伸び盛りのモバイル広告ビジネスに参入せよ

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近年、急成長を遂げているネット広告配信。いまや紙媒体、電波媒体と並ぶ広告のメインストリームに位置づけられている。その広告効果を左右するのが、ユーザーにいかに的確かつ迅速に情報を届けるかという配信技術。参入企業が増加中のモバイル広告において、その開発の舞台裏に迫った。

効果抜群!近くのユーザーにネット広告を届ける「AdLocal」
■AdLocal(アドローカル)
「近くの人にあなたの広告を」をコンセプトに2005年にリリースされた、新世代広告配信システム。携帯電話のGPS機能を利用することで、広告主の商圏内にいるユーザーに対して、集中的な広告配信を可能とした。クリック率が高く、ユーザーにとって有益な情報が多いことが特徴。広告表示の優先順位は、オークション方式によるクリック単価設定と、広告主の「基点」(店舗などの住所)とユーザーとの距離によって決定される。
 携帯電話向けの広告配信システム「AdLocal」は、モバイルサイトを見ている人の現在位置に合わせて、近隣のショップやレストランなどの広告を表示させるという位置連動モバイル広告システムです。通常のインターネットの広告は、バナーや文字広告が不特定多数のユーザーの画面に表示されるだけ。それに対してAdLocalは携帯電話の位置情報を利用することで、広告主の商業拠点から一定の距離内、通常は1km、最大で10km以内にいる人に絞り込んで広告を表示させます。元来、受動的な性格の強いインターネット広告にオンデマンド性をもたせたAdLocalは、次世代インターネット広告配信システムとして高い評価を受けています。(安藤連)

■リピート率8割という数字に表れる広告効果の高さ
 広告・宣伝は企業の製品、サービスの人気度や売り上げを左右する重要なコミュニケーションである。近年、広告の世界で高い伸びを示しているのがインターネット広告だ。雑誌や新聞などの紙媒体の広告を減らしてインターネット広告にシフトするケースも増えてきており、広告業界の売り上げに占める割合も年々高まっている。インターネット広告で重要視されるのは、いかにターゲットユーザーに的確に広告を配信するかということだ。企業は広告効果を高めるため、自社の製品やサービスのターゲットとなるユーザーが多そうなサイトのリサーチを行うなど、さまざまな工夫を凝らしている。
 そのインターネット広告分野で、広告効果の高さゆえに注目を集めていのがシリウステクノロジーズの位置連動型モバイル広告システム「AdLocal」である。
「AdLocalは、広告主の近くにいるユーザーに広告を配信するというシステムです。今日の携帯電話にはGPS情報、基地局情報、地図緯度経度情報など、さまざまな位置情報が発信されています。その位置情報を有効利用すれば、広告主の近くにいるユーザーの携帯サイトに、的確に広告を表示できるのではないかというのが着想の発端でした」
 AdLocalのサービス開発に携わる、ユビキタスプラットフォーム事業部の安藤連氏は、開発のきっかけについてこのように語る。

 インターネット広告といえば通常、不特定多数のユーザーに同じ内容の広告が表示される。車や家電などの製品広告やネットショップの宣伝など「全国区」の広告であればそれでもいいだろうが、レストランや店舗型のショップといった地域限定型では、例えば北海道のユーザーに福岡のレストランの広告が配信されてもほとんど意味がないように、広告効果は半減してしまう。AdLocalは携帯電話サイトに文字広告を配信するアドサーバー(広告サーバー)の仕組みに、「距離の概念」を持ち込んだのである。
「実際にAdLocalをリリースし、サービスを開始してみたところ、予想以上に高い評価をいただきました。クライアントのリピート率が8割以上という数字も、広告効果の高さを裏付けていると自負しています。店舗系の広告のほか、地域にマッチしたアルバイト求人なども広告効果が高く、採用コストが下がったという声が寄せられています」(安藤氏)
 現在、AdLocalが文字広告を配信しているモバイルサイトは、若者に人気の高いゲームSNS「モバゲータウン」、カカクコムのレストラン検索サイト「食べログ」など30以上に及んでいる。
 広告主の基点(住所)の近くにいるユーザーに広告を配信するシステムは、一見簡単なようにも思えるが、技術的には決してやさしいものではない。基本原理は取得された携帯電話の位置情報をもとに、データベースから広告データを検索し、モバイルサイトにAPIとしてXML形式で送信するというもの。表示はサイト側でタグを解析することで行う。

■高速化や新機能追加など、システムは現在も進化中
「開発過程では、さまざまな困難がありました。システムは基本的にJavaプラットホームで、EJB準拠のJBossアプリケーションサーバーなのですが、第1世代のV1は配信に数十秒もかかってしまうなどレスポンスがあまりにも悪く、結局リリースすらできませんでした。そこで第2世代のV2では EJB2準拠に進化させつつ、データベースのディレクトリを細分化してリクエストに対するレスポンスの速度を高めるなど、データ読み出しのアルゴリズムを改善しました」
 AdLocalの開発エンジニア、堀川洋二氏はシステム改良の経緯をこう振り返る。
「実はそれで終わりではありませんでした。V2ではXDocletの設定や、『何もやっていないJavaクラスがたくさん残ってしまう』という問題等に苦労しつつも、20mm秒へと大幅な高速化を達成しました。しかし、V2で採用したEJB2ではサービスを追加するたびにプログラムの改変に手間がかかってしまうため、肥大化したクラスを生成しない高効率なEJB3準拠の第3世代、V3を作りました。これによって機能付加が簡単にできるようになり、ようやく AdLocalのビジネスがスムーズに回るようになりました」(堀川氏)

 インターネット広告配信は、配信を可能にする技術開発と、どのような配信をすればよりよいサービスが展開できるのかというサービス開発が、表裏一体になったビジネスモデルである。V3になった今日、「新サービスのための機能付加の案件は、位置情報以外のユーザー属性を考慮した配信をはじめ、100件以上ある」(安藤氏)という。単に高性能なデータベースや配信システムをつくるだけでなく、そうした新サービスのための改良を容易に行えるようにすることも、大切なことなのだ。
 シリウステクノロジーズでは、基本システムが完成した今もソフト開発部門に7人を置いている。要件定義や仕様書の策定からコーディング、デバッグまで、すべての工程を内製で行っているという。……≫続きはこちら

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