【番長・杉山茂樹の観戦記】非論理的なサッカーを演じた岡田ジャパン
2008年10月17日11時01分 / 提供:livedoor スポーツ
古今東西、世界広しといえど、センターバックが、相手のゴール前に長い時間張り続けるチームはそういない。ウズベキスタン戦。特に闘莉王は終盤、ほぼ上がりっぱなしの状態だった。
その時、岡田ジャパンは何という布陣で戦っていたのだろうか。人員がピッチの上に、効率よく配備されていたわけではない。
1トップの玉田は、乱立を避けたのだろう。1トップと言うよりサイドに流れてプレイすることの方が多かった。1トップ下の大久保も下がったり、流れたり、決してゴールに近い場所でプレイしていなかった。
守備も同様、両者が攻め上がれば、左サイドバックの阿部や、交替で入った稲本が最終ラインをカバーし、バランスの維持に努めたが、それでもピッチの至る所に”穴”は存在した。
試合後の記者会見で岡田サンは、稲本を投入した理由についてこういった。「キープ力のある遠藤を高い位置で起用したかったから。高い位置に攻撃の基点を作りたかったからだ」と。4-2-3-1の2(守備的MF)の左サイドにいた遠藤を3の位置に上げ、稲本を遠藤が元いたポジションに投入したわけだが、稲本が実際2の位置にいる時間は少なかった。攻め上がったまま戻ってこない闘莉王をカバーするために、最終ライン付近に居座る時間の方が長かった。
左サイドバックの阿部も、センターバックのポジションで構える時間が目立つようになった。中沢もまた、攻め上がる時間が多くなったからだ。センターバック2枚が揃って定位置を空けるサッカーも、古今東西世界広しといえど……である。
当たり前の話だが、布陣はもはや4-2-3-1ではなくなっていた。岡田ジャパンはなんとも表現しにくい歪な布陣で戦っていた。稲本が最終ラインに下がれば、守備的MFは長谷部1枚になる。阿部がセンターバック付近をカバーすれば、そのサイド攻撃は不可能になる。各所に穴ができるのは当然で、選手がカバーしあったところで、バランスの維持には限界があった。
4-2-3-1の布陣上を、選手が移動していったわけではない。布陣を4-1-4-1や4-4-2に変更したわけでもない。切羽詰まった、カップ戦決勝のラスト5分を見てるような感じだった。8試合ある最終予選のまだ2試合目だというのに、岡田ジャパンは、火事場の馬鹿力に期待するようなような非論理的なサッカーを展開した。
02年W杯で、センターフォワードからセンターバックまで、3-4-3の布陣上の各所を、メンバー交替のたびに順に移動していったユーサンチョル(韓国)と、闘莉王、中沢との間には決定的な差がある。この2人を最初からトップで起用した方が、是非はともかく、チームとしてよっぽどスッキリする。
そもそもそれは”パワープレイ”とは言えない。中沢(187センチ)、闘莉王(185センチ)は、出るところに出れば、長身プレイヤーではなくなる。190センチ、185センチ、186センチの長身が並ぶ、ウズベキスタンを相手に、ハイリスクを冒してまで、実践する価値がある作戦には思えない。限界が見えているやり方だといわざるを得ない。
もし予選を突破しても、本大会での活躍は望み薄。ウズベキスタン戦は、岡田ジャパンのマックス値の低さを痛感した一戦だった。このサッカーでは3連敗は濃厚。「世界を驚かす」とか「ベスト4」とか、岡田サンが就任当初、口にした景気の良い台詞を、まともに信じている人は、ゼロに近いといっても言い過ぎではない。にもかかわらず岡田サンは、試合後の記者会見で「我々がやっていることは間違っていない。決めるべきところで、決められなかったけれど、これを続けていくしかない」と、自分自身の正当性を主張した。
むしろ逆の台詞を吐いてくれた方が、よっぽど救われる気になる。 「いままでのやり方は間違っていた」と言ってくれた方が、期待感は増す。
慌てた様子さえ見られなかった。笑みを浮かべながら会見場に入り、クールな台詞を吐く岡田サンは、果たして本当の姿だろうか。感情を押し殺し、冷静な振りをしているに違いない。怪しいムードだというべきだろう。
中沢、闘莉王の話に戻れば、問題は、攻撃参加に限らない。後方で構える際にも、危うさはつきまとう。プレッシャーを掛けられると慌てるし、フィードは巧くないし、ここに来てドタドタした粗さの方が目立つのだ。デカさが目立たなくなると、何が魅力なのか見えてこないのだ。
攻めても問題。守っても問題。中沢と闘莉王は、つまりいろんな意味で”急所”に見える。少し前まで、安心感を抱かせた場所が、途端に危なっかしくなってしまった感じだ。日本の失点シーンで、闘莉王が侵したパスミスは、楽観的なFW選手のメンタリティで臨んでいるからに他ならない。相手のゴール前で荒っぽさを発揮しているウチは頼もしい存在に見えるが、自軍のゴール前で荒っぽくされと大変だ。しかし、二重人格者でない限り、相反するメンタリティを瞬時に切り替えることは難しい。ゴールとオウンゴールを交互に叩き出しそうな気がして怖いのだ。
杉山茂樹 / Shigeki SUGIYAMA
1959年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、サッカーを中心とするスポーツのフリーライターとして多数の雑誌に寄稿するほか、サッカー解説者としても活躍。1年の半分以上をヨーロッパなどの海外で過ごし、精力的に取材を続けている。著書には、『史上最大サッカーランキング』 (廣済堂刊)『4−2−3−1』(光文社)など多数。
◇関連リンク
・杉山茂樹コラム - グローバルな視点でサッカー界を斬る!
