外食不況のなか“ギャル曽根効果”で客足急増のサイゼリヤ
原燃料高や景気後退懸念により、客足が本格的に減り始めた外食産業では、不況の影が色濃くなっている。しかしそんななか、ひとり気炎を上げている外食チェーンをご存知だろうか?
それは、イタリアンワイン&カフェレストランの「サイゼリヤ」である。
サイゼリヤと言えば、サイフの中身を気にせずに食事ができる庶民の味方。誰しも一度は訪れたことがあるだろう。各種パスタ・ピザ、グラタンドリア、フレッシュチーズ、プロシュート(パルマ産熟成生ハム)、エスカルゴのオーブン焼きなど、本格的なイタリア料理を1品200〜300円からという「超お手頃価格」で提供するのがウリで、今や全国で775店舗まで拡大している。
悪環境下で経常利益は減ったものの、減収減益に陥る競合他社も少なくないことを考えれば、「堅実な業績」と言えるだろう。
その勝因は、「不景気ゆえに、低価格路線のメニューにお客の人気が集まったため」(正垣泰彦社長)。これは、「1皿100円均一」の安い回転寿司チェーンにも見られるトレンドだ。
ほかにも、夏頃からガソリン価格の高騰が一服したこと、天候不順が少なかったことなどにより、ロードサイド店(郊外店)に客足が戻り始めたという追い風があった。中期的に見れば、ここ10年来、海外の農場・工場などで他店舗では食べられない「核商品作り」や粗利率の改善に注力してきた効果が、本格的に出始めた影響も小さくない。
ところが一方で、直近の同社の客足増に貢献した最大の要因は、なんと人気大食いタレントのギャル曽根さんによる「宣伝効果」だという。いったいどういうことなのか?
きっかけとなったのは、7月18日にTBS系列の人気番組「ランキンの楽園」のなかで放送された「ギャル曽根が食べまくって決める サイゼリヤのうまい料理ランキン」という1コーナー。ギャル曽根さんと人気お笑いユニット・森三中の大島美幸さん、村上知子さんらが、とあるサイゼリヤの店舗を訪れ、店のほぼ全商品(約70品)を食べまくって、気に入った料理をランキングするという企画である。
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