2005年にドラマ『タイガー&ドラゴン』が新規落語ファンを開拓してというもの、マスコミの世界がにわかに「落語」という“金脈”に群がっている。
DVDセールスで大ヒットを記録したNHK朝ドラ『ちりとてちん』(07/10〜08/3)は右代表。また、芸能人やお笑い芸人の中にも、ライブなどで落語に取り組む「にわか落語家」が増えつつある。さらに、あの吉本興業ですら、今まで「儲からない」とほったらかしていた落語を見直し始め、この夏東京の常設4劇場で「もっと上方落語を聴こう」キャンペーンを展開したほどだ。
そんな中、一歩出遅れる形なったのが、中原俊監督作品『落語娘』(8月23日公開)である。3年ぶりの映画主演となるミムラや、ベテラン・津川雅彦の演技に注目されたが、意外なほど評判にならず、上映館もかなりの不入りだそうだ。

原因のひとつは、「タイミングの悪さ」かもしれない。
映画パンフレットのインタビューによれば、本映画の企画が中原監督に持ち込まれたのが、06年秋だという。じつは、この時点で既に、映画の世界でも「落語ラッシュ」が始まっていたのだ。06年4月公開の『寝ずの番』から、『しゃべれども しゃべれども』(07年5月)、『怪談』(同8月)、『やじきた道中 てれすこ』(同11月)、『歓喜の歌』(08年2月)と、引きも切らず。その上『しゃべれども〜』と『歓喜の歌』は数々の賞を受賞する話題作になっている。

その佳作2編の後塵を拝しての公開はいかにも不運で、観る者に「また落語映画?もういいよ」という飽和状態気分を作ってしまった。おまけに「若い女性が落語家の弟子入り」というまったく同じテーマのドラマ『ちりとてちん』に先を越されている始末だ。
そして、それを打破するべく「落語映画の真打ち登場!」なる大仰なキャッチコピーをぶち上げたのが『落語娘』だったが、かえって自らハードルを高くする逆効果に陥ってしまった。

ストーリーも、どの層からも共感を得づらい、どっちつかずな内容。主演のミムラは愛嬌のある女前座の高座姿を映画前半では見せたものの、映画後半から、脚本が津川雅彦演じる異端落語家の落語高座中心に代わり、影が薄れてしまった。女性落語家のサクセスストーリーかな?と期待して見始めたら、あとで記憶に残るのはセクハラシーンばかり。『しゃべれども〜』のような爽快感も、『歓喜の歌』のような盛り上がりも損ねたというわけだ。せっかくの劇中劇という構成の面白さも、おかげで死んでしまったのが致命的だった。

原作小説の発表は05年暮れ。要は、この原作自体がブームに便乗する気満々だったわけである。「ブーム便乗の安易さ」が落語ファンに受け容れられなかった結末と言えるかもしれない。

(編集部:尾張家はじめ)

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