その時、岡田ジャパンは何という布陣で戦っていたのだろうか。人員がピッチの上に、効率よく配備されていたわけではない。
1トップの玉田は、乱立を避けたのだろう。1トップと言うよりサイドに流れてプレイすることの方が多かった。1トップ下の大久保も下がったり、流れたり、決してゴールに近い場所でプレイしていなかった。
守備も同様、両者が攻め上がれば、左サイドバックの阿部や、交替で入った稲本が最終ラインをカバーし、バランスの維持に努めたが、それでもピッチの至る所に”穴”は存在した。
試合後の記者会見で岡田サンは、稲本を投入した理由についてこういった。「キープ力のある遠藤を高い位置で起用したかったから。高い位置に攻撃の基点を作りたかったからだ」と。4-2-3-1の2(守備的MF)の左サイドにいた遠藤を3の位置に上げ、稲本を遠藤が元いたポジションに投入したわけだが、稲本が実際2の位置にいる時間は少なかった。攻め上がったまま戻ってこない闘莉王をカバーするために、最終ライン付近に居座る時間の方が長かった。
左サイドバックの阿部も、センターバックのポジションで構える時間が目立つようになった。中沢もまた、攻め上がる時間が多くなったからだ。センターバック2枚が揃って定位置を空けるサッカーも、古今東西世界広しといえど……である。
当たり前の話だが、布陣はもはや4-2-3-1ではなくなっていた。岡田ジャパンはなんとも表現しにくい歪な布陣で戦っていた。稲本が最終ラインに下がれば、守備的MFは長谷部1枚になる。阿部がセンターバック付近をカバーすれば、そのサイド攻撃は不可能になる。各所に穴ができるのは当然で、選手がカバーしあったところで、バランスの維持には限界があった。
4-2-3-1の布陣上を、選手が移動していったわけではない。布陣を4-1-4-1や4-4-2に変更したわけでもない。切羽詰まった、カップ戦決勝のラスト5分を見てるような感じだった。8試合ある最終予選のまだ2試合目だというのに、岡田ジャパンは、火事場の馬鹿力に期待するようなような非論理的なサッカーを展開した。
02年W杯で、センターフォワードからセンターバックまで、3-4-3の布陣上の各所を、メンバー交替のたびに順に移動していったユーサンチョル(韓国)と、闘莉王、中沢との間には決定的な差がある。この2人を最初からトップで起用した方が、是非はともかく、チームとしてよっぽどスッキリする。
そもそもそれは”パワープレイ”とは言えない。中沢(187センチ)、闘莉王(185センチ)は、出るところに出れば、長身プレイヤーではなくなる。190センチ、185センチ、186センチの長身が並ぶ、ウズベキスタンを相手に、ハイリスクを冒してまで、実践する価値がある作戦には思えない。限界が見えているやり方だといわざるを得ない。
もし予選を突破しても、本大会での活躍は望み薄。ウズベキスタン戦は、岡田ジャパンのマックス値の低さを痛感した一戦だった。このサッカーでは3連敗は濃厚。「世界を驚かす」とか「ベスト4」とか、岡田サンが就任当初、口にした景気の良い台詞を、まともに信じている人は、ゼロに近いといっても言い過ぎではない。にもかかわらず岡田サンは、試合後の記者会見で「我々がやっていることは間違っていない。決めるべきところで、決められなかったけれど、これを続けていくしかない」と、自分自身の正当性を主張した。
むしろ逆の台詞を吐いてくれた方が、よっぽど救われる気になる。 「いままでのやり方は間違っていた」と言ってくれた方が、期待感は増す。
慌てた様子さえ見られなかった。笑みを浮かべながら会見場に入り、クールな台詞を吐く岡田サンは、果たして本当の姿だろうか。感情を押し殺し、冷静な振りをしているに違いない。怪しいムードだというべきだろう。
中沢、闘莉王の話に戻れば、問題は、攻撃参加に限らない。後方で構える際にも、危うさはつきまとう。プレッシャーを掛けられると慌てるし、フィードは巧くないし、ここに来てドタドタした粗さの方が目立つのだ。デカさが目立たなくなると、何が魅力なのか見えてこないのだ。
