デスマーチと伝言ゲーム

「伝言ゲーム」、誰でも一度はしたことありますよね。

やってみると、人の記憶のあいまいさ、コミュニケーションの難しさ、人がいかに話を聞いていないかなどの事実を学ぶことができます。会社勤めをしていると毎日のように伝言ゲームのような場面に出くわすものです。

そしてIT業界には「デスマーチ」という恐怖の言葉があります。

とても間に合わない期日、人員不足、無茶なクライアントの要求などにより、過酷労働のもと開発者たちが死の行進をする状況を言います。

なぜデスマーチが発生してしまうのか…。仕事が現場から上に伝えられていく伝言ゲームのような過程をご紹介します。

〜全国で苦しむプログラマーのみなさんに捧ぐ〜


1. プログラマーからシステム・エンジニアへ

このプロジェクトは無理です。大きなデザイン変更を強いられる上、うちのチームにはこのシステムのデザインについて知る者は誰もいません。それにうちの会社にこのアプリが書かれた言語を知る人もいません。
個人的な見解を申し上げますと、当社でこのプロジェクトを絶対に引き受けるべきではありません。


2. システム・エンジニアからチーム・リーダーへ

「このプロジェクトはデザインの変更が必要で、現在うちのスタッフに経験者はおりません。言語も見慣れないもので、この仕事を引き受けるなら、そのための研修が必要だと思います。
個人的な見解を申し上げますと、こういったタイプのプロジェクトを引き受けるには準備が十分ではありません。


3. チーム・リーダーからプロジェクトマネージャーへ

「このプロジェクトはデザイン変更がシステム内で必要で、私たちはこの案件に対する専門的な経験がそれほどありません。さらに社内にあまり多くの人が相応しい研修を受けていません。
個人的な見解を申し上げますと、通常より完成には時間が要するものと思われます。


4. プロジェクトマネージャーからシニアマネージャーへ

「このプロジェクトはデザインの再構築が必要です。幾人かは経験があり、数人は実装言語がわかります。なのでわかるものが他のものを研修させればいいかと思います。
個人的な見解を申し上げますと、このプロジェクトは要注意ですが引き受けるべきだと思います。


5. シニアマネージャーから社長へ

「このプロジェクトは我々がレガシーなシステムのデザイン変更が可能だということの、業界へのデモンストレーションとなるでしょう。プロジェクトを成功させるために必要なスキルと人材はそろっており、数人はもう自宅研修が終わっています。
個人的な見解を申し上げますと、どんな状況においてもこのプロジェクトを逃すべきではありません。


6. 社長からクライアントへ

「私どもはこの手のプロジェクトのエキスパートです。現在まで多くの似たようなプロジェクトを、多数の大手クライアントさん向けに手掛けてきました。この種の仕事は他社に負けません、ぜひとも我々にお任せください。
個人的な見解を申し上げますと、このプロジェクトは我々なら期限以内に仕上げられます。


プログラマーが血の涙を流すわけですよね。

応援します。頑張ってください。(他人事)

Laugh IT Out: Bottom Up Approachより

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