「知財」を武器に未知のキャリアを切り開いたO.Mさん

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エンジニアを志向したほとんどの方は先端技術に触れ、それを習得して仕事に生かしたいと考えるだろう。そして市場価値の高いスキルを磨き、より活躍できる場や高待遇を求めて転職する可能性を考えるエンジニアが少なくないはずだ。開発職や設計職はもちろん、技術営業やコンサルタントでも相違はないはずだ。ここにもうひとつ、知財業務を担当するエンジニアが加えられる。大学で機械工学を専攻したO.Mさん。就職氷河期で希望の職種に就くことができなかったが、そこで知財に関するスキルを磨き、現在は世界的に有名な電子部品メーカーで活躍している。エンジニアの理想のキャリアパスは単純ではないことが分かる好例といえるだろう。

Profile
大手電子部品メーカー知的財産部門O.Mさん(34歳)
工業系の大学で機械工学を専攻後、新卒入社した住宅設備メーカーで知財業務を担当。その後、機械メーカーで知財に関するスキルをさらに磨き、再度の転職を経て2005年より現職。

■就職前編 やってみて面白かった知財担当
大学で機械工学を学び、メーカーで生産設備を設計する仕事をしたかった。就職活動時は氷河期に加え、各社とも国内工場の閉鎖や海外への移転を盛んに行っていた時期で、求人自体も少なかった。何とかメーカーに入社したものの、商品企画部門に配属され、希望していた生産設備を設計する仕事には就けなかった。ところが、人生は何があるかわからない。そこで出合った仕事がとても面白かったのだ。ユーザーリサーチやプロモーション活動は楽しかったし、商品企画の作業はクリエーティブだった。後発メーカーであったので、企画した商品が先発メーカーの知的財産に抵触してしまうことは絶対に避けなくてはならず、知財業務にも深く携わることになった。知財というと、地味な業務の上に、法律や手続きなどの難しい部分もあり、敬遠するエンジニアも多く、最初は敬遠しがちであったが、やってみると意外に面白い。仕事は非常に楽しかったが、会社は人員整理を進めるも業績は上がらず、待遇はさらに悪くなる状況。次第に知財の仕事に興味を持ち始めていたのと、待遇の向上を目指して1回目の転職に踏み切った。

2社目の企業は、機械メーカーA社。ここでは希望していた知財部門に配属された。A社の扱う技術は基本技術の特許権を数社が分け合う形で保有している状況だった。それだけに、技術開発と知財のかかわりは重視されていた。与えられた仕事は、特許の出願業務や技術者に張り付き、開発している技術を分析し、特許出願する業務。また、関連技術の特許についての情報収集や対応も任せられた。

開発しようとしている技術は、すでに他社が出願しているものなのだろうか。
出願していなければ、すぐに出願し権利化を目指す。出願されていたとすれば、相手の出方を見る。権利化を急いでいるようならば、阻止手段を講じなくてはならないし、権利化されていれば、権利を無効化する手段を考えなくてはならない。同時に社内の技術者にも他社権利の存在を知らせなくてはならない。早めに認識していれば、設計の変更で回避できることが多いが、開発の最終段階で、どうしても回避できない場合もある。この場合、交渉してロイヤリティを支払ってでも事業化するのか、権利の問題点を突いて、特許庁へ無効審判請求を起こして、相手と争うのか。あるいは開発を打ち切るのか。
自分の仕事のやり方次第で、事前に問題回避ができて大変感謝されることもあれば、設計変更や開発打ち切りを宣告しなくてはならないこともある。これは技術者と密接な関係をもつ知財マンには大変つらいことだ。技術者の努力や苦労は十分に知っているが上に、何も問題がない状態で開発を完了させてあげたいと日頃から思っていた。

技術理解に機械設計の基礎知識が大いに生かせたこともあったが、こうした知財戦略的な仕事には、モノづくりと同じくらいのやりがいを感じることができた。
しかし3年もすれば、このまま同じ仕事を続けるべきか思い悩むようになった。担当している技術が非常に限定されたものなので、この先はつぶしが利かないと思い始めたうえ、浮き沈みの激しい業界に対する不安もあった。
それなら、知財でどこまで魅力的な転職が可能なのだろう……次の転職を決意するのに、時間はかからなかった。

■転職活動編 特許と先端技術を持っている企業を選択
調べていくと、知財エキスパートとして二つのキャリアパスが見えてきた。ひとつは特許事務所に所属して、企業から知財関連の業務を受託する立場へのチェンジ。自分の持つ技術知識を用いて出願書類を書いていくテクニカルライター的な側面がある。また、キャリアを重ねていく過程で弁理士の資格をとれば、自分の事務所を開設できるかもしれないという魅力がある。

もうひとつは、企業の知財部門の枠の中でステップアップする方向。自社の開発内容を権利にしていくことが重要なのはもちろんだが、自社と競合他社との特許バランスを分析し、自社が有利になるように戦略立案していくことも重要な仕事だ。
これまでのキャリアの中で、自分の技術知識と法知識を駆使して、企業での知財戦略を担っていく業務に魅力を感じていたので、こちらを選択することにした。
次に着手したのは、人材紹介のエージェントへの登録だった。大手C社に登録し、自分のプロフィールに加え、仕事内容や勤務地について希望を伝えた。
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