人に役立つ、アイデア満載のロボットを作ろう!

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ホンダのヒューマノイドロボット「ASIMO」が2000年にセンセーショナルにデビューを飾ってから7年、サービスロボットは高度な作業用のものから子供向けのおもちゃまで、生活の中に幅広く浸透してきている。昨年11月28日〜12月1日に開催された2007国際ロボット展で、その進化ぶりをつぶさに見た。

トラブルフリー思想の徹底追求でロボワンGC制覇した「キングカイザー」
「ROBO-ONEのグランドチャンピオンシップで優勝できてうれしいです。優勝マシンのキングカイザー(写真左)の大きな特徴のひとつに、トラブルフリー設計を徹底させたことがあると思います。通常、150%程度である安全率を200%に引き上げ、競技中に故障しないことを目指しました。6分×5ラウンドを連続して動かし、故障した個所を補強するという作業を繰り返して強度を確保。また、F1に習って部品交換も簡単にできるようにしたのです。これからももっといいロボットを作りたいですね」(優勝したマルファミリーの丸直樹さん)
「今日はうまく操縦できてよかったです。ロボットはまだプログラムの勉強しかしていませんが、本当に楽しい。いつか自分のマシンを作って、お父さん(直樹さん)に挑戦したいです」(同・丸健太さん)

■2007国際ロボット展 多彩なお役立ちロボットが過去最大数登場!
世界から199社66団体が出品し、来場者は10万人以上に

 マルファミリーの二足歩行ロボット「キングカイザー」が見事優勝に輝いたROBO-ONEグランドチャンピオンシップは、隔年開催のロボット技術に関する世界最大級の展示会、2007国際ロボット展の会場で行われた。今年の展示会には世界各地から199社66団体が集い、それぞれがもつ技術力を存分にアピール。世界から多数のメーカー関係者、マスコミ、もちろん一般参加者も来場し、開催4日間の合計入場者数は10万人以上に上った。
 展示内容も産業用ロボットからエンターテインメントロボットまで、さまざまな用途、タイプのものが勢ぞろいするなど、極めて充実したもの。センサー技術、画像認識技術、モーターやアクチュエーターなどの動力技術など、多くの分野で次世代技術の提案も多数見かけられた。今回はこのうち特に「サービスロボット」について、注目のモデルをピックアップした。

「たこ焼きロボット」に黒山の人だかり――東洋理機工業

 サービスロボットエリアの中でとりわけ多くの見物者を集めていたのは、ロボットシステムインテグレーターである東洋理機工業のブース。その理由は、産業用ロボットのアームを使って作られた「たこ焼きロボット」だ。
 たこ焼きの金型に油をひき、生地を注入してタコを入れ、焼けてきたら竹串でひっくり返すという作業を全自動で行う。コミカルな動きが人気のもとだが、実はうまく作れずに失敗するケースも多い。東洋理機はなぜたこ焼きロボットを出品したのか。
「われわれは産業用ロボットの設置からソフトウェア開発までを手がけるロボットシステムインテグレーターです。今日、工場内では既にさまざまなロボットが相当に高度な作業を行っていますが、最近になってそのロボットを、工場から社会に出してみたいと思うようになったんです。そのためには新たに用途開発をしなければならない。たこ焼きはそのアドバルーンなのです」
 代表取締役の細身成人氏は開発の動機をこう語る。察する読者もいるだろうが、この会社は大阪にある。

「たこ焼きは簡単にできるように見えますが、まさに最高難度の職人技なんです。人間は目で状態を見ながら、手の感覚も使ってたこ焼きを作りますが、これをロボットでうまく作るのは本当に難しい」
 いちばんの難点は、粘り気のある生地が半焼けになったところでうまく金型から外すことと、生地が竹串にくっつかないようにすることだったという。ロボットにとって苦手な「粘性」との闘いだったのだ。
「毎日、普通の仕事が終わってから真夜中までプログラムを必死に考えました。竹串を、らせんを描きながら金型の底まで到達させるようにして、そこからたこ焼きを半分だけ返すようにしてみたら、初めて少しうまくいくようになったのです。鉄板の温度分布や変化の解析は、±1℃以下の精度で行いました」
 こうした苦労の末に、ロボット展開催の数日前に完成したというたこ焼きロボット。まずは店頭などでの集客用に、「コミュニケーションツール」として使ってもらえるように頑張ると語る。

対人地雷を根こそぎ見つけ出す「地雷探知ロボット」――富士重工業

 富士重工業のブースで存在感を放っていたマシンは、地雷源を走り回り、埋設された対人地雷を探し出すという「地雷探知ロボット」だ。箱型の簡素なボディの前後に一対ずつ、4輪のキャタピラーをもち、前部には地雷探索のためのセンサーを搭載したアームが装備される。エンジンは26馬力の3気筒ディーゼルで、操縦はリモートコントロールだ。対人地雷を探索する車両は通常、建機並みの大きさだが、富士重工のロボットは既存のものよりはるかに小型で、これまで走行が難しかった場所にもスイスイと進入できるのが特徴だ。
 一見、とても簡素なマシンに見える地雷探知ロボットだが、多くの試行錯誤から得られたノウハウが至る所に投入されており、革新性は世界でも高い評価を受けている。仮に市販すると1台5000万円以上になるという高額なマシンだけに、多少損傷しても帰還できるように設計されている。
 キャタピラーを4輪方式にしたのは、地雷を踏んで破損しても残ったキャタピラーで運行できるようにするためだ。前面および下面は、デルタ社製の4mm厚防弾鋼板で覆われ、内部の機器や駆動システムが損傷しないように配慮されている。

「地雷探知ロボットの開発は、何から何まで初体験の連続で、エンジニアとしてはとても興味深いものでした」
 戦略本部・システム技術課長の石川和良氏は、開発の様子をこう振り返る。そして、「地雷を見つけるロボットを作るには、まず地雷のことを知らなければならない」と思ったという。
「対人地雷について大きさ、形、爆発力など、さまざまな角度から検証しました。さらに日本に1社だけある火薬メーカーに協力してもらい、対人地雷の威力に相当する火薬を爆発させて威力を勉強しました。爆発地点から5m、10m、20m地点に板ガラスを設置して、それぞれどのようなダメージを受けるかなどです。初めて爆発を見たときはびっくりしましたよ」
 このロボットが完成したのは2005年。その後クロアチアの地雷原をテストフィールドとして実証試験を行ったが、異物の発見率はほぼ100%。そのうち地雷と識別できた割合も50%を超えるなど、極めて優秀な成績を収めたという。サービスロボットは、軍事技術としても大きな価値をもつジャンルなのだ。……≫続きはこちら

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