転職希望者と求人企業をつなぐ人材紹介会社。近年では利用者が増える一方で新規参入企業も増加し、市場規模は急拡大している。しかし、十分な知識をもつ利用者は意外に少なく、人材紹介サービスのメリットが生かしきれていないケースもままある。エンジニアならもっと賢く活用しよう。

Part1 転職エンジニア200人が答える人材紹介会社の利用実態
 転職経験があり、かつ転職時に人材紹介会社を利用したエンジニア 200人にアンケート調査を行った。回答者は22〜40歳の男女、職種はソフト系106人、ハード系94人で、研究、開発、設計から運用、テスト、FAE などまで幅広く網羅した。まずは基礎的なデータから見ていこう。

■転職経験のあるエンジニアの4割以上が「1社」に登録
 人材紹介会社は大きく3つの業態に分かれる。自社に職務経歴などを登録した転職希望者を求人企業に紹介する「登録型」、登録の有無にかかわらず企業の求める人材にアプローチする「サーチ型」、人員整理などの対象となった社員の再就職支援を行う「アウトプレースメント型」だ。
 サーチ型はいわゆるヘッドハンティングであり、アウトプレースメント型と同様に、当事者が必ずしも転職を望んでいるとは限らない。その一方で、登録型には転職の意思の高い人が自主的に登録しており、このサービスを行う人材紹介会社が最も多い。そのため、この記事では「登録型」の人材紹介サービスを前提としている。

 ただ、登録型に限っても大手、中堅、個人事業主のような小規模の会社まであり、職種や業種を幅広くカバーするところもあれば、専門に特化したところもある。逆に利用者から見れば、複数の会社に登録してより多くの求人を期待することもできる。
 そこで、何社に登録したかを尋ねたのが左上のグラフだ。4人に3人のエンジニアが1社か2社と答えており、登録社数は意外と少ない。この内訳で目立つのがハード系職種で、1社では約6割、2社では6割強を占めた。特に1社には回路設計と機械・機構設計が多く、この2職種のほぼすべての人が「2社以内」だった。一方の3社以上では7割以上がソフト系職種。特に多いのはネットワーク系職種と社内SEで、社内SEは15人中11人が3社以上に登録していた。

■登録者の半分弱が転職まで進んだ中心層は30代
 人材紹介会社への登録には履歴書やキャリアシートなどを提出するのが一般的で、その後はキャリアコンサルタントとの面談、企業の推薦、応募、面接、内定、入社となる。どの段階まで進んだのかを尋ねると、半分弱が入社(転職)に至ったと回答した(右上のグラフ)。この数字はかなり大きい。なぜなら、転職活動には転職サイト、転職情報誌、転職フェアなどさまざまな方法があるうえに、人材紹介サービスを使っても意に沿う企業が見つかるとは限らないからだ。
 この「転職成功者」を年代別に見ると20代で56%、30代で47%、40代で23%となっている。年齢が若いほど転職成功者が増えているわけだが、全体で見ると20代は8%しかおらずそのほとんどが28歳と29歳、40代は40歳のみで7%だ。つまり、人材紹介会社を利用した85%は30代のエンジニアで、この世代が中心となっているようだ。ちなみに年齢分布は30代前半が若干多いもののほぼ均等だった。

 また、「転職成功者」を職種別に見ると、登録した半数以上が転職したのは、コンサルタント、オープン系SE、ネットワーク系職種、機械・機構設計、光学技術、品質管理・製品評価だった。各職種の母数が異なるので「成功率」は確実ではないが、比較的多かったオープン系SE(35人)、機械・機構設計(21 人)、品質管理・製品評価(20人)を考えると、社会的に人数の多い職種には、企業の求人数も比例して多くなるのかもしれない。
 人材紹介サービスを使った感想では、「かなり」と「ある程度」を合わせて約7割が「役に立った」と答えている。回答者にはこのサービスで転職した人が圧倒的に多いのだが、職種、業種、年齢、登録社数などそれ以外の共通項は見つからなかった。Part2で取り上げる「利用料が無料」という要素が心理的に働いていることも考えられる。

Part2 人材紹介サービスのメリット、デメリット、技術職との相性度
 人材紹介サービスのメリット、あるいはデメリットとは何だろうか。選択肢を多くして複数回答(最大3つまで)で答えてもらった。サービスを活用したエンジニアだから実感できることも多いはずだ。

■満足度に作用しているのは「無料のメリット」か
 人材紹介サービスのメリットでダントツに多かったのが「無料である」こと。実は編集部では、ここまでこの数字が高いとは予想していなかった。というのは、人材紹介会社とは登録者と求人企業をマッチングさせて企業側から手数料を得る斡旋業であり、利用者に周知のことだと思っていたからだ。無料が前提であればメリットに感じることも少ないはずだが、事業形態の特徴として入れた選択肢だったのだ。
 確かにキャリアコンサルタントは登録者の要望をヒアリングし、適した企業を探し、応募書類や面接の相談にものってくれる。「ここまでしてもらってタダでいいのか」という気持ちになるのはわかるし、ほかの選択肢が選ばれたのは彼らの努力が評価されてのことだろう。しかし、無料にありがたみを感じてしまうと、自分の気持ちを強く出せない場合も出てくる。希望の仕事を探すためにも、「無料」は重視しないほうがよいだろう。

 一方、デメリットで飛び抜けた項目はなかったが、1位の「企業が見つからなかった」は目的が果たせなかったので当然だろう。しかし、マッチングには職種、業種、仕事内容、職務経歴、転職活動時期、人材紹介会社が扱う求人企業などが複雑に関係するので、こればかりはいかんともしがたい。損をしない活用法のためにはPart3を見てほしい。
 また、ここでも編集部の見当外れが起こった。利用したら何らかの不満はもつだろうと考え、当初の選択肢に「特になし」を入れなかったのだ。そのため、「その他」の欄に「特になし」「なし」などと書く回答者がいて、合計すると3番目に多くなった。また、「その他」には「前職の関連会社しか紹介してくれなかった」「希望した賃金にならなかった」「人材紹介会社が近辺になかった」「退社時期の調整が強引」「紹介された企業数が少なかった」などがあった。
 :
 :
 :
続きはこちら

■関連リンク
livedoor キャリア