2度の転職で企業研究の重要性に気づいたA.Tさん

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A.Tさんは、転職市場で多くのSEに人気があるユーザー系SI企業に新卒入社したが、上司と合わず3年で転職。ところがそこには過酷な勤務と将来性のないビジネスが待っていた。そこでA.Tさんは再度の転職を試みた。

残念ながら、転職は常に成功するとは限らない。スキルアップとともに新しいステージに向かうのは、今やエンジニアにとって当たり前のキャリアプランと言える。だが、事業環境や市場の変化で、転職当初に望ましいと感じられたステージが一変することもある。転職はタイミングと企業選びを間違えてはならないのだ。
A.Tさんの1回目の転職は、やや勇み足だったかもしれない。新人のころには自分の可能性が無限大にあると考え、つい外の芝生が青く見えてしまう。採用側も第二新卒層にかける期待が大きいので、転職のハードルは低い。容易に転職先を見つけたA.Tさんだったが、思わぬ誤算が待っていたのだ。もう少し慎重に会社選びをしていれば……。そう反省したA.Tさんは、確かな情報を見極めて新たなステージへと向かった。

■転職前編 こんなはずじゃ……転職なんてするべきじゃないのか?
新卒で入社したのは大手金融企業のシステム子会社A社だった。いわゆるユーザー系システムインテグレーター。常に元請けであり、上流工程を担い、経営も安定し、勤務環境も良好とされる。振り返れば、確かに恵まれた環境だった。ただひとつ、上司とそりが合わなかったことが転職を選択させた。日々の叱責が疎ましかった。怒鳴られることもあった。元来、そうした激しい感情をあらわにする人は苦手だ。当初は新人だから仕方がないとあきらめていた。また、その上司は仕事ができる人間で、言っていることは間違いがない。彼が怒鳴るのも熱血指導と言えなくもなかった。でも、そのときはもうどうにも我慢ができなくなった。そこで、土曜日を中心にひそかに転職活動を始めた。20代半ばのSEの転職は難しくなかった。すぐに複数の企業から内定が出た。

内定が出たらすぐにA社に退職願を出した。多少の引き留めはあったが、気にもかけなかった。すぐにでも会社を移りたかったからである。そうして転職したのが、100人少々のSI企業B社。強力なパッケージソフトを扱っていることから、事業は好調とのことだった。前職よりは規模がかなり小さくなった。でも、そんなことは気にしない。残業が多く、休日出勤も続いたが、あの怒鳴り散らす上司から離れられたことだけで、当初は満足できた。

しかし、日々の叱責から逃れ、冷静になってくると、B社への転職が果たして正解だったか疑問に思うようになった。激務の日々が続き、心身共に疲れがたまっていった。月間の勤務時間は400時間に及んだ。

この会社を選択したことに対する疑問は、失敗という確信に変わった。決定的だったのは、自分がエンジニアとしてほとんど成長していないことに気づいたことである。B社が扱っていたパッケージは、独特の導入手順があり、一般的なシステム開発とは必要なスキルが異なる。また、パッケージゆえ、業務設計を煮詰めたりプログラムを開発したりするような必要がない。言い換えれば、エンジニアとしての基本スキルがいらないのである。パッケージの機能と導入手順と操作を覚えれば、すむことだ。残業に残業を重ねたのは、ちょっとしたカスタマイズのためであり、クライアントを満足させる無駄な仕様書を大量に書いていただけだと思うと、自分の選社ミスに腹が立ってきた。

加えて、B社が取り扱うパッケージの商品力に陰りが見えてきた。市場には新しい技術やパッケージが次から次へと出てきている。周囲に辞める社員が続出した。「この製品には先がない」と、誰よりも最初に感じるのは、実際に扱っているエンジニアである。いつしか社内にピリピリした雰囲気が漂ってきた。自分に対してではなかったが、怒鳴り合う場面も見られた。

こうなってくると、あの上司の度重なる叱責も、自分を育てようとした愛情の裏返しかもしれないと、後悔の念がわき出てきた。何と言っても安定したユーザー系SI企業である。あと少し我慢すれば、それなりのポジションが与えられたかもしれない。今ごろはチームリーダーとなって上流工程で活躍していただろう。あの上司の下には自分の代わりに後輩の新人がついていたはずだ。そんな考えが常に頭をよぎるようになった。焦って決めたこの転職は失敗だったのだ! もう後戻りはできない。どうする?

■転職活動編 再度の失敗はしたくない。情報収集に力が入る
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