高橋智隆氏
ロボカップ世界大会4連覇の「ロボットクリエイター」高橋氏。独自のネットサービスを次々とリリースする「はてなCTO」伊藤氏。日本のモノづくりとIT業界を代表するトップエンジニア二人が、エンジニア適職フェア会場で未来を語る!

2004年、米国『TIME』誌「最もクールな発明」に選ばれた、身長35cm程のロボット「クロイノ」。その生みの親であるロボットクリエイター・高橋氏。一方、65万人の会員と、1日10億アクセスを集める画期的なWebサービスを次々と世に送り出す「はてな」の最高技術責任者・伊藤氏。日本のモノづくりとITを牽引するトップエンジニアのお二人が今回のエンジニアフェア会場でハードとソフトが融合する、ロボット・Webの未来を語った。

■高橋智隆氏 プロフィール
1975年生まれ。京都大学工学部物理工学科メカトロニクス研究室を卒業する2003年、ロボットの技術開発・製作・デザインを手がけるロボ・ガレージ創業。オリジナルロボット製作に取り組むほか、ロボットを次世代産業の軸と位置づける数多くの企業に力を貸している。また「TeamOSAKA」のキーメンバーとして、ロボカップ世界大会2004〜2007年現在まで4連覇中。

■伊藤直也氏 プロフィール
1977年生まれ。ニフティ(株)を経て2004年9月より人力検索サイトなどユニークなネットサービスを展開するはてな(株)の最高技術責任者(CTO)。

はじめに お二人の最近の取り組みは?
■高橋氏「女性型ロボットの実現に尽力」
私はこれまでいろいろなロボットを製作し、サイエンスアートとして発表してきました。こうしたオリジナルのロボットはすべて私ひとりで製作しています。今日は「クロイノ」という小さなロボットを持参しました。これは身体の中に24個のモーターとバッテリー、それから小さなコンピュータが入っています。これは、ロボットの歩行解消する特許技術の実証機でもあります。『TIME』誌に紹介されたのは、このロボットです。

こうして自らロボットを創る傍ら、企業とコラボレーションしての開発もおこなっています。最近ファンが増えてきたホビーロボット分野で、「マノイPF01」というロボットを商品化しました。

これ(右画像)は女性型ロボット「FT」。細身に部品を収めること、歩行安定性を確保すること、が難しく、女性型二足歩行ロボットが存在しなかったんです。そうした課題を克服した上で、ファッションモデルのアドバイスをもらって女性らしい歩行動作を実現しました。

■伊藤氏「1日10億アクセスを支えるプログラムを開発し運用」
僕がCTOを務める「はてな」は「人力検索はてな」から始まりました。Googleに代表されるプログラムによる一般的な検索エンジンと違って「渋谷でうまいとんこつラーメン屋さんは?」なんていう質問の答えをユーザーが支える仕組みです。そこからサービスがブログ、ソーシャルブックマークと広がってきました。ソーシャルブックマークは「個人が管理しているブラウザのブックマークを公開したらどうなるか?」という興味で始めたものです。

「はてな」の会員は65万人。1日10億アクセスです。先日のニールセン調査によると日本のトラフィック規模としては「はてな」はコミュニティ部門で8位。9位は「2ちゃんねる」となっています。

そんな「はてな」のスタッフは約20人ですが、サーバーは約400台。社内で自作するなどして用意しています。運用サーバーはデータセンターにありますが、社内には開発サーバーがごろごろ置いてあり、冷却効果を考慮して、基板むき出しのままにしています(笑)。この金色のフレームは京都で特別に作ってもらったんですよ。400台もあると設定が大変なんですが、まとめてセットアップできるよう専用のプログラムを作って運用しています。

■テーマ1:「はてな」ユーザーが高橋さんに質問!
日々たくさんのユーザーを集める「はてな」。今回、事前にその「はてな」で「高橋さんにこんなことを聞いてみたい!」という質問を募集した。1000人にも及ぶ質問の中から、いくつかを厳選し、伊藤氏が高橋氏にぶつけてみた。「はてな」ユーザーに送る高橋氏の回答はいかに?

Q1 「ロボット開発にはどのくらいのコスト・期間をかけているのか?」
私のロボットは基本全部自作なので、自分の人件費を入れずに考えると(笑)、コストはだいたい1体100万円くらいでしょうか。いちばん高い部品はモーターユニットで、1万円くらいの物が24個とか。
期間は1体につき、丸一年くらいですね。でも企業と一緒に開発するときは納期がある。発表前夜にホテルでプログラミングなんていうこともありました(笑)。

Q2 「ロボットのデザインで参考にするキャラクターは?」
やっぱり『鉄腕アトム』ですね。手塚さんのキャラクターはかっこよさとかわいさのバランスが絶妙なんです。
私や伊藤さんは『ガンダム』『マクロス』の影響を受けた世代だと思うんですが、私の原点は幼稚園のときに家にあった『鉄腕アトム』。その当時、「ロボット科学者になりたい」と思っていました。

Q3 「ロボット開発、今と昔の違いは?」
まず二足歩行ができるようになったことが大きなポイントでしょうね。昔は、やたら複雑な制御と高価な部品を満載して、結局重すぎて身動きが取れないロボットばかりだった。ところが、誰かがラジコンの部品を使っていい加減に(笑)作ってみたら歩いた。頭でっかち故に結果動けないというのが何か皮肉なんですが、結局シンプルで軽量なのがいいということが分かったわけです。この様に原点に戻ってシンプルに考えてみることは、ロボットの分野に限らずとても大事だと思います。

■テーマ2:マンガ『GANTZ』が描く未来技術を考える

『鉄腕アトム』『ドラえもん』など、マンガに描かれた未来に触発され、その夢が技術開発のモチベーションとなっているトップエンジニアは多い。今回はさまざまな作品の中から『GANTZ』をピックアップ。未来的なデザインの武器や装備というアイテムが注目される、伊藤氏も大ファンであるマンガだ。今回、なんとその『GANTZ』の制作現場にTech総研のカメラが潜入。会場では、3DCGを駆使した『GANTZ』の精密なリアリティ表現手法を独占映像で紹介した。まず作者の奥さんが描いた絵コンテをもとに、スタッフが3DCGで各パーツを制作。銃などのメカニックなアイテムには3Dのモデリングデータが存在する。背景は実際の写真がベースとなっているが、作品としてのリアルさを出すため、手作業で細かな修正が加えられる。最後に背景を含む各パーツがデジタル化された手描きの人物と合わせて枠にはめ込まれ、吹き出しが書き加えられ完成だ。
『GANTZ』を構成する代表的な未来アイテムである「転送システム」と「パワードスーツ」。その実現可能性と魅力とは?……≫続きはこちら

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