【番長・杉山茂樹の観戦記】北京五輪の喜怒哀楽
2008年08月18日15時18分 / 提供:livedoor スポーツ
堅い話はともかく、だ。五輪をスタンドで観戦していて気になるのは美人の存在である。遭遇する率は、いつの五輪にも増して高い。W杯やユーロにも確実に勝っている。ここでわざわざ、触れたくなる理由である。
スタンドを埋めているのは9割方、中国人。つまり、中国人には美人が多いという結論になる。中国人で、高いチケットを買って五輪観戦できるのは、概ね生活レベルの高い人に限られる。つまり、美人さんは良いところのお嬢さん、奥さんという話になるが、それは日本と多少、共通しているような気がする。
とはいえ、中国の人口は、日本の10倍以上だ。パイの大きさが違う。懐の深さが違う。美人の総数も違う。それを最も感じるのは、表彰セレモニーだ。メダリストたちをエスコートする女性たちの綺麗なこと。それは全ての会場で感じることなので、数百人にも及ぶ超綺麗系が、北京五輪に結集していることになる。2016年の五輪に立候補している東京に、この芸当はさすがに無理だろう。日本中からかき集めても、ここまでの数を揃えることはできない。
スタンドの一般席から、双眼鏡を携えながら観戦していると、僕の視線はいつしかそちらの方を探っている。メダリストより、美人さんを眺めている時間の方が長かったりする。困った奴とはこのことだ。もちろん、日本人が表彰台に上がろうとしている時には、そうした暢気は慎んでいるが。
日本人の男女が立て続けに表彰台に上がった柔道の最重量級では、とりわけそんな余裕はなかった。
石井慧(男子100キロ超級)と、塚田真希(女子78キロ超級)が、それぞれ金と銀を獲得した会場で、僕が座った席は、塚田選手の身内が陣取る席の直ぐ後ろだった。厳粛というか、大真面目に観戦する環境は完璧に整っていた。しかも塚田は、金メダルまであと8秒のところで。1本を奪われ、逆転を喫したわけだ。絶句し、慟哭する身内。その背中も同時に視界に捕らえながら観戦していると、いたたまれない気持ちに襲われる。
続いて登場した石井慧が、金メダルを獲得しただけに、なおさら残酷に見えた。くっきり分かれた明暗が、ショックに追い打ちをかけているような感じだった。表彰式が行われるのは、男子の試合の後なので、身内の方々は、無念さを押し殺しながら、石井の晴れがましい姿を見させられる恰好になったのだ。しかも、周囲には報道陣が取り囲んでいるので、石井を応援しているような表情を作らなくてはならない。心の中は、それどころではないというのにだ。
金と銀の差の大きさを、まざまざと見せつけられた気がした。銀メダルなのに塚田は敗者に見えた。ところが、表彰式で塚田は極めて明るく振る舞った。スタンドの観衆に手を挙げて答える数では、勝者の中国人選手より上だった。その立派な態度だと言わざるを得ない。救われる気がしたのは僕だけではないはずだ。
思い起こせば4年前のアテネ五輪でも、僕は塚田と鈴木桂治が出場した男女の最上級階級戦を観戦している。この時はともに金。そして、日の丸がセンターポールに2度続けて挙がったのを確認すると、すかさずバスに乗り、水泳会場に向かった。柴田亜衣の出場する800m自由形を観戦するために。
つまり、わずかの間に日本人の金メダルシーンを立て続けに3度目撃したのだが、4年前にその3個目の金を獲得した柴田は今回、極度の不振で、400mでも800mでも、箸にも棒にもかからず予選落ちした。悪い意味でビックリしたくなるニュースである。
今回、逆に良い意味でビックリしたくなるのは、女子サッカーだ。地元中国を倒し、ベスト4進出とはあっぱれ。そのニュースが伝わってきたのは、柔道が終わった2時間後。中国人選手に敗れた塚田の敵を討つような痛快な勝利だった。
僕は、女子サッカーにはそう詳しくないのだけれど、一つ確実に言えるのは、反町ジャパンのサッカーより、なでしこジャパンの方が僕好みだと言うことだ。合理的で効率的。なにより選手が、明るく楽しそうにプレイしているところに好感を抱かせる。表情美人の集団という見方もできる。美しいのは中国人ばかりではない。それはそれ、これはこれ。頑張れ、なでしこ!
