先月29日、ゲームソフト会社の大手スクウェア・エニックス(東証1部上場)[ 以下、スクエニ ] が、同業のテクモ(東証1部上場)に買収提案(友好的TOB)を行なった。それを受けて9月4日、テクモはその提案を拒否することを発表。そして同日、今度はコーエーとの経営統合に向けて協議開始することを発表したのである。

 スクエニは即座に、テクモに対して買収提案を拒否した理由やコーエーとの経営統合を選んだことの正当性などを照会する質問書を送っている。9月8日、テクモはそれに回答。スクエニの買収提案を拒否したことについて、スクエニからの提案は回答期限が1週間と短く、議論の余地がなかったこと。反対に、コーエーからの提案は今後時間をかけて検討をしていくというものであり、最終的に当社の企業価値を高める結論に至る可能性が高いと判断したこと、などを理由として挙げた。

 それを受け、結局スクエニは買収提案を撤回することを表明。テクモとコーエーは11月上旬をメドに経営統合の具体策を詰めていくことになった。結果的に見れば、スクエニはフラれただけでなく、恋人を別の者にさらわれる格好となったのである。

 スクエニによるテクモ買収提案から始まった今回の一連の動きの背景には、国内ゲームソフト市場の成長鈍化がある。世界と比べてみても日本のゲームソフト市場は伸び悩んでおり、飽和状態。その国内市場も、現在は「Nintendo DS」や「Wii」のヒットで、ハードもソフトも任天堂の一人勝ちといえる。ちなみに任天堂の時価総額は7兆4000億円以上。ゲーム業界でダントツの世界1位であるだけでなく、昨年、ソニーの時価総額を抜いたとして話題となった。

 さらに海外市場においては、マイクロソフト「Xbox」の登場で欧米の市場が拡大しているにもかかわらず、かつて「ゲーム王国日本」といわれた勢いはいまの日本のソフト会社にはない。反対に、欧米系のソフト会社が台頭してきている状況だ。まさにゲームソフト会社で世代交代がおき始めているといえる。

 国内市場の成長鈍化と任天堂の一人勝ち、欧米ソフト会社の台頭による海外での苦戦。内を見ても外を見ても苦しい状況の中、任天堂を除く日本のゲームソフト会社は危機感を強めていたのである。

 スクエニはもともと、「スクウェア」と「エニックス」という2つのゲームソフト会社が合併してできた会社である。スクウェアは『ファイナルファンタジー』、エニックスは『ドラゴンクエスト』という看板商品シリーズを持っていた。このロールプレイングゲーム2大巨頭の合併は、規模の論理が成功した例といえる。というのも、たとえメガヒット商品を持っていたとしても、その開発には莫大なコストと時間がかかり、売上も発売年に偏ってしまう。しかし合併することでリスクは軽減し、経営を安定させることができたのである。

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