【映画評】アカデミー賞候補 映画『おくりびと』の面白さの秘密を発見!
2008年09月15日10時02分 / 提供:PJ
(C)2008 映画「おくりびと」製作委員会 配給/松竹 監督・滝田洋二郎 脚本・小山薫堂 音楽・久石譲 写真一覧(2件)
第32回モントリオール世界映画祭にて、最高賞のグランプリを獲得した世界が認めた感動作。キャストは、本木雅弘、広末涼子らに実力派の山崎努など。監督は、『壬生義士伝』、『僕らはみんな生きている』の滝田洋二郎があたり、TV番組『料理の鉄人』などの構成作家、『東京ワンダーホテル』の脚本を手がけた、人気放送作家の小山薫堂が初の映画脚本に挑戦したことでも話題に。
物語は、本木雅弘演じる主人公が、ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”という特異な仕事に就き、最初は戸惑いながらも、さまざまな死者を送り出すことを通し、生と死、愛と憎しみに正面から向き合うことによって精神的に成長するヒューマンなドラマになっている。それでいて、堅苦しさを感じさせないのは、稀代の作家、小山薫堂の脚本力に寄るところが多いと言えるだろう。
前半のシーンで、広末涼子演じる小林美香が、生きてるタコに怖がりながらも、川に捨てられ死体となった、タコを見て思わず安堵するシーンが、その後の納棺師への映画的なモチーフとなっていたり、後半の山崎努演じる社長の佐々木生栄がグロテスクな?フグの白子焼きを美味そうに食べるシーンなどは、まるで、生と死の挟間を行き来するかのような、絶妙な仕立てになっている。
小山薫堂「前半部分で、生と死というものに対する人の持つ認識と、矛盾点を描きたかったんです」
きれいなものか、そうでないもの、気味の悪いものか、美味しい食べ物か・・・。人間の持つ身勝手な“定義”によって、そのものの価値が決定づけられる。まさに、小山薫堂ならではの絶妙な構成となっている。
本木雅弘演じる小林大悟が奏でるチェロの調べと、一人前の納棺師となってからの鮮やかな納棺の儀式の所作が、別々の映像にもかかわらず、オーバーラップするかのように、イメージが重なり合う。
小山薫堂「音楽は、人間味を感じさせるので取り入れたかったんです。特にチェロという楽器は、人間のカラダにも少し似ていますからね」
山形・庄内地方で、どうしても撮影したかったという、小山氏の狙い通りに、移り変わる四季に合わせ変化する表情豊かな自然を背景に、気持ちよさそうにチェロを奏でる、本木雅弘が印象的だ。
生と死、家族愛など、普段、正面から語ることの少ないテーマを映画の中に見事に紡ぎ出した、作家、小山薫堂の次回の映画脚本に期待するのは、私だけではないはず(文中敬称略)。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 堀籠 しゅん
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