育界に激震、慶応が225億円の評価損−駒沢大は154億円運用損

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