ストーカー規制法違反で8月に逮捕され、罰金30万円を払って釈放された落語家・月亭可朝が、11月17日の「東西落語研鑚会」(有楽町・よみうりホール)にて復帰の高座を勤めた。
 事件の経緯や、復帰会見の話などをした後、古典落語『餅屋問答』を口演する30分近い高座に、満員の観客はヤンヤの大喝采だった。

 今回で30回となる「東西落語研鑚会」で、可朝の出演は第27回(今年3月)に続いて2度め。出囃子「芸者ワルツ」で登場した可朝のこの日のいでたちは黒紋付。トレードマークのカンカン帽は被らず手に持ち、それをヒラヒラさせて踊りながら高座周辺を一回り……という、いつものサービス精神あふれる登場の仕方。
 客席からは、可朝の復帰高座を楽しみに足を運んだ落語ファンからの期待を込めた「待ってました!」「たっぷり!」などの声が止まらず、妙に熱気を帯びた状態で、その掛け声は可朝が座布団につくまでしばらく飛び続けた。

「ありがとうございます。ホンマにね。ホンマ、ありがとうございます」と、これまたいつもの繰り返しフレーズで徐々にペースをつかんでゆく可朝。
「最近は言葉の意味がわからん。この間、“ストーカー”を調べて、意味がわかった。『狙いをつけてしつこく後を追いかけること』。やったらどうなるかもわかった」
 当事者自らがしゃべるリアリティのある言葉に、場内は待ってましたとばかりに大爆笑。そのあと、被害者の女性とは7年前から付き合いがあったこと、その女性が朝帰りしたのを知って電話で問い詰めるやりとりがストーカー行為になったこと、そして警察から事前に逮捕通告があったこと、等の“経緯報告”。

 さらに、先月25日の復帰会見で新聞に「反省の色なし」と書かれたことに対しては、
「『謹慎中は落語の勉強をしてました』とか『読書してました』とか言わなあかんかった」
「『女は必要?』と聞かれたので『ぎょうさんはいらん、ちょっとは欲しい』と答えた」
と反省をまじえつつ裏話も披露。記者の質問に乗せられて「バイアグラいらずですわ」と答えた部分だけがデカデカと見出しにされたことを、「見出しが倍ぐらい大きかった。『倍アグラ』や」とオチをつけてシャレのめし、客席の笑いを誘った。

 今年芸歴50年、ずっと変わらぬペースの八方破れな芸人人生を過ごしているうち、世間の法律の方が変わってしまって今回の逮捕・罰金となってしまった可朝だが、そんな「芸人らしい芸人」を熱く見守るこの日の客席はとても温かかった。変なヤジが飛ぶこともなく、会場一体となって、高座の可朝の言葉を一言一句聞き逃すまいとするかのような姿勢を感じた。
 可朝もそれを受けてか、ひとしきり報告を終えると最後に「道楽息子が実家に帰ってきた気分ですわ。ありがとうございました」と万感の表情で深々と頭を下げ、ひときわ大きな拍手を浴びた。
 もっともそのあと、本題の落語『餅屋問答』に入る前に、芸人評伝の第一人者・吉川潮氏による月亭可朝伝『ナニワ博打八景 ― 金持たしたらあかん奴』(竹書房、2008年9月発売)の宣伝もちゃっかり盛り込んでいた。さすがにこのあたりは商売に長けたしたたかな関西芸人なのである。

 この日は他にも、トリで笑福亭鶴瓶が『鶴瓶版 死神』を再口演するなどの目玉企画もあったのだが、客席の反響から考えるに、すっかり主役の座は可朝が奪ってしまった、そんな雰囲気の夜だった。

(編集部:尾張家はじめ)
 
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