杉山茂樹 / Shigeki SUGIYAMA
1959年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、サッカーを中心とするスポーツのフリーライターとして多数の雑誌に寄稿するほか、サッカー解説者としても活躍。1年の半分以上をヨーロッパなどの海外で過ごし、精力的に取材を続けている。著書には、『史上最大サッカーランキング』 (廣済堂刊)『4−2−3−1』(光文社)など多数。
スタンドを埋めているのは9割方、中国人。つまり、中国人には美人が多いという結論になる。中国人で、高いチケットを買って五輪観戦できるのは、概ね生活レベルの高い人に限られる。つまり、美人さんは良いところのお嬢さん、奥さんという話になるが、それは日本と多少、共通しているような気がする。
とはいえ、中国の人口は、日本の10倍以上だ。パイの大きさが違う。懐の深さが違う。美人の総数も違う。それを最も感じるのは、表彰セレモニーだ。メダリストたちをエスコートする女性たちの綺麗なこと。それは全ての会場で感じることなので、数百人にも及ぶ超綺麗系が、北京五輪に結集していることになる。2016年の五輪に立候補している東京に、この芸当はさすがに無理だろう。日本中からかき集めても、ここまでの数を揃えることはできない。
スタンドの一般席から、双眼鏡を携えながら観戦していると、僕の視線はいつしかそちらの方を探っている。メダリストより、美人さんを眺めている時間の方が長かったりする。困った奴とはこのことだ。もちろん、日本人が表彰台に上がろうとしている時には、そうした暢気は慎んでいるが。
日本人の男女が立て続けに表彰台に上がった柔道の最重量級では、とりわけそんな余裕はなかった。
石井慧(男子100キロ超級)と、塚田真希(女子78キロ超級)が、それぞれ金と銀を獲得した会場で、僕が座った席は、塚田選手の身内が陣取る席の直ぐ後ろだった。厳粛というか、大真面目に観戦する環境は完璧に整っていた。しかも塚田は、金メダルまであと8秒のところで。1本を奪われ、逆転を喫したわけだ。絶句し、慟哭する身内。その背中も同時に視界に捕らえながら観戦していると、いたたまれない気持ちに襲われる。
続いて登場した石井慧が、金メダルを獲得しただけに、なおさら残酷に見えた。くっきり分かれた明暗が、ショックに追い打ちをかけているような感じだった。表彰式が行われるのは、男子の試合の後なので、身内の方々は、無念さを押し殺しながら、石井の晴れがましい姿を見させられる恰好になったのだ。しかも、周囲には報道陣が取り囲んでいるので、石井を応援しているような表情を作らなくてはならない。心の中は、それどころではないというのにだ。
金と銀の差の大きさを、まざまざと見せつけられた気がした。銀メダルなのに塚田は敗者に見えた。ところが、表彰式で塚田は極めて明るく振る舞った。スタンドの観衆に手を挙げて答える数では、勝者の中国人選手より上だった。その立派な態度だと言わざるを得ない。救われる気がしたのは僕だけではないはずだ。
思い起こせば4年前のアテネ五輪でも、僕は塚田と鈴木桂治が出場した男女の最上級階級戦を観戦している。この時はともに金。そして、日の丸がセンターポールに2度続けて挙がったのを確認すると、すかさずバスに乗り、水泳会場に向かった。柴田亜衣の出場する800m自由形を観戦するために。
つまり、わずかの間に日本人の金メダルシーンを立て続けに3度目撃したのだが、4年前にその3個目の金を獲得した柴田は今回、極度の不振で、400mでも800mでも、箸にも棒にもかからず予選落ちした。悪い意味でビックリしたくなるニュースである。
今回、逆に良い意味でビックリしたくなるのは、女子サッカーだ。地元中国を倒し、ベスト4進出とはあっぱれ。そのニュースが伝わってきたのは、柔道が終わった2時間後。中国人選手に敗れた塚田の敵を討つような痛快な勝利だった。
僕は、女子サッカーにはそう詳しくないのだけれど、一つ確実に言えるのは、反町ジャパンのサッカーより、なでしこジャパンの方が僕好みだと言うことだ。合理的で効率的。なにより選手が、明るく楽しそうにプレイしているところに好感を抱かせる。表情美人の集団という見方もできる。美しいのは中国人ばかりではない。それはそれ、これはこれ。頑張れ、なでしこ!
杉山茂樹 / Shigeki SUGIYAMA
1959年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、サッカーを中心とするスポーツのフリーライターとして多数の雑誌に寄稿するほか、サッカー解説者としても活躍。1年の半分以上をヨーロッパなどの海外で過ごし、精力的に取材を続けている。著書には、『史上最大サッカーランキング』 (廣済堂刊)『4−2−3−1』(光文社)など多数。
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