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食の神話は崩れた? 都市農家よ、農産高校よ、がんばれ(下)

2008年11月04日04時08分 / 提供:PJ

pj
食の神話は崩れた? 都市農家よ、農産高校よ、がんばれ(下)
第24回『葛飾区産業フェア、農業・伝統産業展』の会場。開催中の3日間は大勢の人で賑わった。(撮影:穂高健一、26日、東京・葛飾)
 (中)からのつづき。野菜は流通経路を短くして、産地に近ければ近いほど新鮮なものが手に入る。高度成長期からの工業化政策で、地方では人手不足、大都会では農地不足を招いてきた。「近くの農家で取れた新鮮な野菜が欲しい」と消費者が願っても、農作物は国産品どころか、遠く海外物が、スーパーの青果売り場の主力になった。国内自給率の低下は、いまだに歯止めがかかっていない。

 第24回『葛飾区産業フェア、農業・伝統産業展』で、農業従事者のひとりは、大都会で農地を維持していくことが難しい、と語っていた。土地政策(税制)から苦渋の選択で、農地を手放しているようだ。「私たちは農業には愛着があります。東京の農家は次の担い手はいるんです。農家の跡を継ぎたいのです。でも、耕して収穫して、家族が食べていける、それだけの農耕面積の農地がないのです」と話す。農業従事者に農地がない。これでは都市部の耕作面積が右肩下がりで減少していくだけだ。

 このさき貿易偏重の工業政策が行き詰まり、輸入品が買えない、赤字国家になるかもしれない。そうなると、人口の多い都市部は食料入手で、窮地に立つ。農地がなければ、耕作などできない。ビルや構造物を壊して農地ができるのか。自宅を半分壊して、畑にすることができるのか。遅きに帰して、そんな論議をしても話にならない。『転ばぬ先の杖』で、せめて現在の農地くらいは確保できる、土地税制を含めた抜本的な政策転換が必要だ。これは消費者、有権者の一人ひとりが真剣に考える問題だ。

 都市農業には消費地に近い農作物の確保という以外にも、大きなメリットがある。
『葛飾区産業フェア、農業・伝統産業展』で、JA東京スマイルの飯田課長は、「緑の農地は温暖化対策にもなります」と話す。ヒートアイランド現象から大都市・東京の気象異常が身近に感じているだけに、農地が都市の環境問題の改善にも一役買う、という見方には説得力があった。緑の農地は都民の目の安らぎにもなる。

 大災害の避難場所は学校や公園ばかりではない。「農地は大切な避難場所です。ハウス(ビニール、鉄骨、パイプ)は災害の大テントの代わり、食料がそこにありますから」と飯田さんは語った。農地が食糧確保と災害対策も兼ねている、貴重ないのちの空間だ、という認識は重要だ。

 販売コーナー・東京都立農産高校のジャム販売がたちまち完売した。食品科の鈴木さん(2年生、女子)から、話が聞けた。「販売するまえから、大勢の人が並んでくれて、うれしかった。文化祭(11月1日から2日間)はいつあるんですか、聞かれました。うちの学校が地域に密着している、期待されている、と肌で感じました」と感動を語る。

 鈴木さんは農家の子女でなく、一般家庭から農産高校に入っていた。彼女なりに意志を持って農業分野の高校を選択したという。貿易収支が不安定時代に入っていく。わが国の食品自給率を高めるためにも、鈴木さんのような、将来の農業を担う若者、積極的な人材がより多く必要だ。

 「食料は何とかなるだろう。神風が吹くさ。海外からいつでも買えるさ」と考えても、良いのだろうか。神風が吹かなかったら、どうなるのか。人間は生きているかぎり、一日たりとも、食べ物と無縁でいるわけにはいかない。少子化時代だからこそ、工業重視の考えから脱却し、都市部の小学校教育の場から、第一次産業に目を向けたり、農林漁業の体験学習も組み込んだりしていくべきだろう。日本人はもっと真剣に考えるべきだ。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

関連ワード:
神話  温暖化  少子化  ヒートアイランド現象  
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