2001年にデジタルカメラ業界に再参入。家電メーカーながら、「LUMIX」の手ぶれ補正機能「MEGA O.I.S」をはじめとする先進技術の投入で世界シェアを伸ばしたパナソニック。どうやって高級機向けの技術を低価格機に導入することを可能にしてきたのだろうか。

■【Part1】目標「世界シェア10%」達成へ。躍進するデジタルカメラ「LUMIX」
 2001年にデジタルカメラ市場に再参入してから今年で8年目。家電メーカーであるパナソニックのデジタルカメラは、月間シェアでカメラ専業メーカーの製品を抑えて首位に立つまでに躍進した。07年には年間の中期目標として、デジタルカメラの年間販売台数1000万台、世界シェア10%という中期目標を掲げたが、今年は早くもその計画値に迫る勢いである。

 カメラはもともと、きわめて趣味性の強いエンドユーザー向け製品であり、シェア、ブランドイメージともカメラ専業メーカーが圧倒的であった。そのカメラの世界で、パナソニックのデジタルカメラ「LUMIX(ルミックス)」がなぜ短期間で急速に販売台数を伸ばし、ブランドイメージを確立できたのか。

「カギとなったのは、やはり商品力でしょうね。カメラとしての機能を高めるのはもちろんのこと、従来のカメラの常識を覆すようなパッケージング、スタイリッシュで豊富なカラーバリエーションなど、お客様にとって魅力があり、かつ価格競争力に優れた製品づくりができたことが大きかったと思います」
 デジタルカメラの開発を指揮する商品開発グループの今井史計グループマネージャーは、LUMIXの成功の理由についてこう分析する。

 実際、LUMIXはデジタルカメラの世界において、しばしばエポックメーカーとして注目を浴びた。03年にはごく限られた高価格帯のカメラにしか搭載されていなかった手ぶれ補正機能「MEGA O.I.S」を標準装備する普及価格帯モデルを発売。その後、モデルラインナップのハイエンドからローエンドまで、すべてのモデルにMEGA O.I.Sが標準で装備された。

■魅力的なハイスペック機能を、ユーザーにとって魅力的な価格にしたい
 「まずはドイツの名門ライカとの協業によって生まれた広角・高性能レンズ。以前は、コンパクトデジタルカメラのレンズといえば、おおむね広角側で35mm相当から始まるズームレンズで、光学ファインダーありというスタイルが一般的でした。後発である当社は存在感を出すため、28mm広角レンズ、大型液晶モニター、ファインダーレスという斬新なデザインを提案し、さらに画質トップを目指して高速画像処理エンジン「ヴィーナス」を作りました。それらのデバイスやデザインを、ハイエンドモデルにとどまらず、エントリー機種まで広く採用したのです。MEGA O.I.S、ヴィーナス、大型液晶などは全機種に搭載。またレンズも25〜125mmの5倍ズームレンズ、28〜280mmといった広角・高倍率のズームレンズを普及価格帯モデルに積極的に載せています」(今井グループマネージャー)

 これらはデジタルカメラユーザーにとってきわめて魅力的なスペックだが、ヒット作となる決定打となったのは、カメラの価格をほとんど上げることなしにそれらの機能を実装できたことだろう。
「高くて高機能という製品も必要ですが、量産モデルはやはり、良い製品をリーズナブルなコストで作ることが大切なんですね。パナソニックはカメラのフィルムにあたる撮像素子、光をとらえるレンズ、画像を処理する回路・ソフトウェアと、デジタルカメラ技術の上流から下流までをすべて自社で開発しています。設計全体を見回しながらコストダウンの工夫をすることができるというのは、有利な点だと思います」(今井グループマネージャー)