急増中!外国人技術者がニッポン企業で働きたい理由
技術には国境がない──。2004年以降、日本における外国人技術者の数が急激に増えている。大手だけではなく中堅、中小企業でも優秀な人材であれば国籍を問わず積極的に採用している。今後ますますグローバル採用が本格化していくはず。母国とは異なる国で働く魅力は何か、検証していく。

エンジニアが働く環境に国境はない
チャンスがあれば海外で働きたい──。エンジニアの中には、そんな人も多いはず。ではなぜそう思うのか。海外で生活することは異なる文化・慣習に触れることでもある。異国の地でこれまで見たこともない新しいものと出合ったり、思いつかなかった考えを知ったりすることで、知識や考えの幅が広がる。そしてそれは自身の可能性をも広げてくれることへとつながる。そんな魅力があるからなのか。現在、日本でも外国人技術者の数が急増しているという。

「技術ビザで新規に来日する外国人技術者の数は2004年以降確実に増えており、2007年度は1万人を超えました」
 こう語るのは外国人社員の採用や育成に関するコンサルティングサービスを提供するジェイエーエス代表取締役の小平達也氏である。

 実は今からさかのぼること20年前の80年代バブルから1998年にかけても、外国人技術者数は増加していた。しかしこのときとは「明らかに質が違う」と小平氏。
「このときは、外資系企業や中堅のIT企業が即戦力を採用していました。しかし今は日本企業が新卒や第二新卒などの人材をポテンシャル採用しています」(小平氏)
 大手製造業でも、海外売上比率増加と歩調を合わせるように、外国人技術者の積極的採用を始めている。積極的な採用を進めているのは大手だけではない。中堅企業などでも採用は活発化している。

 その背景にあるのは、新卒技術者の採用難。リクルートワークス研究所の「ワークス大卒求人倍率調査」によると、2008年3月卒の求人倍率、2009年3月卒の求人倍率(求人総数を求職者民間企業就職希望者数で割った数値)とも2.14倍となっている。新卒人材が不足傾向にあるからだ。この傾向はこれからまだまだ続くと見込まれる。そこで優秀な新卒人材を採用しようと、外国人技術者に白羽の矢を立てたというわけだ。

 しかも現在、多くの企業でダイバシティ(多様性:国籍や人種、年齢などの違いを生かして競争力を生み出すこと)への取り組みが盛んに行われている。それも外国人技術者採用の追い風になっている。
「これからはグローバル採用が当たり前になっていく。日本国内で働くエンジニアもグローバルを意識しないではいられない時代になる」と小平氏。母国を離れて異なる国の企業で働く技術者たちは、日本および日本企業のどんなところに魅力、可能性を感じているのか、見ていこう。

■外国人エンジニアに聞いた「外国で働くということ」
Ex1.張雷(チョウ・ライ)さん(27歳)中国出身
中国清華大学、大学院では一貫してコンピュータサイエンスを専攻。大学院修了後の2006年9月、ドリームアーツに入社。小さい頃から日本に好感を抱いていたという。ドリームアーツへの就職を決めたのは、就職活動中にちょうどドリームアーツが中国で採用するという情報が入ったから。

■「日本に行ってみたい」を現実に
「日本に興味を抱いたのは、小学生のとき。ファミコンのゲームソフト『三国志』に触れ、これはすごいと思った」
 こう語るのは張雷さん。中学時代はテレビドラマ「東京ラブストーリー」にはまった。「いつかは日本に行ってみたい」──ゲームやマンガ、ドラマなどに触れるたびに、その気持ちは膨らんでいったという。
 だからといって、はじめから日本企業への就職を決めていたわけではなかった。
「卒業を1年後に控えた年末、中国にある外資系IT企業にインターンシップに行きました。しかし組織が大きく、仕事が枠にはめられている感じがして、自分には合わないと思いました」
 ちょうどその頃、ドリームアーツが中国で新卒採用活動をするという情報が入ってきた。「先輩に話を聞くと、すごく面白そうな感じがしたんです」

■国や地域によってコンテクストの解釈力が異なる
 現在、張さんは小売業向け多店舗運営支援ポータル「ひびきSTORES」開発のプロジェクトマネジャーとしてチームを牽引。入社前の「面白そうな職場」というイメージは今、「面白い職場」という実感へと変化している。
「職場では日本、中国、ベトナム、ウクライナ、ドイツなど、文化の異なる国籍の人が働いています。このような環境でいちばん難しいのはコミュニケーション。コンテクスト(文脈、前後関係、背景)を捉える文化が異なるからです」
 日本や中国、ベトナムといったコンテクストが高い国のスタッフであれば、話の結論だけいってもその背景まで類推してくれる。一方ウクライナ、ドイツ人の場合は背景や話のテーマを詳細に話さないとうまく伝わらないという。そういう大変さも「面白さ」になっていると張さん。
「海外で働くことで、今まで見たこともない面白さに出会ったりする。人生の面白さが2倍になる感覚です」

Ex2.ティア・ローレンセンさん(24歳)米国出身
米スタンフォード大学で土木工学を専攻。仕事の面白さから2007年9月フォーラムエイト入社。学生時代から日本の文化への関心も高く、日本で働きたいと考えていた。VR技術を生かし、環境や教育などの分野に役立つソフトを提供していきたいと考えている

■日本の美に関心があった
 米国の大学で土木工学を専攻していたティア・ローレンセンさんが、土木系向け設計・解析ソフトを手掛けるITベンチャー、フォーラムエイトへの就職を選んだのは、大学の先生の紹介があったから。
「フォーラムエイトが開催している国際VR(バーチャル・リアリティ)シンポジウムの委員の一人であるアリゾナ州立大学の小林先生と私の所属ゼミの先生が友達だったのです。面白い会社があると紹介されたのが、フォーラムエイトでした」
「日本の美術、構造物に以前から関心があった」というだけに、大学では第二外国語として日本語を学習。「日本で働きたい」という気持ちもあったという。
「仕事が本当に面白そうだと実感できた。だからここで働こうと決めた」
 現在、ローレンセンさんはUC-win/RoadサポートGroupで3次元VRのモデリングに携わる一方、海外で実施するイベントのサポートなども担当している。

■仕事は常にチャレンジだから面白い
 入社2年目といえば、まだまだ仕事を覚えるだけでも大変な時期。さらにローレンセンさんには日本語というハンディもある。
「日本語での仕事は常にチャレンジ。だから面白い」
 とローレンセンさんは明るい。日本語の話し方はもちろん、メールの書き方などでわからないことがあれば、周囲の同僚に尋ねることもしばしば。「母国語ではない環境だから、より真剣にいいコミュニケーションのあり方を考えるようになったのかもしれません。いろんな人と話をして、多様な考え方を学んでいきたいですね」
 日々、日本語での仕事に格闘しているローレンセンさん。それだけに仕事が終わると、「日本語では話したくないと思う。「仕事が終われば、家族に電話をしたりして母国語で話すことでストレスを解消。翌日また、頑張ろうと思えるんです」……続きはこちら

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