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未来におくる美しい自然『里山』=東京(下)

2008年08月27日15時00分 / 提供:PJ

pj
未来におくる美しい自然『里山』=東京(下)
今森光彦写真展・『朝焼けのはさ木』。朝焼けの里山の色彩が見事である。(写真:主催者からの掲載許可済) 写真一覧(2件)
(上)からのつづき。今森光彦写真展『里山』の第2部は、サブタイトル『湖辺』だ。テーマとしては「水の流れが育む生命」である。今森さんは暖かい目線で、湖周辺の小動物たちと、そこに生きる人々を写し出す。被写体の断面がそれぞれに見事で、心にひびく作品ばかりだ。

 自然写真を観ても、地方人と都会人では感じ方も、心のとどめ方もちがう。写真家の狙いと、見る側の受け止め方もちがう。あえて、PJの目から作品の一部を紹介してみたい。

 『巣立ちの前のトビ』の主役は、若い鳶(とび)だ。樹(タチヤナギ)の枝に作られた巣で、鳶が目いっぱいに両翼を広げた、緊張した一瞬がとらえられている。鳶の目と嘴(くちばし)が鋭く強調されている。そこからは巣立ちした後の、猛禽類(肉食の鳥)のたくましい生態が想像できる作品だ。

 『群れるコアユ』では、透き通った清流で、小さな鮎(あゆ)が銀鱗を光らせて泳ぐ光景だ。射しこむ陽光が鮮明度を高めている。小さな魚たちの目が人間になにかを語りかけている。小さな生命力がしっかり伝わってくる作品だ。

 『木舟』は、湖畔の片隅の、小舟が沈んだ情景だ。見た目には船体が朽ちて沈む、ある意味で汚い情景だ。今森さんはそれを芸術的な価値にまで高めているのだ。

 一般人には見過ごしたり、目を背けたりする、沈んだ船体。それをフォーカスし、水面の陽光の陰影でアクセントをつける。そして、観る者を感動させる。こうした写真の技には驚かされてしまう。

 『朝焼けの船着場』は、ヨシ原の川底の浅い場所らしい。朝もやのなかで、棹(さお)であやつる漁師が一隻の小舟を進める、墨絵のような静寂な情景のなかに、漁師と小舟が溶け込んでいる。まさに、日本人が忘れかけている風景だ。

 同会場を見渡すと、年齢層の幅が広く、二人づれが多い。写真のまえで、たがいに作品を指し、「故郷を思い出すね」、「この鳥の嘴(くちばし)はすごいね」、「水がきれいね」と語り合っている。

 今森光彦さんは『里山をながめると、ほとんどのひとは「なつかしい」といいます。でも、ぼくの目には「未来の風景」に見えてなりません』と述べている。含蓄のあることばだ。その考えでシャッターを切るから、写真作品の一つひとつからは「動物と人間の共存が不可欠だ」と訴えるものが伝わってくる。 観る人たちは意識、無意識を問わず、「これら自然をいかに残していくべきか」、という問題を自分自身に向けていると思う。

 同展覧会が開催されている、東京駅ビルはまさに大都会のど真ん中にある。周辺は開発が最も進んだ場所だ。琵琶湖周辺の自然の情景とは対極にある。写真を観るほどに、「社会の進歩と自然の調和」が考えさせられた。他方で、今森光彦さんは、写真を通して、環境保護の重要性を訴える写真家だと、読み取れた。

 今森さんのことばを紹介しておきたい。『里山の風景は、むしろこれからぼくたちが積極的につくっていく、再生していくべき風景だろうと思っています』と述べている。

 夏休みはまだ残されている。中学生以下は無料だ。特に都会の子どもには、「人間は自然界と共有してきたんだ」と写真を見せて、将来につなげてほしいものだ。それが「未来におくる美しい自然」という、今森さんの願いにつながっていく道だから。【了】   

■関連情報
大丸ミュージアム・東京「大丸東京店10階」
入場時間:午前10時〜午後7時30分
最終日:9月1日(午後4時半まで)
入場料:一般800円、大高生600円、中学生以下は無料

記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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