戦極が終われば、すぐにフロリダで行われるWECへ向かうという忙しい日々を送るコックス。MMAワールドの良心ともいえる常識人だ

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巨体に汗しながら、日々のハードワークをこなすMMAワールドの名物マネージャー=モンテ・コックス。MMA業界の酸いも甘いも知り、裏表を知るコックスに、金融危機を迎えた米国MMAワールドの未来、そして日本との関係を尋ねた。

UFCの盛況が続くも、IFLに続きEXCが活動を停止した。北米MMAバブルの崩壊が叫ばれる中で、11月1日に行われた戦極にジョー・ドークセンを送り込んだ辣腕マネージャーのモンテ・コックス。MMAがNHBと呼ばれている頃に、いち新聞記者だった氏は、この新しいコンバット・スポーツに魅せられ、パット・ミレティッチらのマネージャーとして、またエクストリーム・チャレンジという大会のプロモーターとして歩み始めた。

その後、前述したミレティッチを始め、デイブ・メネー、マット・ヒューズ、ジェンス・パルヴァーティム・シルビア、リッチ・フランクリンらUFC世界王者を輩出。今も世界中のMMAイベントに配下選手を送り込む一方で、開催数が100度を超えたエクストリーム・チャレンジだけでなく、アドレナリンMMAのプロモート業にも勤しむ。そんな彼を戦国が行われたさいたまアリーナでキャッチした。

Interview by Manabu Takashima

――2005年のTUFの開始により、UFC人気が急上昇し、北米ではMMAが発展しました。しかし、昨年のボードッグ、今年に入ってIFL、最近ではEXCが活動停止に追い込まれています。北米MMAバブルが崩壊し、UFCの一人勝ちという状態になりそうですが、この業界に最も古くから関係し、良識ある人物として信頼されているモンテは、今の状況をどのように捉えていますか。

「う〜ん、また新しいプロモーションが動き始めるという話も出ているし、CBSもMMAを続けるという話もある。また、私もアドレナリンMMAを地元のクワッドシティーズ<※イリノイ州とアイオワ州の境。ダヴェンポート、ベッテンドルフ〈以上アイオワ州〉、モリーン、イーストモリーン、ロックアイランド(以上イリノイ州)の総称>で、12月11日にパット・ミレティッチとトーマス・デニーをマッチアップするしね。UFCだけでなく、良いイベントも残っている。エクストリーム・チャレンジも1月14日に108度目の大会を開くんだ」

――新しいプロモーションというのは、かねてから噂されていたESPNが行うベラトール・ファイティング・チャンピオンシップのことでしょうか。大規模な大会になるという話も伝わってきます。

「う〜ん、ESPNといってもESPN DEPORTESが開くもの。つまり、スペイン語チャンネルなんだ。ここで人気が上がってくれば、ESPN NEWSで扱われ、ESPN2へ、最後はESPNへと向かえば最高だね」

――そして最終的にはABCでMMAライブと(笑)

「そこまでは――。まぁ、大きくなることを期待している段階なんで、ビッグプロモーションとは言えない状態だよ」

――ただし、EXCなきあともビッグプロモーションが活動しないと、UFCの一人勝ち状態はマネージャーとしてのモンテにとって、あまり良い状態ではないのではないですか。

「NFLは一つしかない。でも、フットボールにこうじる者、フットボールを見る者は絶えない。実際、UFCが好調であることは好ましい事態なんだ。UFCで大金を稼ぐことができるファイターが存在するんだから。UFCが存在しないということを考えれば、例えUFCが一人勝ちの状態でも、存在しないよりもずっと良いことじゃないか」

――UFCだけが盛況な状態は、ファイトマネーが抑制されることも考えられます。UFCには、EXCが存在したようにライバルが必要ではないでしょうか。

「EXCの活動停止は残念なことだ。ただし、CBSはMMAを続けるだろう。SHOWTIMEもMMAの大会を続けると聞いている」

――SHOWTIMEが、ShoXCのような大会を続けてくれることは、MMAにとってもとても価値がありますね。UFCやTUFだけでは、人材育成に十分ではないですから。

「UFC以外のプロモーションが台頭するということは、UFCが見逃したファイターを獲得するということ。ここにも優れたファイターはたくさんいるからね。そういう選手の知名度を上げてくれる。CBSの大会とは、つまりSHOWTIMEがやっていくこと。我々の業界はUFCだけじゃない、ビッグビッグショーが続くということだよ」

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