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紅葉情報。文人たちが愛した、温泉街=群馬県・伊香保(上)

2008年10月19日10時16分 / 提供:PJ

pj
紅葉情報。文人たちが愛した、温泉街=群馬県・伊香保(上)
群馬県・伊香保温泉の360段の石段の中腹には、与謝野晶子の詩集「石段の街」が彫られている。(撮影:穂高健一、14日) 写真一覧(5件)
秋の紅葉シーズンの温泉街には情緒がある。宿泊して、ゆっくり街を散策できる人には、文人たちが愛した温泉街・伊香保は見逃せない。群馬・渋川市の伊香保は、榛名山の東麓(とうろく)の中腹にある。切り立つ山肌の斜面に張りつく、温泉街だ。街なみの特徴は長さが約300メートル、360段の石段だ。両脇には旅館、ホテル、おみやげ屋、飲食店などがびっしり並ぶ。

 山形県・山寺、香川県・金比羅とならんで、日本3大名段の一つ。年間に116万人の宿泊客がある。(観光協会による)。360段の石段の中腹には、与謝野晶子の1929(昭和4)年に出版された詩集「石段の街」が彫られている。

 『榛名山の一角に、段また段をなして、(中略)屋根の上に屋根、部屋の上に部屋、すべてが温泉宿である。そして榛(はん)の若葉の光が、柔らかい緑で、街全体を濡らしている』という文面が続いてくる。彼女の詩集を読むだけでも、温泉街に文学のかおりが漂う。

 おなじ石段でも、作者によって表現が異なる。田山花袋は群馬出身で、地元をよく知る。作品『伊香保案内』のなかで、伊香保は特徴のある町で、箱根、有馬、草津ともちがっている、と述べてから、『多量の湯が上の山の中から湧(わ)き出して、そして鉄管を通って上から下へと流れ落ちているのである。そのために、人家はみなその斜阪(しゃはん)の上に階級をなして、そして上から下へと下って並んでいるのである。だからどの旅館からも、同じような谷と同じような山と同じような展望がひらけている』と描写する。

 文人たちは、急な石段そのものに文学的な情感を見いだしている。与謝野晶子、田山花袋に真似(まね)て詩を作ったり、詩歌を詠(うた)ってみたりすれば、心地よいひと時が得られるだろう。急坂の石段を登りながら振り返ると、風景は一級品だ。渋川市内を盆地とした、取りかこむ赤城山、日光連山、谷川連峰の山々が望める。

 この風景を作品に取り込んだのが、徳富蘆花(とくとみ・ろか)の連載小説「不如帰(ほととぎす)」だ。海軍少尉・川島武雄と浪子との悲劇の物語である。浪子が伊香保の旅館に宿泊し、3階の障子を開いて夕景色をみる描写から書き出されている。同作品は1898(明治31)年11月から国民新聞に連載された。多くの読者の涙を誘い、舞台や映画で大ヒットとなった。蘆花を文壇の名声を確固たるものにした。と同時に、伊香保を特に有名にしたのだ。

 1989(平成元)年11月、伊香保の街に「徳富蘆花記念文学館」が建てられた。常設展には、蘆花の熊本県・水俣の生い立ちから、同志社大学で新島譲に学び、兄・蘇峰(そほう)の民友社、国民新聞社で記事を書いていたジャーナリスト時代などの年譜と資料がならぶ。小説活動の関係資料、芥川龍之介、島崎藤村、永井荷風など文豪たちと交わした書簡などがならぶ。明治40年にロシアにトルストイを訪ねる旅に出ている。これら資料や写真なども展示されている。

 蘆花は静養と執筆のために、愛子夫人を伴って、たびたび伊香保を訪ねている。自伝「富士」を執筆しながら、伊香保の「千明仁泉亭」の一室で亡くなった。終焉となった別荘が、同文学館の敷地内に移築されている。文豪・蘆花をこまかく知ることができる。【つづく】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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芥川龍  紅葉  群馬県  香川県  同志社大学  
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