攻めても問題。守っても問題。中沢と闘莉王は、つまりいろんな意味で”急所”に見える。少し前まで、安心感を抱かせた場所が、途端に危なっかしくなってしまった感じだ。日本の失点シーンで、闘莉王が侵したパスミスは、楽観的なFW選手のメンタリティで臨んでいるからに他ならない。相手のゴール前で荒っぽさを発揮しているウチは頼もしい存在に見えるが、自軍のゴール前で荒っぽくされと大変だ。しかし、二重人格者でない限り、相反するメンタリティを瞬時に切り替えることは難しい。ゴールとオウンゴールを交互に叩き出しそうな気がして怖いのだ。
杉山茂樹 / Shigeki SUGIYAMA
1959年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、サッカーを中心とするスポーツのフリーライターとして多数の雑誌に寄稿するほか、サッカー解説者としても活躍。1年の半分以上をヨーロッパなどの海外で過ごし、精力的に取材を続けている。著書には、『史上最大サッカーランキング』 (廣済堂刊)『4−2−3−1』(光文社)など多数。
◇関連リンク
・杉山茂樹コラム - グローバルな視点でサッカー界を斬る!
コメントするにはログインが必要です
Ads by Google
関連ニュース:サッカー日本代表
- 【Sports Watch】日本代表・本田が断言“チーム内での衝突は避けられない”Sports Watch 05日10時03分(9)
- 【Sports Watch】セルジオ氏“W杯ベスト4”を一蹴 「根拠のわからない無理な目標」Sports Watch 30日17時30分(23)
- 【コンフェデ雑記】前言撤回。南ア開催はアリだと思えてきた理由
livedoor スポーツ 26日18時03分(8) - 【加部究コラム】世界を驚かすより、ファンを納得させる覚悟をFOOTBALL WEEKLY 24日13時12分(6)
- 日本のサッカーに足りないもの─ホペイロ・マツの情熱livedoor 有名人ブログニュース 23日14時22分
- << カンフーサッカー日本上陸…
- スポーツ一覧
- ルーニー、さらなるゴール… >>
|
36,750円
ベルメゾンネット
|
30,450円
サッカーショップ加茂
|
3,809円
香水専門店ベルモ
|
10,500円
ディノス
|
サッカーアクセスランキング
- 【戸塚啓コラム】小野伸二の言葉livedoor スポーツ 10日18時58分(6)
- <中国サッカー>また醜聞?外国人FWが「みだらな行為」で逮捕―広東省深セン市
Record China 10日22時36分(1) - 【セルジオ越後コラム】Jリーグは外国人枠をもっと増やすべきFOOTBALL WEEKLY 10日12時37分(11)
- 俊輔入団会見 4万人の前でリフティング
スポニチ 10日06時00分 - 「マイボール」ありきは強国の視点。日本は発想を転換せよlivedoor スポーツ 10日20時45分(5)
- いきなり夢対決 俊輔vsCロナ&カカ…開幕2戦目にレアルスポーツ報知 11日08時15分(1)
- ネスタ:「今のミランは未知数」
Goal.com 11日13時06分(1) - コラム:リスクある選択をした中村俊輔Goal.com 09日15時10分(14)
- インテル、ネドベドとルッシオを獲得かGazzetta.it. 10日20時48分
- “準MVP”ブラジル人MFに「高すぎる」―リヨン首脳の矛盾欧州通信 09日17時12分
注目の情報
英語、話したいです!石川遼17歳『スピードラーニング』を移動中に聞いてます。英語を聞いてすぐ日本
語が分かるのがいいですね。海外の試合で外国人選手とコミュニケーシ
ョンをとれるようになったのが一番嬉しいです!
遼くんが今も学んでいる英語とは












