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3分でわかる「20世紀少年」

2008年08月19日16時51分 / 提供:Techinsight Japan

Techinsight Japan
 映画「20世紀少年」の公開が7月30日に迫った。人気漫画の映画化ということでファンはもちろん、原作を読んでいなくても気になっている人が多いと思う。全22巻+「21世紀少年」2巻の膨大なストーリーを今から追うのは大変だが、これに目を通して読んだ気になるのはいかがだろうか。ネタバレはないのでご安心を。

 始まりの舞台は1997年の日本。主人公「ケンヂ」は失踪した姉の子を背負いながら実家であるコンビニでの仕事に追われていた。少年時代の正義の味方、青年時代のミュージシャンという夢をすっかり忘れたかに見える日常。そんな中、小学校の同級生「ドンキー」の訃報が届く。

 ドンキーの死に疑問を感じたケンヂは小学校時代の秘密基地仲間、「マルオ」「ヨシツネ」らにそれをぶつけるも一笑に付されてしまう。その後かつて恋心を抱いていた「ユキジ」との再会、謎のホームレス「神様」との出会いによりドンキーの死が秘密基地を知る「ともだち」と名乗る人物の手による物だと確信した。

 ともだちは、ケンヂが秘密基地で戯れに書いた「よげんの書」に登場する“悪のそしき”の行動をなぞり、世界を征服しようとしている。その手始めとして、まるで新興宗教のように信者を集め、警察内部や政府の上層部にまで触手を伸ばしていた。そうして自分の地位をゆるぎないものとした上で、次々とよげんの書通りに世界各地で多くの人類の命を奪っていく。この凶行を止められるのはよげんの書を知るケンヂとその仲間のみ。ともだちは誰か。どうすれば世界を救えるか。21世紀を目前にし、警察も政府も敵に回したケンヂたちの戦いが始まる。

 これが20世紀少年のおおよそのあらすじだ。現在と過去を行き来する紙面を目で追う度に、読者はまるで自らの過去を思い起こすがごとく引き込まれていく。その後舞台は14年後に飛び、ケンヂの姪「カンナ」を中心にストーリーは進むが、軸がぶれることはない。ともだちの正体の追究と世界を救うことのみが目的だ。

 作中でユキジがこんなことを言う。『私が見たいのは地球の平和を守るような男のドラマです』(5巻207-208ページ)。これはともだちに支配された世の中で、自由に描けるものがないと嘆く売れない漫画家に対しての発言なのだが、この作品を見事に言い表した一言だ。この作品は確かにディテールにこだわってはいるが、難しいことなどなにもない、地球の平和を守るケンヂという男のドラマだ。ケンヂは「パイナップルARMY」の豪士のように強くはないし、「MASTERキートン」のキートンのように深遠な知識もない。地球を守りたい、その一念でのみ動いている。その想いがただのコンビニ店員を変貌させ、少年時代の夢を叶えることとなった。

 男なら誰もが一度は夢見る正義の味方。この作品では好んでそうなるのではない、否応なくならざるを得ない苦悩も描かれている。苦しみや悲しみを内包したヒーローが、ストーリーが終末を迎える頃には還暦直前になっているのだ。それでいて悲壮感はない。最後の最後の決着にはじんわりとした温かさがある。

 ケンヂの生き様ともう一つ、注目すべき存在は作品中にちりばめられたロボットやUFO、超能力などのSF的要素。ここで所詮は漫画かと幻滅してはいけない。確かにこの作品は「本格科学冒険漫画」と銘打ってはいるが、そういったSF的要素に関しては科学的な根拠をそれほど提示しているわけではないし、超能力にいたっては初めから当たり前のように存在しているものとして描かれている(中にはトリックもある)。それなのに、なぜか圧倒的な存在感を持って読者の胸に突き刺さってくるのだ。それはレトロフューチャーといった生易しいものではなく、ただそこにあるものとして描かれており、そうして作品に深みと恐怖を加えるという最大の効果を挙げている。
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