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「100円」で「100万円」が儲けられる方法?=掘出し物伝説(下)

2008年10月13日06時50分 / 提供:PJ

pj
「100円」で「100万円」が儲けられる方法?=掘出し物伝説(下)
「一冊が147万円となれば、かならず4冊目、5冊目が出てきます」と語る出久根達郎さん。東京・千代田区の東京會舘で。(撮影:穂高健一、9月16日)
(上)からのつづき。一高(旧制)のエリート学生だった藤村操が、華厳の滝で自殺したのが1903年5月だった。4年後の07年5月に、『煩悶記』(はんもんき)が東京の出版社から出版された。藤村操が自殺せず、自ら書いたようにみせかけているが、偽書だといわれている。同書がなぜ、すぐ発禁本になったのか。出久根さんはそれにも触れた。

 藤村操の後追い自殺が後を絶たず、社会を混乱させる。その理由から当局が発禁にした、と多くの研究書にはそう書かれている。「実態はちがいます。私は全文を読んでみました。若者を惑わせる、若者たちを後追い自殺させる、というのは当局の表向きの理由です」と述べた。

 『自分は藤村操である。自分はフランスに行った。友人が社会運動をしたために、捕まえられて処刑をされる。判事にお金を送って、処刑の場に立ち合わせてもらった。世に恐るべきことは、なんでも金で買収できることだ』と同書の要旨を説明した。そのうえで、出久根さんは「判事をお金で買収するとか、社会主義とか、無政府主義とか、過激な表現が警察当局をむかっとさせて、発禁になったと思う」と述べた。

 世の中には一冊しかない。「そんなことはゼッタイありえない。必ず他にもあります」と出久根さんは強調する。

 その後の調べから、3冊目の『煩悶記』が判明した。昭和50年代に、西鶴研究の第一人者の国文学者・野間光辰(のまこうしん)さんが、大阪の古本屋で同書を買ったという。野間さん自身が「日本近代文学館」の官報で書いている。これで『煩悶記』は世のなかに3冊がある、と実証されたのだ。

 「いくら幻の本だといっても、おそらくは10倍の30冊はあるだろうと、業界内ではいわれています。『煩悶記』はいま3冊。持っている方が価値を知らないから埋もれているだけです。あと27冊はどこかで埋もれています」。一冊が147万円となれば、必ず4冊目、5冊目が出てくる。それが古本屋の考え方だという。

 古本屋は長く徒弟制度が続いてきた。古本屋の主人が勤め人に茶飲み話で、変わった本とか、珍しい本とか、世に一冊も出ていない幻の本とか、発禁本などを話して聞かせた。それが古本屋の徒弟制度の下で、商売道具のひとつとして語り継がれてきた。時には掘り出し物伝説にもなった。

 戦前は「国禁の書」が多かった。売買が禁止された本は高く売れた。それが発覚すれば、捕まり、投獄される。古本屋のなかには獄中死が何人もいる。特に幕末からの革新の風土がある京都では、「赤本」と呼ばれた左翼関係の本を扱って投獄されたひとが多かった。

 最近は徒弟制度が崩れてきた。掘り出し物伝説が口から口へと伝えられる機会がすくなくなった。「古本屋自身が掘り出し物の価値を知らない。その勘を持たない。100円均一、300円均一のコーナーに、掘り出し物が無造作に置かれている。その可能性があります」と出久根さんは話す。

 ちなみに、一部報道によると、147万円で出品した人は、その数年前に神田の古書市で見つけたという。古本屋をのぞけば、あしたにも4冊目の藤村操の『煩悶記』が100円均一コーナーで見つかるかもしれない。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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