試合後の会見で岡田監督は我々がやることは間違っていないと主張したが・・・<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 古今東西、世界広しといえど、センターバックが、相手のゴール前に長い時間張り続けるチームはそういない。ウズベキスタン戦。特に闘莉王は終盤、ほぼ上がりっぱなしの状態だった。
 その時、岡田ジャパンは何という布陣で戦っていたのだろうか。人員がピッチの上に、効率よく配備されていたわけではない。
 1トップの玉田は、乱立を避けたのだろう。1トップと言うよりサイドに流れてプレイすることの方が多かった。1トップ下の大久保も下がったり、流れたり、決してゴールに近い場所でプレイしていなかった。

 守備も同様、両者が攻め上がれば、左サイドバックの阿部や、交替で入った稲本が最終ラインをカバーし、バランスの維持に努めたが、それでもピッチの至る所に”穴”は存在した。
 試合後の記者会見で岡田サンは、稲本を投入した理由についてこういった。「キープ力のある遠藤を高い位置で起用したかったから。高い位置に攻撃の基点を作りたかったからだ」と。4-2-3-1の2(守備的MF)の左サイドにいた遠藤を3の位置に上げ、稲本を遠藤が元いたポジションに投入したわけだが、稲本が実際2の位置にいる時間は少なかった。攻め上がったまま戻ってこない闘莉王をカバーするために、最終ライン付近に居座る時間の方が長かった。
 左サイドバックの阿部も、センターバックのポジションで構える時間が目立つようになった。中沢もまた、攻め上がる時間が多くなったからだ。センターバック2枚が揃って定位置を空けるサッカーも、古今東西世界広しといえど……である。

 当たり前の話だが、布陣はもはや4-2-3-1ではなくなっていた。岡田ジャパンはなんとも表現しにくい歪な布陣で戦っていた。稲本が最終ラインに下がれば、守備的MFは長谷部1枚になる。阿部がセンターバック付近をカバーすれば、そのサイド攻撃は不可能になる。各所に穴ができるのは当然で、選手がカバーしあったところで、バランスの維持には限界があった。

 4-2-3-1の布陣上を、選手が移動していったわけではない。布陣を4-1-4-1や4-4-2に変更したわけでもない。切羽詰まった、カップ戦決勝のラスト5分を見てるような感じだった。8試合ある最終予選のまだ2試合目だというのに、岡田ジャパンは、火事場の馬鹿力に期待するようなような非論理的なサッカーを展開した。

 02年W杯で、センターフォワードからセンターバックまで、3-4-3の布陣上の各所を、メンバー交替のたびに順に移動していったユーサンチョル(韓国)と、闘莉王、中沢との間には決定的な差がある。この2人を最初からトップで起用した方が、是非はともかく、チームとしてよっぽどスッキリする。

 そもそもそれは”パワープレイ”とは言えない。中沢(187センチ)、闘莉王(185センチ)は、出るところに出れば、長身プレイヤーではなくなる。190センチ、185センチ、186センチの長身が並ぶ、ウズベキスタンを相手に、ハイリスクを冒してまで、実践する価値がある作戦には思えない。限界が見えているやり方だといわざるを得ない。

 もし予選を突破しても、本大会での活躍は望み薄。ウズベキスタン戦は、岡田ジャパンのマックス値の低さを痛感した一戦だった。このサッカーでは3連敗は濃厚。「世界を驚かす」とか「ベスト4」とか、岡田サンが就任当初、口にした景気の良い台詞を、まともに信じている人は、ゼロに近いといっても言い過ぎではない。にもかかわらず岡田サンは、試合後の記者会見で「我々がやっていることは間違っていない。決めるべきところで、決められなかったけれど、これを続けていくしかない」と、自分自身の正当性を主張した。