昨年12月に紹介され、世界中の人が我が目を疑った、“ツリーマン”と呼ばれるインドネシアの男性ディーディさん(37)。体じゅうにカビ色のイボが発生し、両手指はまるで木のよう。その彼が今、米国の医師らの手術によって少しずつ人間らしい手指を取り戻しているという。

初めて自分の不思議なイボに気がついたのは、10代の頃、ヒザを切った跡に発生したものだったというディーディさんは、その後、職場で避けられ、妻にもぞんざいにされ、近所からも白い目で見られて生きてきたという。

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(2007年12月に紹介されたディーディさん。長髪だが本人である)

そしてとうとう、昨年12月、イボに由来する肺炎を起こし、ハサン・サディキン病院のお世話になり、瞬く間にその症状は世界中の医師らの目に留まった。高い検査料や治療費を負担できないディーディさんであったが、遺伝子の研究を目的にサンプリングへ協力してくれるのであれば、と申し出る米国メリーランド大学のアンソニー・ギャスパリ医師らとの交渉が成立、同医師らの治療を受けることになった。

その病院での9回目の手術により、彼のイボの95%が取り除かれた今、10代の娘2人がいる家庭に早く彼を帰してあげ、9月1日から始まるイスラムの断食に、家族とともに参加するとよいのではないかと、担当医のひとりであるラシュマド・ディナータ医師は言う。

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(がんばれ、ディーディさん!)

「家族とともに迎える断食の日々は、精神面での治癒になると思います。彼の病気は、100%治療ということは残念ですが無理でしょう。でも、生活のクオリティは上がったはずです。自分で食べものを口に運び、字を書いたり、携帯電話も使えるようになるでしょう。ただし、10月になったら、もう少し手のイボの除去手術が必要ですが」とのことである。

彼の親族の誰にも発生していない、奇病と言わざるを得ないこの症状についてギャスパリ医師は、たいていは皮膚に小さなイボを作って終わる程度の、ありふれたウィルスであるヒト・パピローマ・ウィルスが、彼にとっては大問題となってしまうと説明する。

彼の遺伝子には非常にまれな欠陥が認められ、それが自己免疫システムを狂わせ、皮膚細胞に侵入したウィルスに対し、その奇妙な物質を細胞内に作り上げろといった誤った指令を出していると考えられるとのことで、命に別状はないものの、何回でも発生する可能性もあるとのことだ。イボ発生と手術との繰り返しとなるのであろうが、今後の彼の健康を祈り、治療が進みいつかすっかりきれいになった手指をまた披露して頂きたいと思う。

* 画像提供: (C)Reuters

(編集部 Joy横手)

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