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【赤木智弘の眼光紙背】子供には絶対関わるな!

2008年10月30日11時00分 / 提供:眼光紙背

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赤木智弘の眼光紙背:第56回

10月26日、埼玉県で小学1年生の女児を車で1時間半もの間、連れ回した20歳無職の男が、未成年者誘拐の現行犯で逮捕されたという。(*1)
とりあえずこの文面だけを見ると「またこういう変質者か!」と思ってしまうのだが、大きな事件ではないので報道の数は少ないのだが、例えばテレビ埼玉のサイトを見ると、母親に教科書のことで怒られて泣いていた女児に、この男が声をかけたところ「三郷市に住むおばあちゃんのところに行きたい」と言ったので、乗せて行ったというのが本当のところのようだ。(*2)
そもそも、誘拐しようという男が、わざわざ交番で道を聞くようなことはあり得ず、今回の逮捕は困ったときは助け合う、人間社会の信頼関係を崩壊させかねない暴挙といえよう。

現実問題として、今の世の中では、特に単身男性の立場で言えば「子供に近づくな」というのは、自己防衛の基本になりつつある。
電車の中で痴漢に間違われないように、両手でつり革をつかむのと同じように、子供がいたら決して近づいてはいけない。例え泣いていても、困っていても、落とし物をしても、だれた怪しい人に車で連れ去られようとしていても、電車の中で子供が暴行を受けていようとも、かかわり合いにならなければ、犯罪者呼ばわりされることはない。
「儀礼的無関心」というカナダの社会学者が産んだ言葉があるが、今、単身男性が心がけるべき無関心は、例え事件がおきていようと無関心を装うその積極さから「積極防衛的無関心」とでも言うべきだろう。
そうした積極防衛的無関心が産まれたのは、決して若い人たちが無責任になったからではない。若い人をゲーム脳だのゆとり教育だの人間力だのと、さも劣った犯罪予備軍であるかのように考える人たちが多いからである。
犯罪を疑われているならば、疑われている側は身の潔白を過剰に証明しなければならない。そして私たちの間では「子供には話しかけない、親切にしない、かかわらない」が、犯罪者扱いから自分の身を守るための基本行動になっているのだ。
そう考えれば、この事件の容疑者は、そうした原則を守らなかった点で自己責任であって、逮捕されても仕方がない「馬鹿」であったのだ。と、今の社会ではそういうことになる。

新聞コラム欄であれば、8桁以上の年収をもらっているお偉い記者が「世知辛い世の中だ」なんて、毒にも薬にもならない結論でお茶を濁して良しとするのだろうが、そのような世知辛い世の中をつくったのは、確実に世間の「子供を持った親たち」である。
子育てなどの問題を語るときに「社会全体で子供を育てよう」などと言うが、その言葉の前提として「そうするべきときであれば、社会に子供をゆだねること」という親側に課せられる義務が存在しているのだが、どうも「子育てを社会が助けるのは当たり前。助けられるのは親の権利」としか認識されていない節がある。

子供が、親の見ていないところで、何かをしていたり、何か、モノや考え方、さまざまなものを受け取ったりする。けれども、それは子供の世界における子供の成長であって、そうした機会を奪う権利は親にはないはずだ。
今回の事件だって、警察が素直に男から事情を聞いて、おばあちゃんの家に連絡、そこから両親のところに連絡が行けば、普通に「子供のちょっとした冒険」で終わっていた話である。そして子供は「世の中には、子供につきあってくれる親切な大人もいるのだな」と学んだはずである。
「最近は子供が犯罪にあう事件が多いから、子供が他人を信用しては困る」なんて言っている人がいるならば、警察庁のホームページに行けばネット上で『犯罪白書』が見られるので、現実のデータに触れてその考え方が根本から間違っていることを知るべきである。無知は罪ではない。いつまでも知ろうとしないことが罪なのだ。
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