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東京下町探訪、技を売る職人衆=かつしかの伝統芸(下)

2008年10月19日12時57分 / 提供:PJ

pj
東京下町探訪、技を売る職人衆=かつしかの伝統芸(下)
東京下町・葛飾の職人たちは、江戸時代からの伝統を受け継ぐ。『葛飾区伝統産業館』には、職人魂が集約されている。(撮影:穂高健一、13日) 写真一覧(2件)
(上)からのつづき。東京下町の京成立石駅かいわいは、5つの商店街で賑(にぎ)わう。このところ「昭和を残す街」として人気が高い。その一角に『葛飾区伝統産業館』がある。技を売る職人衆たちが、伝統芸を守り、振興するために作られた会館だ。

 同館を取材中に、十数名の団体が正面玄関先で記念撮影をしてから、館内に入ってきた。埼玉県・鴻巣市にある商店街の一行だという。葛飾・柴又にいくスケジュールの合間を見、「江戸職人の腕が見られる」同館に立ち寄ったと、一行の代表が教えてくれた。

 だれもが興味深い目で、一点ずつ凝視していた。一行のひとり中年女性が3点の買い物をした。選んだ理由を聞いてみた。足のつめ切り980円。「足のつめは硬いでしょ。町で買った安いつめ切りだと、上手に切れないから、欲しかったの」。新潟・三条市に行かないと入手できないと思っていた。「ここにきたら、足のつめきりがあった」と喜んでいた。

 商店会の人だから、商品の目が肥えている。棕櫚(しゅろ)タワシ350円を買い求めていた。「目が細かくて、足の踵(かかと)をこするにはちょうど良いから」と使用目的は入浴だという。もうひとつは線香500円だった。「変わった煙が出る線香よ」というが、実際にはどんな煙か分からなかった。

 館内には象牙細工が多い。象牙は輸入禁止だ。当番の萩原末次郎さん(竹工芸)には原材料について聞いてみた。過去には多くの家で、象の牙が床の間に飾られていた。それがいまや売りに出されている。インドの牙は重たくて、一人では抱え上げられない、と萩原さんは手ぶりで説明してくれた。「それをつぶして(細かくして)、販売する業者がいます。それを買い求めて細工するんです。だから、製品は小さいもの、小粒なものになっていきます」と教えてくれた。

 『葛飾区伝統産業館』の事務局長の山中定男さんは、日常の運営管理をおこなう。「職人さんの品物は信用が高いし、一度使ってよかったからといい、2度、3度と来てくれる人が多い」と話す。山中さんは、品物が売れる都度、職人さんに連絡して、補充してもらうという。

 同館には一日約60人がきてくれる。多いときには120人くらい。「最近は下町人気から、観光できたひとが立ち寄るケースも目立ちます。若いカップもいます。肩を並べて楽しげに見ています。地元の小学生たちも団体できます」という。

 「このところ、葛飾区の伝統産業の職人には人気があって、あちらこちらのイベントから声がかかるんですよ」と当番の山川金作さん(江戸鼈甲(べっこう))が話す。最近は品川の一流ホテルで、実演に参加してきたという。山川さんからは、展示品のなかでふだん見かけないものを教えてもらった。「銅版」、「引き彫り」、昔あったがいまはない「胴おろし金」などだった。

 日本人は手先の器用な民族だといわれてきた。江戸時代から、丈夫で軽くて長持ちする、という理念で物を作ってきた。東京下町・葛飾の職人たちは、その伝統を受け継ぐ。職人たちは自分なりに工夫を加え、アイデアを組み込み、改良を重ね、それを技としてきた。そして、いまに及ぶ。

 江戸文化を伝える博物館に出むけば、当時の日常品が展示されている。「手を触れないでください」と注意書きされている。ひたすらのぞき見るだけだ。『葛飾区伝統産業館』に出むけば、昭和から腕を磨いてきた葛飾の職人たちが作った品物が展示されている。手にふれて、手ごろな値段で、買い求めることができる。これらの品物のほとんどが、百年後には「手に触れないでください」と、芸術的な貴重品として博物館に展示されることだろう。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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