<目次>
この世は偽者だらけ
偽者作って何が悪い?
つまるところ、ブランドとは何か
本当の価値はどこにあるのか
ブランドはどこまで広げられるか
偽者はブランドを乗っ取り、約束を守る
嘘のような本当の話
愛着はどこからくるのか
ときに悲しい誤解もある
ブランドとロゴ
リスクは最小限に
人は海外で羽目を外す
もはや、見分けがつかない?
おそるべし、インターネット
リアル市場も混乱を極める
消費の味を覚えた人々
金で買えるものこそ意味がある
思いやりは過去の遺物
欲しいものは力ずくで手に入れる
知的所有権はどこにあるのか
自らブランドをコピーして市場を拡大する
クールかどうかだけが重要?
自分自身はブランドに左右されない人間か
誰かにおすすめを教えて欲しい
買い物にはまる現代人
いい買い物とは?
ブランドを傷つけているのは誰?
このままでいいのか
本書はロンドンに在住しているマーケターの方が書かれているのですが、マーケティングのビジネス本というよりは、偽ブランド品について考えてみませんか?というスタンスの読み物です。「消費者は企業のあこぎな商売に踊らされているんだ」「偽モノを買う人間は馬鹿である」とか、そういう主旨の本ではありません。目次を読めばある程度わかると思いますが、ブランドの定義、ブランドの価値はどこにあるか、偽モノを買う人の心理、ブランドのセカンドラインとライセンス、デザインのコピーはどうなのか、知的所有権と法律の話、SEX AND THE CITYと消費欲、犯罪集団の資金源の話とか、多角的に問題を掘り下げ、著者の体験や裏話を交えながら問題意識を投げかけています。個人的に興味深かったのがこの雑誌の話。
『エル』はチープシックならぬ「チート(にせの)シック」なおすすめ商品として、1026ポンドのクロエのバッグに代わる35ポンドの廉価商品を紹介している。では『プリス』の「彼女たちのファッション・・・を手に入れよう!」のページはどうだろう。革製のジャケットを着たモデルのケイト・モス、女優のアンジェリーナ・ジョリー、歌手クリスティーナ・アギレラの写真を見せたあと、読者には H&Mに行けば同様の商品が69.99ポンドで買えると教えている。雑誌『レッド』の「すぐれものパクリ商品」はすごい。<中略>こうした雑誌の特集記事を選ぶ際に私は注意を払ったつもりだ。しかし、どの記事からも、他人のアイデアを盗んでも、デザインをコピーしても、なんとしてでも最新のファッションを手に入れるのは当たり前という印象を受ける。
これを読んで思い出すのが、 Yahoo!知恵袋のこの質問。
服に何万もかけてる人にそこそこの出費でそれほど引けを取らないファッションセンス・テクニックが欲しいです。なんでもいいので教えてください。
ファッションは勝ち負けなの?『エル』で紹介されているような「チート」を使ってまで、張り合わなければならないもの?と思わずにはいられないのですが、この質問の答えの1つとして考えられるのが、偽ブランドやH&Mのようなファストファッションの活用ですよね。
最近は、H&Mのようなコストパフォーマンスの高いブランドに注目が集まっていて、日本の雑誌でも、男性誌女性誌問わず、引用文のような特集をよく見るのですが、この質問のように、ファッションを「表現」ではなく、いかに周りを納得させるか、いかにお得感を感じるか、いかにトレンドを早く安く手に入れるか、といった、「攻略対象(≒ゲーム)」としてファッションを捉える流れがあるように思いませんか?こればかりは価値観の問題なので、これ以上あれこれ言うのは止めておきますが、高級ブランドの売り上げの低迷、H&Mの上陸とファストファッションの盛り上がりを考えると、きっと、そのうち、デザイン・アイデアのコピー問題等がもっと表に出てくるとは思います。「ファッションの品格」みたいなコピーと共に。
飽くなきファッションへの願望が極端なピンヒールやコルセットを生み出したように、今のこの流れが極端になっていくと何が生まれるのでしょうね。今年、よく問題になっている品質表示の偽装がその1つであることは容易に想像がつくのですが、ファッションやブランドを巡る狂騒曲はまだまだ続くことは確かです。皆さんも、H&M台風が本格的に来る前に、本書『偽ブランド狂騒曲』を読んで、ファッションやブランドについて、一度、考えてみてはどうでしょうか。
Elastic - ファッション、女性誌、トレンドをウォッチするブログ



